2020年3月28日(土)午後2時より、東京都練馬区練馬の練馬区立区民・産業プラザ・ココネリにて、「住まいの貧困に取り組むネットワーク」、「国民の住まいを守る全国連絡会」の主催により、「緊急会見『公的住宅での困窮死・孤立死をなくすために』」が行なわれた。
この緊急会見は、開始直前まで「緊急集会」として開催される予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大という状況を考慮し、急遽、「緊急会見」としての開催となり、2時間半を予定していた時間も約1時間に短縮されて行われた。
冒頭、住まいの貧困ネット・世話人の稲葉剛氏より、会見の意図するところと現状の問題点について説明があり、「昨年の12月、東京・江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が衰弱した状態で発見され、最終的に餓死にいたってしまった。これが、NHKの報道により明らかとなり、私たち『住まいの貧困に取り組むネットワーク』と『国民の住まいを守る全国連絡会』のメンバーが中心となり、この餓死問題の調査団を立ち上げ、行政およびUR都市再生機構への聞き取り調査などを行ってきた」とし、餓死事件の経緯を説明した。
また、「現在、新型コロナウイルスによる各種自粛の動きが引き起こした経済危機が進行している」とし、「私たちは炊き出しなどの貧困者支援を行っているが、その場に、今まで見たことのなかった若い世代の人々が増えてきている」と懸念を述べ、「多くの人たちが、雇い止めや解雇による収入減の憂き目にあっている。このような人々が、家賃滞納により、家を追い出され、ホームレスとなり、自分の生活を維持することができなくなっていくのが常だ。そこで、すべての大家さん、不動産業者、そして家賃保証会社に向けた『緊急アピール』を用意したので、ここで公表したい」として、稲葉氏が会場でアピール文を読み上げた。
次に、「住まい連」代表幹事の坂庭国晴氏により、「UR住宅餓死問題の経過と教訓」と題した開会あいさつが行われ、会見の目的について、「2つある。1つは、公的住宅に限らず、日本各地で発生している餓死や凍死などの事例が、なぜ起きるのか。その原因を明らかにし、問題があればそれを改善していく方法を探ること。2つ目は、国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅で『餓死』といった、ある意味では考えられない事態がなぜ起こるのか。どうすれば、こうした困窮死や孤立死をなくすことができるのか、その取り組み方を考えること」だと述べた。
続いて、江東区での餓死事件が、UR住宅という公的な性格を持つ住宅で起こったことの重大性を問題視し、それぞれが公的住宅に住んでおり、自治会活動なども行っている4人、江国智洋氏(東京23区公団住宅自治協幹事、東綾瀬団地)、和久晴雄氏(神奈川公団住宅自治協理事、鶴が台団地)、新出正治氏(東京公社住宅自治協副会長、東久留米団地)、小山謙一氏(東京公営住宅協議会会長、都営光が丘団地)から、「孤立死問題などの取り組みー現状と問題点」と題した報告が行われた。
これは気の毒な他人事ではなく近い将来の僕やあなたの話だ。
2019年12月、東京江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が餓死した。国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅でなぜ餓死が起きるのか? https://iwj.co.jp/wj/open/archives/471048
@iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1248373335789940740