【IWJ号外】石油危機が迫る! しかし、中東以外の調達先は!?「石油の代替ルート、あらゆる選択肢を排除せずに、検討を進めていきたいと思っております」~3.17 茂木敏充 外務大臣 定例会見 2026.3.21

記事公開日:2026.3.21 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東

 3月17日に開催された、茂木敏充外務大臣 定例会見で、IWJ記者は「中東以外の石油調達先は確保できているのでしょうか?」と問いただしました。

<IWJ取材報告>石油危機が迫る! しかし、中東以外の調達先は!?「石油の代替ルート、それから新たな調達先につきましては、ホルムズ海峡を経由しない中東からの調達。反対側になるわけですけれど、それから過去に調達の実績があり、増産余力のあります中央アジアであったりとか、南米含めまして、あらゆる選択肢を排除せずに、検討を進めていきたいと思っております」コスト的に可能なのか!?~3.17 茂木敏充 外務大臣 定例会見

 2026年3月17日、午後5時33分より、東京都千代田区の外務省にて、茂木敏充 外務大臣の定例会見が行われました。

 会見冒頭、茂木大臣から、3月17日付で、外務省・総合外交政策局に「国際和平調整ユニット(※)」が設置されたことについて報告がありました。

  • 「国際和平調停ユニット」の設置(外務省報道発表 2026.3.17)

     続いて、茂木大臣と各社記者との質疑応答となり、他者記者からは、「国際和平調停ユニットの設置」、「トランプ大統領のホルムズ海峡への艦船派遣発言等」、「日米首脳会談」、及び、「イラン情勢(イラン、米国、イスラエル間の調停に関する考え)」についての質問がありました。

     IWJ記者は、イラン情勢について、以下の通り質問しました。

     事前に外務省の担当者から、「質問は短く」ときつく言い渡されていたので、用意していた質問通りにはできませんでした。短縮せざるを得なかった点をご理解ください。

    IWJ記者「イラン情勢について。

     日本では、今、石油危機が始まりつつあります。石油備蓄は8ヶ月分あるとされていますが、実際の国家備蓄はそのうち約4ヶ月分しかありません。

     茂木大臣は先日の会見にて、ロシアからの石油輸入という選択肢を否定されましたが、現状、中東以外の石油調達先は確保できているのでしょうか?

     また、米国は対露制裁を緩和し、ロシア産の原油及び石油製品を4月12日まで制裁対象から外しましたが、これを受けて、改めてロシアが選択肢の一つとなることはないでしょうか。よろしくお願いします」。

     茂木大臣は、以下の通り答弁しました。

    茂木大臣「同じ質問、何度もお答えしていますので、お答えしていない部分だけでよろしいですね。

     代替ルート、それから新たな調達先につきましては、ホルムズ海峡を経由しない中東からの調達。反対側になるわけですけれど、それから過去に調達の実績があり、増産余力のあります中央アジアであったりとか、南米含めまして、あらゆる選択肢を排除せずに、検討を進めていきたいと思っております」。

     御覧の通り、茂木大臣は、中東以外の代替の国を具体的には示されませんでした。

     2月28日の米国・イスラエルによる奇襲攻撃からもう3週間になるというのに、具体的な交渉相手国の名前があがらないのは、国民としては不安にならざるをえません。

     石油・天然ガスの供給不足は、全世界的な現象となっており、奪い合いとなるのは確実です。円安によって、バイイングパワーが落ちている日本が、果たして、備蓄が尽きる前に、代替の石油・天然ガスを確実に調達できるのか、国民の不安を払拭して欲しいと切に願います。

     一部報道では、米国と共同でアラスカに投資する、と高市総理は考えているといいますが、今すぐに必要なエネルギー資源が手に入るのか、コストは見合うのか、日本に回す余剰分がないと言われているが、実際にはどうなのか、気がかりです。

