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ドイツ南部にあるエアランゲン–ニュルンベルグ大学で行われたシンポジウム「カタストロフィー、デジタルの公共空間、民主主義の未来」にスピーカーとして招かれ、9月11日から21日までドイツに行ってきました。
9月11日から13日にかけて、エアランゲン-ニュルンベルク大学で「カタストロフィー、デジタルの公共空間、民主主義の未来」と題するシンポジウムが行われました。
このシンポジウムの目的は、「ポスト民主主義」の日本における、新旧メディアと公共空間の関係を再考することでした。とくに、311というカタストロフィー以後の公共空間のあり方を模索するというものでした。
私は、「デジタルメディアとアルゴリズム的公共空間」というパートのなかで、13日、「日本において独立インターネットメディアが担う使命、期待、障壁〜IWJ設立から3年10ヶ月、その経験」というタイトルで講演を行いました。
「アルゴリズム的公共空間」という言葉は、このシンポジウムを企画されたファビアン・シェーファー教授たちが作り出した用語で、「デジタルメディアの活用をベースにした新しいタイプの公共領域」を意味しています。単なる「デジタル」ではなく、「アルゴリズム」という言葉を使うのは、それが非常に構造化され、組織化され、相互につながりあっている情報であることを強調するためだと言います。グーグルの「ページランク」のようなアルゴリズムは、批判にさらされることもありますが、シェーファー教授は、それが「新しい情報発信の可能性を持つものだとも思われます」と語っていました。
私がアカデミシャンでもないのに招かれたのは、日本におけるデジタルメディアの「プレイヤー」の当事者の声が聞きたい、という意見が内部から上がったためで、私に白羽の矢が立ったということです。
間に立った紹介者はなく、招待のメールがある日突然送られてきました。
ドイツの日本学の研究者、日本に関心がある方は、IWJはネットでよく御覧になっているとのこと。他のセッションに参加している日本の研究者らは、皆、英語で発表し、会場内英語とドイツ語がとびかう、まさに国際的なシンポジウムの場でした。
私は一応、日本語と英語のパワポを作成していたのですが、聴衆の皆さんに聞くと、「英語ではなく、日本語のパワポがいい」とのこと。さらに私の講演は日本語で私が喋り、通訳が英語かドイツ語にその場で訳すはずでしたが、その通訳も「いらない」と。さすが日本学の研究者の集まりです。結局、私は日本語のパワポを用いながら、日本語で喋り通しました。
以下に、私の講演の内容を掲載いたします。
ライブストリーミングはジャーナリズムの「新たな武器」
みなさんこんにちは。ジャーナリストでIWJ代表の岩上安身です。「IWJ」とは、「Independent Web Journal」の略称なのですが、この「IWJ」という名称について、ひとつ、ご紹介したいエピソードがあります。
ここ、ドイツでも有名な、世界的な音楽家である坂本龍一氏は、IWJを熱心に応援して下さるサポーターであり、会員のおひとりであり、カンパもして下さっています。
その坂本さんが、私と初めて会ったのは、2012年の夏、首相官邸前での、原発再稼働反対のデモの中継でした。私は、IWJのカメラマンとともに現場でレポートを行っていました。そこへ、世界の坂本龍一が登場し、演説を行ったのですが、私を見るなり、「岩上ジャーナル!いつも見ています!」と握手を求められました。坂本さんは、IWJを「Independent Web Journal」ではなく、「Iwakami Journal」だと思い込んでいたのです(笑)
そうした誤解が生じるのも、ある程度は、無理からぬものがあります。IWJは新しい時代の公共性のあるネットメディアを目指していますが、私が個人的にやっている事業という側面もたしかにあります。経営面ではまったくその通りです。たいへん乏しい私の個人的な資産を元手としてスタートし、今も財政面の赤字は、自分の収入で埋めています。
しかし他方、IWJは年間に3000本以上のライブストリーミングによる動画発信を行い、2010年12月の会社創立から、2014年7月までで、11,649本のアーカイブを抱えています。
日本全国各地から情報発信を行い、海外でもこれまで、ベルリン、パリ、アムステルダム、ジュネーブ、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、台北、ソウル、ホンコンなど、世界11カ国、18都市からも情報発信を行ってきました。
