2020年から2021年にかけ、米国が日本に新型の中距離弾道ミサイルを大量に配備する計画を進めていることがわかったと、10月3日、琉球新報が報じた。
- 米、沖縄に新型中距離弾道ミサイル配備計画 ロシア側に伝達、2年内にも 基地負担大幅増恐れ(琉球新報、2019年10月3日)
記事によると、米国が日本への中距離弾道ミサイルの大量配備について日本側と協議すると、ロシア大統領府関係者が水面下の情報交換で米政府関係者から伝えられたとのこと。
核兵器の搭載もできる地上配備型中距離弾道ミサイルは、中距離核戦力(INF)撤廃条約により製造が禁じられていたが、米国が今年2月に条約の破棄を発表し、6ヶ月が経過したため、8月1日に失効した。
そもそもINF条約は、今から約30年前に核軍縮の流れを作った米国とロシア(当時はソ連)との間で、1988年に発効した。核軍縮分野で、一定の核弾頭や弾道ミサイルなど特定兵器の全廃が盛り込まれた、画期的な条約だった。この条約はソ連崩壊後ロシアに引き継がれたが、2010年代に入り、ロシアが巡航ミサイルの開発を進めたことを、米国が条約違反だと指摘した。
その後、この条約に参加していない中国がミサイル開発を進めていることなどを背景として、2018年10月にドナルド・トランプ大統領が条約を破棄する方針を表明し、翌年2月1日に条約破棄を通報し、今年8月1日の失効に至った。
- INF条約失効へ 新たな核軍縮の枠組みを(徳島新聞社説、2019年7月31日)
以前から米ロ両国は、INF条約に縛られることへの不満が募っていたともいわれている。条約の失効により、両国が核の搭載も可能なミサイルの開発を本格化させると見られることから、沖縄のみならず日本全土にミサイルが大量配備される可能性も出てきた。
岩上安身はこの報道について、次のようにツイートしている。
「このニュースのポイントは、ロシア側に通告をした、という点。かつての西ドイツへの戦術核配備を思い出す」
- 岩上安身のツイート(2019年10月3日)
INF条約が今年の夏まで存続していたのは、米ロ両国が条約破棄による影響を認識していたからだ。その条約が遂に失効してしまったことにより、両国の「タガ」が外れて世界各国で際限のない核配備が進んでいくおそれがある。
日本においても、在日米軍のPAC3が既に配備されている沖縄の嘉手納基地に中距離ミサイルの配備が進むのではないかという見方もされている。さらに自衛隊が配備するPAC3や、イージス・アショア配備予定の秋田市や萩市などにも配備される可能性は否定できない。
来年以降の配備を目指し、米国は日本と協議するとも報じられているが、世界唯一の戦争による被爆国において、「非核三原則」が国是であるはずのこの国で、なし崩し的に核兵器の配備が進んでいくという悪夢のような事態が現実のものとなりつつあることを、今知っておく必要がある。
岩上安身は2010年から、元外務省国際情報局長の孫崎享氏とともに、敵国と同盟国との間で核の相打ちをさせ、米本土は安全圏に置いて漁夫の利を得ようとする米国のオフショア・バランシングの危険性を指摘し続けてきた。
ぜひ、この動画をご覧いただきたい。
IWJは九年も前から警鐘を鳴らしていたのに、他のメディアは何をしてたの?悔しいなあ。一番悔しさを感じてるのは岩上さんなんだろうけど。
”米国が日本に新型中距離弾道ミサイルを大量配備!? 日本列島は米中露の核の戦場にされる!?” https://iwj.co.jp/wj/open/archives/458384 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1181323216771354624