     資源開発庁によると、アラスカには、サウジアラビア以上の石油と天然ガスが眠っている可能性があるとも言われています。

     しかし、バイデン政権下では、日本に向けての輸出は許可されず、2011年以降、アラスカから日本向けに向けて輸出されたLNGはゼロでした。

     トランプ政権になって、「アラスカLNGプロジェクト」が動き始めました。当時の石破総理は、「LNGのみならず、バイオエタノールやアンモニアといった資源を、(日本に)安定的にリーズナブルな価格で提供する」と述べています。

     「アラスカLNGプロジェクト」は、新規開発プロジェクトであり、生産開始は2030~2031年頃見込みとされています。約1300kmのパイプラインと、液化設備の建設が必要で、巨額の投資が必要です。

     壮大なプロジェクトではありますが、「今すぐ」LNGを調達できる、という話ではありません。

     また、資源エネルギー庁は「年間最大2000万トン規模の計画」と見積もっていますが、そのうちどれだけを日本が輸入できるのか、そのコストはどうなるのかはまだわかりません。

     茂木大臣が「同じ質問を何度も」と言及した質問については、以下の記事をご参照ください。

     会見の詳細については、全編動画を御覧ください。

    ■高市政権の無策ゆえ、石油危機は待ったなし!記者クラブメディアは沈黙させられても、ネットと週刊誌は沈黙させられない!『週刊文春』の巻頭特集は「令和オイルショック『狂乱物価に備えよ』」!

     今週の週刊文春の巻頭特集は、「令和オイルショック『狂乱物価に備えよ』」です。

     「狂乱物価」という言葉は、1973年の第一次石油危機の際、日本を襲った激しいインフレに対して、田中角栄政権の大蔵大臣だった福田赳夫氏(のちに総理)が、命名した言葉です。

     『週刊文春』がこの言葉を引っ張り出してきたのは、第一次石油危機の際、わずか3ヶ月で原油価格は約4倍となり、消費者物価は、1973年は前年比11.7%、さらにその翌年の1974年には、73年に比べて23.2%にまで上昇した「歴史」を想起させるためでしょう。

     現時点でも、ガソリン価格1リットル200円時代が来ると言われていますが、第一次石油危機は、OPEC(石油輸出国機構)が、原油価格を値上げしたことに起因するのであって、当時は、ホルムズ海峡を武力で封鎖されるような危機的事態には至っていません。

     ガソリン価格の上昇が、1リットル200円ですむかどうかなど、保証の限りではありません。

     要するに、第一次石油危機とは、中東からは石油がタンカーで運ばれてはくるものの、急激な値上げに苦しめられた、ということであり、今回は、日本が石油輸入の95%を頼っている中東から、タンカーが動けず、一滴も石油が入ってこないという事態なのです。「高いけれど石油がある」ということと、「石油が入ってこない」ということでは、まったく事態の深刻度が違います。

     今後、あらゆる物価が上がることが想定されます。

     しかも、間の悪いことに、日本は長年続いたゼロ金利政策を脱却したばかりであり、金利は上昇局面で、住宅ローン金利も上がっています。

     持ち家ではない、賃貸住宅に住んでいる方も、家賃の値上がりに直面することでしょう。

     衣食住に、電気・ガス代、通信費、運送代、交通費など、すべてにおいて、急激な値上がりが起こることは、ほぼ確実です。特に年度の変わる4月からは、値上げラッシュとなるでしょう。

     上記の『週刊文春』によると、ニッセイ基礎研究所・斎藤太郎経済調査部長は「「WTI(原油先物価格)で1バレル100ドルが1年間続いた場合、消費者物価は0.5%ほど上昇」し、「今年1年のGDPの成長率は0.3%ほど下振れ」すると予測しています。