原則的に、ライブストリーミングは無償で公開する。アーカイブは会員が見られる。テキストによる記事もかなり大量になっています。
企業規模としては最小単位のマイクロカンパニーである。しかし、情報の発信量や速度、多極性、内容の多様性とクオリティー、そして無償ですべての人に可能な限りオープンに情報を提供する姿勢において、我々は草の根の市民に根ざした公共性を備えたメディアであると、自負しています。
私は27歳から独立し、フリージャーナリストとして仕事をし続けてきました。私のジャーナリストとしての活動のポリシーは、当初から今も変わっていません。
私には、インターネットが発展し、SNSが登場し、ライブストリーミングのインフラの整備は、ジャーナリズムの「新たな武器」であると映りました。
こうした「武器」は、一般の市民が「情報の主権者」として、情報の「受け手」であり「送り手」でもある状態を取り戻すためにはとても有効です。政治的、経済的な権力と結びついた一部の特権的なメジャーメディアによる一方的な情報洪水によって形成される操作された「情報空間」から、我々が主体性を回復するためのツールとなりえます。つまり、「情報の民主化」が可能になるのです。
ネットメディアの「速報性」「インタラクティブ性」「透明性」が「情報の民主化」につながる
では、ネットメディアが、なぜ「情報の民主化」に適しているのか、その特性についてお話ししたいと思います。
IWJが主として活用している、UstreamにしろTwitterにしろ、リアルタイムなライブストリーミングが可能であるという点が挙げられます。
ライブストリーミングは、速報性という点では、他のメディアは絶対にかないません。しかも、テレビの生中継が大型の機材を必要とする一方、Ustreamは、スマートフォン一台で簡単に中継できてしまいます。情報をリアルタイムで、素早く、しかも簡単に発信できるということは、情報発信が特権的な中心点からではなく、市民の側から、多極的に発信されることになる、ということを意味します。これはまさに、「情報の民主化」に他なりません。
次に、ネットメディアの特徴として、インタラクティブ性があげられます。私たちが主に活用しているUstreamでは、配信画面の横に、視聴者がコメントを投稿するソーシャルストリームがあります。私たちの配信では、ソーシャルストリーム上でユーザーによる議論が起こることもしばしばです。
さらに、拡散性も、特徴としてあげることができます。Ustreamのソーシャルストリームは、TwitterやFacebookと連動しているので、リツイートやシェアなどを通じて、瞬く間にネット上を拡散されていくことになります。
最後に、加工がされていない一次情報を、視聴者にダイレクトに伝えることができるという点があげられます。日本には、首相官邸をはじめ各省庁などに、大手既存メディアによる情報カルテル「記者クラブ」が存在し、一次情報に対するアクセス権を牛耳っています。その閉鎖性は、カフカの描く「城」のようなものです。このため、市民は「情報の受け手」の位置に一方的に追いやられ、「記者クラブ」により操作・歪曲された情報に接せざるをえません。しかし、ネットメディアによる一次情報の配信は、こうした「記者クラブ」による情報操作に、風穴を開けることができると私は考えています。
さて、ここからは、IWJが具体的に何を報じてきたのか、その内容についてお話ししたいと思います。
福島第一原発の「メルトダウン」 ~IWJが報じたもの、大手メディアが報じなかったもの
2011年3月11日に発生した東日本大震災と、それにともなう福島第一原発事故については、ドイツの皆さんもよくご存知だと思います。IWJは、原発事故発災直後から、東京電力と原子力安全・保安院(現・原子力規制委員会)の会見を、欠かさず中継しています。
3月12日の夜には、原子力メーカーである東芝の元技術者の後藤政志氏が私のインタビューにこたえ、初めて顔と名前を明らかにして福島第一原発はメルトダウンしているはずだと、その深刻さに警鐘を鳴らしました。これは事故後、最も早い「メルトダウン」についての報道だったと思います。
