「対米従属を強化し、軍備拡張をするのは子どもにピストルを持たせるようなもの! 時に米国を出し抜くような独自の外交防衛戦略が必要だ」~「戦略的対米従属」は可能か 10.19院内集会 ―登壇:島田雅彦氏(作家) 2022.10.19

記事公開日:2022.10.20取材地: テキスト動画
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(取材・文、山内美穂)

 2022年10月19日(水)午後5時より、衆議院第二議員会館で作家の島田雅彦氏を招いて、「『戦略的対米従属』は可能か 10.19院内集会」が開かれた。「立憲フォーラム」と「戦争をさせない1000人委員会」の共催で行われた。

 「立憲フォーラム」は、2012年に第2次安倍政権の発足以降に、政権が顕著に前のめりになった「憲法96条改正」の動きに対抗するため、当時の民主党・社民党などの超党派議員らが結成した議員連盟だ。市民と連携を取りながら活動してきた。しばらく活動を休止していたが、同19日の議連総会を経て活動を再開した形だ。

 会場には、菅直人衆議院議員(立憲フォーラム顧問)、米山隆一衆議院議員、柚木道義衆議院議員、大河原雅子衆議院議員、立憲フォーラム代表・近藤昭一衆議院議員、幹事長・辻元清美参議院議員、新事務局長の杉尾秀哉参議院議員などリベラル派の顔ぶれが集まった。

 講演では、作家の島田雅彦氏が、自身の著書『パンとサーカス』(2022年3月、講談社)について、「(安倍元総理の)暗殺を予言したと言われているが…」と切り出し、作者としては「悪政に対する世直しを希求する声を救い上げる」意図で書いたと語り始めた。

 「結果的に不幸なことながら暗殺が奇跡的に成功してしまったことにより、今まで隠蔽されてきた不都合な真実が次々と露呈してきてしまい、一種のバタフライ・エフェクトのように、自民党の屋台骨も揺らいできているようだ」

 バタフライ・エフェクトとは、わずかな変化をきっかけに、ある系の状態が大きく変化することをいう。蝶がはばたく程度の初期条件のわずかな違いによって、遠く離れた場所の気象に影響を与えるなど、結果に大きな差が生じる現象をさす。「カオス理論」の提唱者として知られる米国の気象学者エドワード・ローレンツ(気象学者、1917-2008)が発見した。

 島田氏は、「ただ、こうしたことは予想できるものではなく、偶然が複雑に連鎖した結果、いわゆる因果律といったものを超えた想定外の現実が切り開かれてしまったもの」と表現した。

 本題の「戦略的対米従属」では、島田氏は、著書の『パンとサーカス』で描いた世界を引き合いに出しながら、「世界的にみてもどこの民主的な政権も、どこかで反米になる傾向があったのではないか。例えば東欧諸国や南米で民主的な政権が樹立されようとした、その瞬間にCIAが介入してきたりして、その動きを潰すということが何度もあった」と指摘した。

 「マフィア的な組織と手を組んでCIAの思い通りに動く傀儡政権を立ち上げてきたのではないか。アメリカが後押ししてきた民主化というのは『マフィア化』の別名でだったのではないか。それは日本の歴史を振り返ってきても言えることである」

 「今まさに『岸信介氏』や『笹川良一氏』といった彼らの名前が墓場から復活して連呼されている。統一教会やCIAとの癒着で私腹を肥やしてきた人々に注目が集まっている」と島田氏は、CIAについても多く語った。

 「自民党が長きにわたって権力の座にとどまってきたというのは『対米従属』というのが最も効果的に遂行されてきたから。国際金融からアメリカの軍産複合体への奉仕、外交経済政策における対米従属の姿勢が変わりようがないという『あきらめ』を社会に植え付けていることに、ある意味、成功してしまったということではないか」と、島田氏は危機感をあらわにした。

 島田氏は「対米従属を強化し、軍備拡張をするのは子どもにピストルを持たせるようなものだ」とし、「時にアメリカを出し抜くような独自の外交防衛戦略が必要だ」との考えを示した。

 島田氏は視点を変えて、日本人の精神分析にも迫った。

 「古くは古事記の時代から、日本人は外来勢力に国を譲るという「国譲り神話」があり、そこに原型があるとしたら、私たちの無意識の古層に『国を譲る』ことへの刷り込みがあるのかもしれず、その刷り込みの呪縛からの解放が必要なのではないかと思う」

 講演の最後には、米山隆一衆議院議員が、リベラルとは西洋のものだという視点から「対米従属をなくした時に、そこにはぽっかり穴が開いてしまって(中略)西洋的なリベラルといった人権主義が『それはオレたちのものではない』となったときに、自分たちによって立つものは何か?」と、島田氏に問うた。

 島田氏は、「それはやはり『憲法』ということになるかと思う。『憲法』には安全保障の一環として、思慮に欠けた賭博的な戦争思考に出るような人間をけん制し、勝手にさせない保険としての機能があり、国民を守るものと言えるだろう」という言葉で締めくくった。

■全編動画

  • 日時 2022年10月19日(水)17:00~
  • 場所 衆議院第二議員会館1階 多目的会議室(東京都千代田区)
  • 主催 戦争をさせない1000人委員会、立憲フォーラム(詳細

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