     つまり、インフレだけでなく、経済成長も鈍化する、というわけです。

     もちろん、インフレが予想されれば、「買い占め」や「売り惜しみ」が出るのは、当然です。

     『週刊文春』の緊急取材では、特に運送業のドライバーや個人タクシーの運転手をはじめ、ガソリンの「確保」の動きが始まっていることが明らかになりました。

     ガソリン・スタンドによっては1日の売り上げ量が1.5倍となったり、「値段はいくらでもいいからいれてよ!」という切実な声が寄せられているということです。

     航空機はもちろん、海上輸送や船を出さなければならない水産業にも、影響が及びます。

     しかし、石油の供給が細れば、それはガソリンの問題にはとどまりません。

     原料に石油関連製品を用いている梱包資材やプラスチック製品などに影響が出ますし、製造・生産に石油を使う分野、農業、林業、にも大きな影響が出ます。

     あらゆる分野に影響が出ると言っても過言ではないのです。

     支払いまでのタイムラグがある電気・ガス料金にも、値上げがやってきます。

     東京都内の100円ショップでは、オーナーが100円ではもう無理、「今後、100円ショップはなくなるかもしれません」と苦しい事情を述べています。

     第一生命経済研究所経済調査部・首席エコノミストの永濱利廣氏は、「石油由来の日用品も、遅くとも年末までに高くなるでしょう」「物価上昇率は約0.9%上昇し、家計負担額は36000円増加。元々想定されていた物価高による年89000円の負担と合わせると、各世帯、実質年12万円の負担増になります」と、述べています。

     毎月、1万円ずつ生活費が上積みされていく状況がやってくる、というのが、『週刊文春』の今回の巻頭特集の、ひとまずの結論のようです。

     しかし、この結論は、見通しが甘いかもしれません。

     別稿の、高市総理訪米と、茂木外務大臣の記者会見の記事を読んでもらえばわかる通り、高市政権には、イランと直接交渉するつもりもなく、目と鼻の先の資源大国ロシアへの制裁を解いて、エネルギー資源を輸入するつもりもなく、緊急で石油・天然ガスを、中東以外から確保するために奔走している様子も見られないからです。

     高市政権から出てきたのが、何年先、何十年先に投資の成果が現れるかどうかという、米国への投資話だけです。

     確かに石油を大量に生産してはいるけれども、国内で大量に消費してしまい、中東からも輸入していた米国に、日本を丸抱えで助けるほどの石油を輸出できるはずがありません。

     そんなことをしたら、米国内で石油が不足して、ガソリンが暴騰し、政権が倒れます。すでに、米国内ではガソリン価格が値上がりしており、国民の憤懣が溜まり始めています。

     日本は石油の9割以上を中東から輸入しており、しかも、その8割前後がホルムズ海峡を通過しています。

     結局、米国とイスラエルが仕掛けたイラン戦争によって、最も影響を受けるのは日本だと言って過言ではありません。迷惑千万な話で、日本は米国とイスラエルに対して、怒って然るべきです。

     春は引っ越しシーズンでもありますが、家具などは在庫があっても、今月は売り惜しみして、売るのは現品限りにして、4月から値上げするとの声も聞こえてきました。

     消耗品は買いだめしたところで、使ってしまうので、どうしようもありませんが、家具のような出費の大きい必需品は、今月中に買うようにした方が「吉」かもしれません。

     いずれにしても、戦争が長期化して、エネルギー危機だけでなく、食糧危機、世界金融危機にまで、連鎖したら、恐ろしいことになります。

     戦争を長期化させないためにも、米国とイスラエルに軍事的に加担して、兵力の逐次投入ではなく、一挙に大量の戦力を投射して、イランの全面降伏を導くべきだという声も聞かれます。

     しかし、それは現実的な話ではありません。

     たしかに、イランは軍事施設とともに、石油施設を破壊されれば大きな打撃を受けます。

     ですが、そうなればイランは、「死なばもろとも」と、国内に米軍を駐留させている、親米で、スンニ派の湾岸諸国の石油施設を破壊することを明らかにしています。

     イランだけでなく、湾岸諸国の石油・ガスの生産が停止すれば、仮にホルムズ海峡の封鎖が解けても、輸出する石油がなくなります。万事休すです。

     今回のイラン戦争では、すでに、イランとイスラエル、湾岸諸国との間で、石油や天然ガス施設に対する攻撃が始まっています。

     これがエスカレートしていくと、石油の生産が完全に止まり、全世界を巻き込むエネルギー危機が現実となります。

     米軍はすでに、イランの軍事施設と石油施設の集まるハーグ島に攻撃をかけ、「軍事施設を破壊した」と3月13日時点で発表しています。

     さらに、イスラエルは3月18日、イラン最大、かつ世界最大級のガス田であるサウスパルスのガス田を攻撃しました。

     ペルシャ湾にあるサウスパルス・ガス田は、カタールと共同運営となっています。イラン国内ガス供給の約80%を担う最重要インフラで、イランにとってエネルギーの生命線です。

