2022年7月1日、東京・千代田区の経済産業省本館にて、午後4時半より、荻生田光一 経済産業大臣の記者会見が開催された。
会見は5分間にも満たない短いものであったが、まず、荻生田大臣と幹事社であるTBSテレビの記者との間で以下のようなやり取りがあった。
TBSテレビ記者「ロシアのプーチン大統領が、日本企業も権益をもっている『サハリン2』、こちらから排除する可能性のある大統領令に署名をしたわけですけれども、実際にエネルギーを輸入している日本の企業とか、実際にそこで権益をもっている商社、日本企業への影響、日本経済への影響、そして、政府としてどのような対応をとられるのか?現時点でお話しできることをお願いします」。
荻生田大臣「まず、ロシアの現地時間の6月30日、プーチン大統領が、日本企業も出資するサハリン・エナジー社のすべての権利と義務を、新たに設立するロシア法人に譲渡することなどを定める大統領令に署名をしたことは、承知をしております。
本大統領令による、『サハリン2』プロジェクトにおける日本の権益の扱いですとか、『サハリン2』プロジェクトからの日本企業への、LNG(液化天然ガス)輸入への影響については、精査をしている最中です。
一方で、電力やガスの安定供給の観点からも、『サハリン2』からのLNG供給の重要性は何ら変わるものではありません。引き続き、日本企業や関係省庁ともよく相談しながら、今後の対応を決めていきたいと思っています」。
TBSテレビ記者「今回の(ロシア側の)対応というのは、ある程度、当初から想定されていたかとは思うのですが、特に、現時点で何か動きというのは、とられているのでしょうか?」
荻生田大臣「今、どういう内容なのか、というのを、ロシア語ですからね、きちんと精査をして、現地でもいろんな情報収集をしておりますので、まずは事実関係をしっかり確認したいなと思っております」。
続いて、荻生田大臣と記者との質疑応答となったが、大臣の時間の関係で1社のみの質問となった。
産経新聞記者は、「LNG輸入ができなくなった場合の代替措置の準備状況」について質問し、荻生田大臣は、「今回の大統領令によって、直ちに『サハリン2』からLNGの輸入ができなくなるものではない」とし、「今後、様々な不測の事態に備え、万全の対策をとる必要がある」と述べた。
また、荻生田大臣は、「(LNGについて)短期的には事業者間で必要な融通が行われていると想定され、長期的には、ロシア以外のLNG生産国やスポットマーケットからの代替調達、必要に応じた需要の抑制などあらゆる手段を通じてエネルギーの安定確保に取り組んでいく」と具体的な展望を示した。
だが、対策は、このような対症療法的なものだけで十分だろうか? 日本の権益を維持するためには、当然ながら、米国が主導する対ロシア制裁に付き従っていては困難である。たとえば、インドなどは「中立」の立場で制裁に参加せず、3割引でロシア産の原油を購入している。また、アジアの多くの国々は対ロシア制裁に関与していない。
日本も、独自の立場から自国の権益を守り発展させることが必要だと考えるが、荻生田大臣はどのように考えているのだろうか。
会見の詳細については、全編動画をご確認ください。