2025年7月30日、「岩上安身によるインタビュー第1201回ゲスト 一水会代表・木村三浩氏(後編)」を撮りおろし初配信した。
木村氏は、今年6月に、慶應義塾大学名誉教授の大西広氏との共著『反米自立論 日本のための選択と共同』(あけび書房)を上梓した。木村氏は、同書で、「米国の衰退をチャンスに対米自立を」と提言し、日米地位協定の見直しや、日米安保の破棄を訴えている。
インタビューの後編では、この『反米自立論 日本のための選択と共同』の内容に沿って、木村氏の訴える「対米自立論」について訊いた。
戦後80年経っても、異国の軍隊である在日米軍が国土に駐留しているというのは、「屈辱以外の何ものでもない」と、木村氏は訴えている。
日本の主権と独立を保つためには、不平等極まりない日米地位協定を抜本的に改定し、日米安保体制をリセットして、「対米自立」を果たすことが必要だというのが、木村氏の主張である。
「在日米軍の駐留を許容していながら、『対米自立』を果たすことは、夢物語」だと指摘する木村氏は、「こういうことに、みんなが関心を持たないと」と、懸念を表明した。
岩上安身が、参院選で、国民民主党や参政党などの改憲勢力が議席を伸ばしたことを指摘し、「憲法9条と日米安保は、セットにして入れられた、ということを考えれば、大前提として、憲法9条を書き換えるなら、それと同時に、『もうアメリカに居座られるのは嫌だ』と、『我々は、少なくとも米中の間に挟まれているのは、地政学的な宿命だから、中立でありたい』という道を歩むしかないんじゃないか」と、自身の見解を表明すると、木村氏も同意して、次のように述べた。
「それでいいと思いますよ。永世中立でいいんですよ。
だから、やっぱり、その覚悟ですよね。それは、政治家が、ちゃんと(対米自立を果たして、主権と独立を保つという)未来に向けての」。
岩上安身が、「日本国憲法の上に日米安保があるのに、憲法のことだけを語って、日米安保を少しもいじらないと言っている人達は、怪しい」と指摘すると、木村氏は、次のように語った。
「憲法を改める、という考えはいいんだけれども、その前に日米安保条約を破棄しなきゃいけない。やめるということが、前提なんですよ。
今、おっしゃったように、『憲法のことだけで、安保のことを言わないのは、疑いなさい』っていうのは、その通りだと思う。
我々の言葉で言うと、『ヤルタ・ポツダム体制』(米英ソによる1945年2月のヤルタ会談と、1945年7月、8月のポツダム会談で決定づけられた、米ソを中心とする第2次世界大戦後の冷戦体制)ってことなんだけど、これを変えなきゃいけない。
『自衛隊を、軍隊にしたい』という人もいらっしゃるだろうけれども、やはり自衛隊は、専守防衛を明確にする。
これから(少子化で)人が少ないんだから、どういうふうにやっていくか。自衛隊だって今、充足率はすごく低くて(2025年には、充足率が89.1%となった。特に最も下の階級である「士」の充足率は60.7%)」。
- 自衛官の定員及び現員(防衛省・自衛隊、2025年3月31日現在)
木村氏は、さらに以下のように続けた。
「日本の場合は、統合作戦司令部を、米軍と一緒になって赤坂に置くとかという話ですけど、そんなことになったら、自衛隊の指揮権も、もうどんどんアメリカに握られて、アメリカの手先として、駒として使われてしまうから、それはやっぱり、断固として反対しなきゃだめだし、阻止しなきゃならないですよね。
そのために、米軍は早く撤退させなきゃいけない、ということを、言っていかなきゃいけないと思うんです」。
木村氏は、「安保を破棄したら、日米友好条約でいいんですよ」と述べ、次のように自身の考えを表明した。
「安全保障は、総合的にいろいろ、外交もあり、また、いろんな交流もあり、そして経済の結びつきもあり、そういう側面も全部とらえて、総合安全保障で、周辺諸国との関係を(築くべき)。
私は、だから、『日露平和条約を早く締結した方がいい』ということと、『日朝国交正常化をすべきだ』ということを、言っているわけです。
それで、『大調和・総調和』の関係を維持していくということが、何よりも、非戦の論理になっていく、ということじゃないかと思いますね」。
他方で木村氏は、「今の日本国民の生活は、すべて自分達の手で勝ち取ってきた結果ではない」と指摘した。
「あえて極論を言えば、占領政策によって、自分の意志を表明できない奴隷の平和にすぎない。米国の日本支配の口実としての、都合のよい保護国的な状態」だという、木村氏の厳しい見方に、岩上安身も「その通りだと思う」と賛同した。
岩上安身による木村氏へのインタビューは、続編へと続く。




































