2023年2月14日午前9時10分より、東京都千代田区の経済産業省にて、西村康稔経済産業大臣の定例記者会見が開催された。
西村大臣からの冒頭発言はなく、そのまま大臣と各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は、中国に対する「半導体製造装置の対中輸出制限」について、以下のとおり質問をした。
「先月末、日米オランダが『半導体製造装置の対中輸出制限で合意した』と、報じられました。
しかし、『21年度の日本製製造装置の海外向け売上高は中国向けが最も多く、全体の33%』でした。対中輸出制限に参加し、不利益を被るのは、実は日本の半導体業界であり、日本経済ではないでしょうか?
80年代90年代当時、最強だった日本の半導体業界は、その弱体化のための米国の戦略である『日米半導体協定』で潰されました。米国の戦略に従い、『対中輸出制限』に参加することは、日本の国益を損なうことになるのではないでしょうか?」
これに対し、西村大臣は次のように答えた。
「半導体の歴史をここで長く語るつもりはありません。けれども、日本側民間企業にも、官の側にも、さまざまな課題がある中で、かつて50%のシェアを占めていたものが、10%ぐらいのシェアにしてしまったというところは、我々の歴史の教訓、これをしっかりと検証・分析した上で、新たな戦略を立てていかなければならないというふうに思っております。
民間企業がいくつも多数あって、しかも自社が内製で、中で閉鎖的に自分たちで開発をし、交渉するというような、そういう状況でありましたので、人材も分散をし、また大きな投資もなかなかできなかった。
また、オープンなイノベーションということで、外の力を借りて、新しい研究開発にイノベーションを起こしていくこともなかった。
という中で、ご指摘のように政府の側も、産業政策に否定的なアメリカの意向などもあり、政府の方も大きな投資をして支援をしてこなかったという中で、今の状況があるわけであります。
まさにその教訓・分析の上に立って、今回最先端の半導体、まさに会社を、主要企業出資のもとにつくり、そして政府としてもさまざまな支援策を用意し、昨年の補正予算でも1.3兆円という規模の支援策を用意する。そうしたことで、民間の投資をうながし、世界の最先端に挑戦をしていく。
その際に、かつてのように1国だけでやる、また、保護主義的にやるということではなくて、同志国が連携をして、大きなイノベーションで協調する形で、1国でもできない巨額な投資にもなりますので、連携してやるという中でアメリカ・ヨーロッパと連携をして、そうした最先端の半導体に取り組むという方針でのぞんでおります。
そうした中で、何か半導体製造装置の輸出規制を、我が国が強化をする方針を決定したということはございません。アメリカの規制強化については、引き続き国内企業からのいろいろな影響など、ヒアリングなども行ってきておりますけれども、直接的に大きな影響が生じているとの報告を受けていないところであります。
今後も国際的な安全保障の観点から、外為法にもとづいて厳格に輸出管理を行っていく。そうしたことが必要だというふうに考えております。
いずれにしても、同志としっかりと意思疎通をはかりながら対応していきたいというふうに考えております」
他社の記者からは、「日銀の新総裁人事」および「セキュリティ・クリアランス制度の導入」についての質問があった。
詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。