先ほど、「情報の民主化」についてお話ししましたが、それは、政府とマスコミが癒着することで行われる情報操作に対して風穴を開けることも意味します。後藤氏の指摘の通り、実際に、原発事故発災後、炉心が溶け落ちる「メルトダウン」が発生していました。しかし、政府によるメディア規制の結果、大手メディアでは一時期すべて「メルトダウン」ではなく「炉心溶融」という耳慣れない日本語の使用が半ば強制されました。
しかし、私が当時の菅直人総理の記者会見で「メルトダウン」に関する質問を連続して行ったら、菅総理が思わず「メルトダウン」という言葉を用いて回答してしまい、この規制はあえなく解除されることになりました。
東日本大震災に乗じて進められるTPPという名の「ショック・ドクトリン」
また、この未曽有の大震災に際し、日本ではナオミ・クラインの言う「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」が進行中です。例えば、約1000万部という、世界最大の発行部数を誇る読売新聞は、ネオリベラリズムの旗をふるい、震災直後から、外国間の自由貿易協定であるTPP(環太平洋自由貿易協定)参加と消費税増税を訴えていました。まだ震災のショックから誰も立ち直れない3月13日の時点で、「この事態を克服するためには、TPPと増税が必要だ」という論文を掲載したのです。まだ3号機の爆発の前のことです。
IWJと読売新聞は、対極に位置するメディアです。規模においても片や世界最大、片や世界最小。オピニオンにおいてもまったく違います。我々はショック・ドクトリンに同意できませんし、見過ごすこともしません。
TPPは問題だらけの秘密交渉です。私とIWJは、TPPを批判的に報道する番組だけで500本以上、配信してきました。こんなメディアは、他には日本農業新聞くらいです。このテーマを批判的に扱うのは、日本のメディアでは実はタブーでした。
私は、全国ネットのテレビ局のニュースショーのコメンテーターを、12年間、毎週つとめました。その間、私の言論の自由はずっと保証されていました。ところが、TPPに関しては違ったのです。私は、日本政府がTPP交渉参加を決めようとする、最もクリティカルなタイミングで、アドリブでこのTPP秘密交渉の危険性を30秒喋ったら、その日のうちに、チーフプロデューサーから「話がある」と言われ、番組を降板させられることになりました。
IWJは、政府が隠蔽し、既存メディアが伝えようとしないことを報じ続けてきました。そのテーマは、原発、TPP、集団的自衛権、特定秘密保護法、第二次大戦の戦争犯罪に関わる歴史認識、ウクライナ情勢、イスラエルによるガザ侵攻、子宮頸がんワクチンによる副反応被害など、非常に多岐に渡ります。つまり、これだけ多岐に渡るということは、政府とマスコミ、さらにそのスポンサーである財界の癒着によるショック・ドクトリンが、多岐に渡る分野で進行中であるということを示しています。
具体例をあげましょう。TPPの主な目的のうちのひとつは、米国のアグリビジネスによる日本市場への輸出要求に応じ、日本の農業に対する保護を大幅に解除することです。その中のひとつに、遺伝子組み換え作物に関する規制を解除することが含まれています。全世界における遺伝子組み換え作物のシェア90%を占めるモンサントと、経団連前会長の米倉昌弘氏が会長を務める住友化学はビジネス上のパートナーで、米倉氏はこれまで一貫してTPPの旗振り役を務めてきました。嘆かわしいことに、日本の伝統ある経済団体のリーダーは、米国のグローバル資本の手先と堕しているのです。
私たちは、モンサント社製の遺伝子組み換え作物の毒性を指摘したカーン大学のセラリー二教授の研究に注目し、取材をしていますし、フランスのジャーナリスト、マリー=モニク・ロバン氏が監督したドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」やジャン・ポール=ジョー氏が監督した「世界が食べられなくなる日」など数本のヨーロッパのドキュメンタリー映画を紹介し、日本全国でトークショーを行いました。
根拠のない「小沢バッシング」 ~記者クラブの「集団主義」
日本の記者クラブメディアの特徴は、その「集団主義」にあります。時に最右翼の産経からリベラルといわれている朝日に至るまで、まったく同じキャンペーンを張ることがあります。2010年に政権を独占してきた自民党にかわり、民主党が政権をとりましたが、検察の不当な捜査により、実力者の小沢一郎氏が失墜し、メディアは彼にリンチを加えました。毎日毎日、全メディアが彼を犯罪者であるかのごとき書きたて、ダーティイメージを日本国民の頭にすりこみましたが、根拠のあるものではありませんでした。
