2022年2月4日(金)9時45分頃より、後藤茂之厚生労働大臣の定例会見が、厚生労働省にて開催され、IWJが生中継した。
後藤大臣は冒頭発言で、新型コロナの経口治療薬モルヌピラビルの供給状況等に関する報告を行った。
質疑応答で、IWJの記者は以下のように質問を行った。
「介護職員の給与9000円の引き上げが今月始まりますが、9月までは補正予算で賄われる一方、10月以降は介護保険、税金、利用者負担で構成される『介護報酬』の引き上げがあてられる方針と報じられています。
介護保険料を滞納して資産の差し押さえを受けた高齢者は年2万人を超えると言われ、高齢者が利用者負担に耐えられなければ介護サービスを利用できなくなる可能性もあります。
すでに利用者や家族の生活困難が拡大し、介護殺人も後を絶たない現状があります。また、『介護報酬』をあてることで、職員給与引き上げを阻害される懸念も指摘されます。
そのため賃上げの財源は、介護報酬と別の補助金とする必要が訴えられています。
1月28日には、認知症の人と家族の会など7団体が、20万筆近い署名を集めて、国庫負担の大幅引き上げをはじめ、自己負担や保険料の軽減、介護職給与を全産業平均レベルまで上げるなどの要求をしていますが、政府方針は、これと真逆に見えます。
そもそも消費税は社会保障の財源としてあてるために始まり、税率を上げられてきたのではなかったのはないでしょうか?
こうした訴えに対する、大臣のお考えをお聞かせください」
これに対して、後藤厚労大臣は、次のように回答した。
「介護職員の給与が、他の職種との比較においても低い状況にあって、その人材確保に向けて、処遇改善を取り組む必要があるというふうに考えてまいりまして、介護職員について、これまで累次の処遇改善に取り組んでまいりました。
今般のこの介護職員の処遇改善の措置につきましても、継続的なものになるように、補正予算によりまして、2月に前倒しして、9月まで実施した上で、本年10月以降については、介護報酬改定により、きっちりと継続的な措置、すなわち恒久的に続くようにということで、制度の処置を行いました。
介護職員の処遇改善については、事業者にとって、安定的・継続的な事業収入が今後とも見込まれる介護報酬において対応をすることとしております。
介護保険制度は、保険料負担、公費負担、利用者負担の適切な組み合わせによりまして、国民みんなで支えあうことで、持続可能なものとしておりまして、こうした枠組みのもとで対応していくことが適切であるというふうに考えております。
なお、たいへんに厳しい状況におられる皆様がおられることについては、認識をしておりますし、そうした方たちの生活が成り立つようにしていくことは、大切なことだというふうに思っておりまして。
例えば介護保険制度におきましては、被保険者の負担が過重なものとならないように、低所得者にかかる介護保険料の負担軽減を行っておりますし、利用者負担割合を原則として1割としつつ、月々の利用者負担額が、年金収入に応じて定める上限額を超えた場合には、払い戻しを行うなど、低所得者の負担にも配慮している、そういう制度となっていると思っています。
以上でございます」