     このハーグ島に対する攻撃の報復として、イランは、カタールの国営石油大手カタールエナジーが所有する、ラスラファン工業都市の燃料工場を攻撃し、カタールエナジーは「甚大な被害」を受けたと発表しています。

     アラブ首長国連邦は、イランによる攻撃で、アブダビにある2つの天然ガス施設(ハブシャンガス施設とバブガス田)の操業が停止したと発表しています。

     3月18日、サウスパルス・ガス田で複数の爆発が発生し、イラン側のアサルイェ製油所が損傷した、と『ニューヨーク・ポスト』が報じています。

     サウスパルス・ガス田の半分を管轄する、カタールのノースフィールド複合施設も被害を受けました。

     平常時には1日あたり約1億立方メートルのガスを生産している、サウスパルス・ガス田の2つの製油所の生産が停止しています。

     カタール政府は、この攻撃を標的を絞った攻撃だと非難しています。

    カタール外務省マジェド・アル・アンサリ報道官「カタールのノースフィールドの延長線上にある、イランのサウスパルス油田に関連する施設をイスラエルが標的にしたこと、これは地域における現在の軍事的緊張の高まりの中で、危険かつ無責任な行為だ」。

     湾岸諸国は、イランが湾岸諸国内の米軍施設などを中心に、エネルギー施設をも攻撃したと抗議していますが、今度は、イスラエルによる攻撃を受けているのです。

     サウジアラビアをはじめとする、米国の同盟国である湾岸諸国が今後どのように対応するのか注目です。

     トランプ大統領は、「イスラエルはサウスパルスを再び攻撃することはない」と述べる一方で、もしイランがカタールのエネルギーインフラへの攻撃を続けるなら、米国は報復し、サウスパルスを「大規模に爆破する」とソーシャルメディアで警告しました。

     18日の攻撃の影響は、エネルギー価格急騰を招きました。ブレント原油先物価格は、18日の始値1バレルあたり約101ドルから、111ドル近くまで急騰しました。

     イランと、湾岸諸国の石油・ガス施設への相互の攻撃がエスカレートしており、そこにイスラエルも入り乱れ、さらには米軍も介入するぞと脅して、ペルシャ湾は、火のついた火薬庫のような状態にあります。

     世界有数のエネルギー資源輸出国である湾岸諸国とイランの、豊富なエネルギー資源の生産施設自体が失われる瀬戸際に追い込まれています。

     ホルムズ海峡を通航できるかどうかだけが問題なのではなく、エネルギー資源そのものが地中から掘り出せず、精製もできなくなる状況が目前に迫っています。

     全世界に波及するエネルギー危機となったら、第一次石油危機、第二次石油危機とは比べ物にならない惨禍となります。

     その時には、日本国内の消費者物価は、「月に一万円」程度ではすまなくなります。どうなるのか、想像も尽きません。

     ただ、一つ言えるのは、イランだけを責めたり、攻撃して屈服させようとすることでは、この危機を回避することも乗り越えることもできない、ということです。

     日本政府は、全力をあげて、中東以外の石油・天然ガスの確保に走り回るべきです。

     その際に、「対露制裁だけは解かない」などという頑なな態度をとるべきではありません。

     米国自体が、ロシアに石油・天然ガスの供給をうながし、事実上の対露制裁解除を行なっていることを、鈍感な高市政権といえど、理解すべきです。

     よく知られているように、日本は石油の9割以上を中東から輸入しています。しかも、その8割前後がホルムズ海峡を通過しているのです。米国とイスラエルが仕掛けたイラン戦争によって、最も影響を受けるのは日本だと言っても過言ではありません。

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