2010年12月、私が唯一、小沢氏の単独独占インタビューを行いました。全てのメディアは、小沢氏をボロボロに中傷し続けていたのに、私のインタビューをもとに記事を書きました。しかしそのほとんどが、出典を明記しませんでした。インタビュアーが私で、IWJが報じたとは一、二の例外を除き、大手のメディアがひと言も書かなかったのです。
小沢氏は、のちに無罪が確定しましたが、彼が民主党を離れ、新たにたちあげた「生活の党」は、「脱原発」の姿勢を明らかにしましたが、マスメディアではその存在が無視され、二度の国政選挙の前に徹底的に「生活隠し」が行われて、惨敗しました。彼の政治的影響力は、大幅に減殺されてしまいました。その後、私の再度のインタビューで、「安倍総理や石原慎太郎氏のような極右の政治家たちは、核武装と米国からの独立を考えている。米国は彼らを利用しているつもりだが、わかっていない」と発言しました。非常に重要な指摘だと思いますが、私のメディア以外では、この発言は広がっていません。
「報じない」という恣意的報道
面白いことは他にもあります。私が菅直人総理に、就任後最初の会見で質問をしたら、その問答が私の部分だけ、質問と総理の回答ごと、翌朝の大新聞の朝刊から消えていました。「総理大臣会見全記録」と書いてあったにも関わらず、です。ミステリーのような話でしょう。それくらい私は、大手メディアからうとまれているわけです。
日本では、3.11直後から、脱原発のアクションがあちこちで始まり出していました。しかし、日本のメディアは、こうした脱原発アクションを徹底的に無視し、あたかも存在しないかのような扱いをし、報じても、不当に過小に報じていました。我々は、その最初のアクションから、中継し続けてきました。そして、3ヶ月後の6.11には、脱原発アクションが全国100箇所以上で行われ、我々は55箇所で同時中継を行いました。
我々の中継が、人を救ったこともあります。脱原発や反TPPを最も熱心に訴えている国会議員の山本太郎氏がまだ議員でなかった頃、不当な疑いをかけられる出来事があり、捜査当局が動いたのですが、我々のカメラが現場を映していて、実際には彼は違法行為を行なっていなかったことが明らかになる、ということがありました。このおかげで、彼は今も議員として活躍し、ドイツの「シェーナウ電力賞」を受賞することもできました。
日本を改悪する一連の「ショック・ドクトリン」は、3.11以前から始まっていました。民主党への政権交代を骨抜きにする小沢一郎氏に対する検察の捜査は、のちに明らかになるように不当な冤罪であり、小泉政権以来、露骨になったネオリベ改革に対するカウンターとして登場し、国民への再分配の強化をうたった民主党政権を揺さぶるためのものでした。
米国の利益のための「対中強硬姿勢」と、加勢する大手メディア
しかし、3.11以降、そして民主党政権が骨抜きにされて政権の座から滑り落ち、再び自民党政権が返りざいてからは、ネオリベラリズムに対する当たり前の対抗言論すら、日本のメディアではほとんど見かけられなくなりました。日本のメディアは、米国の意向がどちらにあるか、察知する能力に長けていて、たとえ強い圧力が加えられなくても、空気を読み、自ら順応してゆくのです。
例外的に頑張っているのは、日本の南にある島、沖縄のメディアです。彼らは、沖縄の辺野古に新設されようとしている巨大な米軍基地建設に反対する論陣を張り続け、沖縄県民とともにあり続けています。しかし、日本の外務省や防衛省は、辺野古の新基地の代替となる施設を沖縄の県外に探すという鳩山政権の多くの公約を詭弁を弄しながらひたすらサボタージュし、本土の大手メディアの大半もその動きをアシストし、鳩山政権の足を引っ張り続け、米国の求めに応じ続けました。
現在の自民党・安倍政権は、対中関係の悪化から、いまだ中国との首脳会談を開けていません。対中関係が悪化したのは、尖閣諸島という小さな岩礁の土地の所有権を民間人から買い取ると、2012年4月、当時、東京都知事だった石原慎太郎氏が発言したのがきっかけでした。その発言をした講演は、米国のヘリテージ財団という保守派のシンクタンクでした。
そのヘリテージ財団は、2012年11月、自民党による政権交代の直前、「日中関係が最悪の状態になると、この状況は米国が重要ないくつかの政治的目的を達成するための絶好の機会である」というレポートを発表しました。つまり、石原氏は、米国の利益のために、日中の関係を悪化させたわけです。ところが、この問題は、いまだに我々を除いて、真正面から伝えているメディアはほぼ皆無です。
