2022年6月17日、午後3時頃より、東京都千代田区の最高裁判所第二小法廷にて、原発事故損害賠償4訴訟(千葉・群馬・生業・愛媛)についての最高裁判決が出された。
最高裁判所正門から姿を現した弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士は、判決内容について、集まった関係者や報道陣に向け、激しく、厳しい口調で次のとおり報告をした。
「判決は、『国の責任を認めない』という、まったく受け入れられない内容の結論でした。結論が受け入れられないだけでなく、判決を、結論を導いたその判断の過程がまったく被害に向き合っていない。
あれだけの事故を起こしていながら、そして、これだけの被害が生じていながら、今回、第二小法廷で何と言ったか?
『おそらく、対策をとっていたとしても、とっていたであろう蓋然性が高い、防潮堤を作っていたとしても、結果を避けることはできなかった。そうであるならば、責任は問えない』のだと。そういう話になっています。
私たちが何を一番求めていたか? 最大の争点はどこだと言っていたか?『予見できたかどうか』(については)この判決で触れられていません。
言ってしまえば、事故前の行政の実務、これを所与として、そういった行政がもっともとったであろう対策を前提にして、それをやったとしても、結果は変わらなかったんだよ、と。だから責任はとれない、そういう話になっています。
私たちが求めていたものは何か? 事故前の行政の実務が、まさにその法令の趣旨・目的に照らして、正しかったのかと、そこを問うていました。そこについては、まったく答えていない!」。
馬奈木氏の第一声の後、午後4時より、会場を衆議院第二議員会館に移して、原発被害者訴訟原告団全国連絡会の主催により、記者会見が開催された。
会見では、千葉・群馬・生業・愛媛、それぞれの訴訟の原告が最高裁判決について、それぞれの思うところを述べた。
福島(生業)訴訟原告団長の中島孝氏は次のように自身の思いを述べた。
「これでもか、というくらい無責任な判決だと思うんですね。馬奈木さんも言ったとおり、原発事故で放射能に追われる怖さ。みんなあてもなく避難したり、あるいは、非難する手立ても見当たらずに、福島の中に留まった私のような者も圧倒的に多い。
でも、その人たちはまた生きる苦難を一身に背負ってしまった。今も続いている。ですから、ここでそれを大きく切り替える判決を、私たちは期待していました。でなければ、やっぱり繰り返すんですね。
今日の判決で、日本は原発事故をまた必ず繰り返すと思います。そういう判決を最高裁は出した。そのことを、私は絶対許せないし、ここで闘いは終わらない。
本当に闘いだと思います。何度たたかれても立ち上がる。それが人間だと思いますので、私はまた闘います」。
記者から「国に対して、もしくは数千人の原告の皆さんに対して今、言いたいことがあればお願いします」と問われ、中島氏は次のように答えた。
「負けましたけど、我々の暮らしがこれで、すぐ変わる、どうにか変わるわけではないですね。
それぞれ、この間の苦難を、そのまま引きずって、今日があるわけで、ここからまた立ち上がろうと、頑張ろうと伝えます。それしかないです」。
詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。
また、記者会見の後、東京・日本教育会館一ツ橋ホールで行われた報告集会については、以下の記事を御覧いただきたい。