新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」出現を、下記記事でお伝えした。本記事はこの続報として、その影響を含めて詳細な情報をお伝えする。
WHOは新変異株「B.1.1.529」を「オミクロン」と名付け、最も懸念すべきランクの「VOC(懸念すべき変異株)」に指定した。この指定は、きわめてハイリスクで広範囲の感染拡大が懸念されることを意味する。
南アフリカでは、新規感染者数が11月のわずか2週間で約10倍に増加しており、オミクロン株がその急増要因として疑われている。
オミクロン株は、変異数が従来株より格段に多く、高い感染力やワクチン効果低減の恐れがある。
南アではわずか2週間でデルタ株からオミクロン株に置き換わったことが判明しており、香港では、斜め向かいの部屋の人から感染したと見られる事例があるなど、これまでの株には前例のないような、感染力の強さが懸念されている。
こうした高いリスクに対して、英国はじめ各国が南アフリカやその周辺国からの渡航制限に踏みきった。
日本政府は、当初もたつきを見せていたが、11月29日、岸田文雄総理が、「外国人の入国を11月30日午前0時より全世界を対象に禁止」と発表。あわせて、南アフリカなど水際対策を強化した9カ国から32人が入国し、ナミビアから入国した1人は、新型コロナ陽性の疑いがあることを明らかにした。
一方、米国のバイデン大統領は、発展途上国へのワクチン提供の加速を呼びかけた。途上国にワクチンを分配しなければ、結局、感染拡大地帯が地球上に残り、そこから変異株が生まれ、感染が全世界に広まってしまうからだ。
製薬大手各社はオミクロン株へのワクチンの効果確認に着手したが、この株の変異が免疫低下を加速する懸念があると公表されている。
ニューヨーク州ではオミクロン株に備えて非常事態宣言を出し、ニューヨーク株式市場は景気回復の遅れを懸念して続落した。
また、11月には原油価格の高騰に対抗するため、米国が日本など、石油輸入消費国各国に備蓄石油の放出を要請していたが、オミクロン株の登場で原油価格が急落する皮肉な展開が生じた。
しかし一度縮小した石油の供給力は容易に回復しないため、決して一時的な原油価格低下を手放しでは喜べない。