IWJ代表の岩上安身です。
元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏が、『サブスタック』の自身のブログ「ウェポンズ・アンド・ストラテジー(武器と戦略)」で、1月3日、ウクライナ軍によるロシア領内の都市ベルゴロドへの攻撃について、「ゼレンスキーは致命的なミスを犯した可能性がある」と警鐘を鳴らしました。
- Russia Steps Up Attacks on Ukraine After Rocket Strikes on Belgorod――Zelensky May Have Made a Fatal Mistake(Stephen Bryen、Substuck、2024年1月3日)
『日刊IWJガイド』の2024年1月5日号でも、2023年末の12月26日に、クリミア半島の港湾に駐留していたロシア海軍船に対するウクライナ軍による攻撃に対して、「開戦以来最大の規模」とされるロシア側の反撃が12月29日から行われ、さらにそれに対し、ウクライナ側によってベルゴロドへの民間人に対する、クラスター爆弾を用いた無差別攻撃が12月30日に行われるなど、報復の応酬が続いていることをお知らせしています。どうぞ、あわせてお読みください。
ブライエン氏は米国防副次官のほか、リーハイ大学政府助教授、米国上院外交委員会上級参謀長、ユダヤ国家安全保障問題研究所所長、貿易安全保障政策担当国防次官代理などを歴任し、国防技術安全保障局の創設者および初代局長、デルタ・テック社の社長、フィンメカニカ・ノース・アメリカ(現レオナルド)の社長、および米国中国安全保障検討委員会の委員を務めた経歴があります。米国の軍事・国家安全保障の中枢を担ってきた人物であり、その発言は評論家のものとは違い、きわめて意味のあるものです。
IWJはこれまで、『日刊IWJガイド』や『IWJ号外』で、ブライエン氏の的確な戦局分析を取り上げてきました。
ロシアが2022年の秋から冬にかけて構築した3重の防衛線「スロヴィキン・ライン」を、ウクライナ軍は2023年6月に始まった「反転攻勢」でついに破ることができませんでした。
西側から供与された軍備も多くが破壊され、ウクライナ軍の兵士の損耗も激しく、米国やEUなどからの軍事支援もほぼ枯渇した停滞状況にあることは、IWJではすでに繰り返しお伝えしてきました。
しかし、ゼレンスキー大統領は、まだまだ戦闘を継続する意向です。
ゼレンスキー大統領は、莫大な損失を出す地上戦ではなく、米国や英国フランスなどが供与した長射程ミサイルや自爆型無人機などの「飛び道具」を用いて、クリミア半島やロシア領内に攻撃をかけ、西側諸国の注目を集め、軍事支援の再開に結びつる戦略に出ています。
ブライエン氏は、このゼレンスキー大統領の戦略は、ウクライナ軍総司令官であるザルジニー将軍の唱える、確実に防衛できるところまで後退して、できる限りロシアの攻勢をしのぐという作戦とは、まったく別の方向性だと指摘しています。
ブライエン氏は、ゼレンスキー大統領の戦略は、むしろ、ロシアと直接対決したくないNATO諸国の支持を失う「自傷行為」になるだろうと警告しています。
詳しくはどうぞ、IWJによる以下の仮訳・粗訳をお読みください。
ロシア、ベルゴロドへのロケット弾攻撃を受け、ウクライナへの攻撃を強化
ゼレンスキーは致命的なミスを犯した可能性がある
スティーブン・ブライエン
2024年1月3日
https://weapons.substack.com/p/russia-steps-up-attacks-on-ukraine
「2024年1月1日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、12月30日の、ウクライナによるロシアの都市ベルゴロドへの攻撃について、『罰せられないわけにはいかない』と述べた[原注1]。
[原注1] Putin calls Ukrainian attack on Belgorod terrorism, promises more strikes(Reuter、2024年1月1日)
https://www.reuters.com/world/europe/putin-calls-ukrainian-attack-belgorod-terrorism-promises-more-strikes-2024-01-01/
12月31日、ロシア軍はウクライナの様々な標的に向けて、約50機のドローンを発射した。1月1日にはその数が90機に増えた。
しかし、最も激しい攻撃は1月2日に行われた。少なくとも3波のドローンとミサイルによる攻撃が、ウクライナの標的を襲った(午前6時55分、午前8時20分、午前9時30分)。
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