ちなみに、石原氏の悪名は、国際的に知られています。中国を「支那」と侮辱する名前で呼び、かつて起った社会党委員長の浅沼稲次郎を右翼青年が刺殺するテロ事件について、このテロリストについて、最近、有名な月刊誌上で、「神様」と礼賛し、原発の維持はもちろん、核武装を公然と唱え、週刊誌のインタビューで、「今の望みは中国と戦争して勝つことだ」などと放言しています。それが咎められず、彼の中国挑発の背景に米国の思惑があることもまったく指摘されていません。何度も言いますが、我々を除いては、です。
石原氏が都知事時代に進められた事業は、東京の築地市場の移転計画でした。築地市場は、東京に観光に来た外国人が必ず訪れる人気観光スポットでもあります。移転先は、危険な産業廃棄物で汚れた豊洲という土地です。ここは地震に弱く、3.11でも液状化しました。誰がどう考えてもおかしなこの移転計画、今では既存メディアで批判記事が載ることは皆無です。そこで、我々IWJの一手独占報道が続いている状態です。つい最近、この築地には、カジノができるという話があることが明らかになりました。つまり、米国の大手カジノ資本が入るという、そういうストーリーだったわけです。
安倍政権下で現実的となった「原発✕戦争」リスク
2012年末の衆院選、そして2013年7月の参院選で大勝した自民党・安倍政権は、かねてからの狙いだった集団的自衛権の行使容認を、憲法の改正ではなく、憲法解釈の変更という「裏口から入る」方法で閣議決定しました。このニュースは既存メディアも大きく報道しましたが、集団的自衛権行使容認により、日本が実際にどのような戦争に巻き込まれるかという具体例については、ほとんどと言っていいほど報じられていません。
私はある人物から、「合同軍事シミュレーション ヤマサクラ61」という図上演習書を手に入れました。この図上演習によると、日本とアメリカが、「仮想敵国」である中国を、日本海に面した若狭湾で迎え撃つということが想定されています。
しかし、この若狭湾は、14基の原発が集中していることから、”原発銀座”と呼ばれています。第2次世界大戦で、アメリカ軍がフランス北西部のノルマンディーで行った上陸作戦を想定してみてください。日本とアメリカは、ノルマンディー上陸作戦を、14基もの原発が並ぶ海岸で行おうとしているのです。これは、とても正気の沙汰であるとは思えません。しかし、このような重要な図上演習の存在を、IWJ以外のどのメディアもまともに報じようとしないのです。
ウクライナに端を発する戦争に日本が巻き込まれる!?
さらに、集団的自衛権の行使容認により、現在、ウクライナ東部で起きている深刻な内戦に、日本が巻き込まれる可能性があります。冷戦後、NATOが東方拡大を進めたはてに行き着いたのが、ウクライナ危機でした。米国は、ポロシェンコ大統領率いるウクライナ政府に過剰に肩入れをし、ロシアを悪魔のように描き出すキャンペーンを展開しているように思えてなりません。
ゴルバチョフ元大統領が、「ウクライナ紛争は欧州大戦に拡大する可能性がある」と警鐘を鳴らしたことは、皆さん、ご存知のことだと思います。ウクライナでは9月5日に停戦が発動しましたが、火種はまだ残っています。NATOとロシアとの間に、戦争の口火が切って落とされるのにそれほど時間はかからないかもしれません。
そして、米国のあからさまな要請に従って集団的自衛権の行使容認を閣議決定した日本は、このウクライナ危機に端を発する欧州大戦に、自衛隊を派遣しなければならなくなる可能性が高いのです。このような問題も、既存大手メディアは、どこも報じようとしません。
ヘイトスピーチ問題を可視化する
ヘイトスピーチ問題も、なかなか既存メディアがとりあげなかったテーマです。彼らの目に余る排外デモを、IWJとして取り上げることを決意したのは、2013年の年頭のことでした。
【岩上安身のニュースのトリセツ】ドイツ・ニュルンベルク大学で講演「独立インターネットメディアが担う使命、期待、障壁」とは(IWJウィークリー69号より) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/182317 … @iwakamiyasumi
日本が抱える問題がここにあります、読み応えあり。
https://twitter.com/55kurosuke/status/522112503761735682