コロナの影響を受ける水商売・風俗産業の女性たち。キャバクラ嬢の「このままだと女の子が死んじゃう」の声と「満員電車の方が怖い」「仕方ない」と諦める女性たちの不安定すぎる労働環境!感染ハブの一つとみなされる「夜の商売」の状況を緊急取材! 2020.3.28

記事公開日:2020.3.28 テキスト
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(文・撮影:布施絵理子)

 新型コロナウイルスの影響をより受けやすい環境にある、サービス業のなかでも濃厚接触が避けられない水商売や性産業で働く女性たちが、現在どのような労働環境に置かれているのか、その実情が報道されることは少ない。彼女たちを「労働者」ととらえて、労働環境や実際の賃金について語られることは、ほとんどないと言ってもいいだろう。

 農林水産業など第1次産業が衰退して、製造業など第2次産業が生産拠点を海外に移行してしまい、国内から雇用の場が減少していくなか、穴を埋めていくのがサービス業などの第3次産業だった。第3次産業は今や、従事者数もGDPも全体の7割をしめるようになった。しかし、サービス業は、美容室やエステなど美容業界でのサービス業に代表されるように、従業員と客との直接的な接触が避けられない職種も少なくなく、オフィスワークと違ってテレワークに変更できるわけでもない。

 そうしたサービス業の中でも、客と顔を寄せ合うような近い距離で接しなければならず、直接の身体接触が避けられないキャバクラなどの水商売や風俗などの性産業従事者は、より一層深刻である。健康と経済が新型コロナウイルスにより脅かされるなか、普段からその仕事の実態が見えにくく、人権がないがしろにされている実情も世間に知られていない。

 人の頭の中では、「昼の仕事」と「夜の仕事」は、画然と分かれ、水商売や風俗で働く人、通う客は「別世界の住人」と思っている人もいるかもしれない。しかし、ウイルスにはそんな「区別」は存在しない。人と人が接近し、接触する機会があれば、次々と感染を拡大していく。「昼の世界」と「夜の世界」を隔てるボーダーなど存在しない。「夜の世界」がコロナに侵食されれば、必ず「昼の世界」も蝕まれていく。

 黙殺されがちな「夜の世界」は、コロナによる危機の中で、現在どのような状況に置かれているのだろうか?

 この疑問を胸に、IWJのスタッフの布施絵理子記者が、キャバクラ嬢に直接取材したレポートをお届けする。

 布施記者はこれまで、キャバクラ嬢が結成した労働組合「キャバクラユニオン」の支援活動に携わってきた。キャバクラ嬢の相談に乗るうちに、その酷い労働環境を探りたいと感じ、自らキャバクラ嬢となった体験もある。体験をもとに、『キャバ嬢なめんな。: 夜の世界・暴力とハラスメントの現場』(現代書館、2018年4月20日刊)という書籍を著している。

 こうした経験も持つ布施記者が緊急取材した、コロナ不安の渦中にある夜の世界と、そこで働く女性たちの実態をぜひお読みいただきたい。

▲客との距離が、足が触れるほど近いキャバクラの店内

▲密室のキャバクラ店

新型コロナウイルスに感染して「コロナをばらまく」とフィリピンパブに行く50代男性客。女性店員が感染!!その後に男性は入院先で死亡が確認。

 感染ルートのハブになるとも言われ、大分県のキャバクラでも30代の女性店員・キャストが感染していたことが判明した。さらにはその店の男性客が感染し、その妻子も感染していることが判明し話題になった。

 また世間を騒がせた、「コロナをばらまく」と言い、男性客がフィリピンパブに行き、その店舗の女性従業員の感染が後に確認されたことは記憶に新しい。

 3月6日、新型コロナウイルスに感染した愛知県蒲郡市の50代の男性が、検査で陽性と確認された後、入院するまで自宅待機を要請されたにもかかわらず、市内の飲食店をはしごしていたことが判明した。テレビや大手マスコミでは当初は飲食店とだけ報道しているところも多かったが、1軒はフィリピンパブだということが分かった。その後、3月12日にその店の女性店員が感染していたことが判明した。また、男性が女性キャストの手を握り、背中に手をまわしながらカラオケを歌う映像が話題を呼んだ。その男性は3月18日に愛知県内の病院で死亡したことが確認された。

マスクもできず、近距離接客で飛沫感染を避けるどころではない!避けられない客からの身体接触、感染対策ができるのか?

 当然と言われるかもしれないが、キャバクラや風俗でマスクをして接客ができるわけではない、ましてや2メートル離れて席につけるわけでもない。感染対策ができることはあるのだろうか?

 キャバクラやパブ、スナックは接待飲食業と分類され、本来は「お触り」と呼ばれる性的な身体接触は禁止である。だが実態は、キャストが客の「お触り」を拒否できないことも多々あるのが現状だ。男性客が女性の肩を抱くどころか、ミニスカートから出た太ももに手を置くぐらいは当然だと思っていることが多い。また女性にキスを迫ってくる男性客も珍しくない。唇が駄目でも肩や手なら大丈夫だと考えている男性客が多いことは、キャバクラで1日働いただけで分かるだろう。

 最近増加しているセクキャバ、と呼ばれるセクシーキャバクラは最初から口へのキスがOKなところも多い。店内にうがい薬が置かれていたりするが、マスクや飛沫感染を避けるどころの話ではなく、直接の唾液さえ避けられない。肩を抱かれてカラオケを歌われただけで、露出の多い衣装で、全身に飛沫を浴びることになる。これだけ危険な状態で店はなんらか感染対策をしているのだろうか?現在キャバクラで働く女性に緊急取材を行った。

キャバクラで働く女性の現在の声を緊急取材!新型コロナウイルスへの感染対策、仕事への影響は?「自粛って言われても呑みに来る」お客がいるなか、自身のことは「仕方がない」と言い切る女性が置かれている不安定すぎる労働環境!

▲衛生的とはいいがたい開店前のキャバクラの店内の様子

 ネット上ではキャバクラの仕事がなくなり、解雇や出勤停止が起こり「このままだと女の子が死んじゃう」などという声があがるなか、現在、都内のキャバクラで働く女性にコロナウイルスの影響がないか取材すると、意外な声が返ってきた。

──コロナウイルスの感染対策を店はしていますか?

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