2022年11月29日、午前9時30分より、東京都千代田区の法務省にて、齋藤健法務大臣の定例記者会見が行われた。
IWJ記者は、統一教会問題について、以下のとおり、質問した。
「統一教会問題について、2点、うかがいます。
統一教会の被害者個々人の救済の必要性が国会でも議論されていますが、被害者救済に向けては、海外にある統一教会の資産を差し押さえるなど、国民の税金を用いず、すべて教団に支払わせるのが筋ではないかと考えますが、この点のお考えをお聞かせください。
また、日本の教団は統一教会の一支部に過ぎず、信者の献金も韓国の本部に差し出してしまっていると思われます。その統一教会が日本で集めた巨額資金がどこへ流れ、どのように使われたのかという資金の流れの全容を解明する必要があります。
特に、文鮮明らが、北朝鮮に送金をした後、北朝鮮の核開発、ミサイル開発のために使われたのではないかという疑惑があり、この問題は刑法上、また国家安全保障上の問題として追及されるべきではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください」
この質問に対し、齋藤大臣は次のように答えた。
「大変重要なご指摘だと思いますけれども、法務大臣としての立場で答弁を、お答えをさせていただくしかないかなと思っておりますが、まず、私としてはですね、寄付の不当な勧誘によって生じた被害を救済するという観点から、まずは国内において必要な措置を講じていくということが大臣として重要であると考えております。
現在、御案内のように、寄付の不当な勧誘による被害の救済を容易にするために、『消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案』が既に閣議決定をされているほか、『寄附に関する新法』が、消費者庁において検討されているのは御案内のとおりだと思います。
- 「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」の閣議決定について(消費者庁、2022年11月18日)
- 報告書 霊感商法等の悪質商法への対策検討会(消費者庁、2022年10月17日)
法務省としては、それらの法律の案中ですね、当省の所管事項に関する事項について必要な協力をするなど、引き続き被害者の救済に向けた取り組みに万全を尽くしてまいりたいと、まあ、我々ができることをしっかりやっていくということに尽きるだろうと思います。
ただ、刑法上の問題があるものにつきましては、捜査機関の活動内容にかかわるということもあるので、法務大臣としてコメントは難しいかなというふうに思っています」
齋藤大臣は、統一教会が日本で集めた巨額資金の「流れの全容の解明}について、そして、その資金が、「軍事的目的で北朝鮮に流れているという疑い」についてはまったく触れず、現在検討されている法案の範囲内でのみ、「法務省のできることをしっかりやっていく」のだと述べた。
統一教会の犯罪の全容を突き止めるためには、まず、強制捜査が必要となるのではないか。統一教会は、韓国に本部を置き上位下達の教祖独裁組織である。つまり、組織犯罪の罪を問う場合と同じく、組織の頂点にいる韓鶴子総裁の「使用者責任」が問われなくてはならないだろう。
また、統一教会は、すべての万物は神のもとに復帰するという「万物復帰」という教義、そして、すべての国家は神のもとに復帰するという「国家復帰」という教義を掲げている。
さらに、統一教会は、「天一国」という地上天国を建設するという政治的目標を掲げており、この教義を日本の国教にし、日本の政治家と癒着し、コントロールすることで日本を征服することを教え、実行に移している。
彼らは日本の国家転覆を目指す団体であり、彼らの教義にもとづく活動は、「内乱罪」に該当するのではないか?
次回の会見では、「使用者責任」と「内乱罪」の適用可能性について、あらためて、齋藤大臣に質問したい。
齋藤大臣からは、冒頭、2つの報告があった。
一つは、「ADR(裁判外紛争解決手続)の日」および「ADR週間」について、裁判以外の紛争解決手続である「ADR」やデジタル技術を活用した「ODR(オンラインADR)」の一層の浸透を図るため、「ADR法」の公布日である12月1日を『ADRの日』、同日から12月7日までの1週間を『ADR週間』とするこというもの。
二つ目の報告は、刑務所と地方自治体や民間企業が連携した「再犯防止」の取り組みについて、官民共同の刑務所である喜連川社会復帰促進センターにおいて、11月29日から約4ヶ月にわたり、栃木県さくら市、株式会社小学館集英社プロダクション、および、ヤフー株式会社と連携し、ネットストアの開設・販売・運営に係る職業訓練を行うというものである。
詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。