2022年2月27日、プーチン大統領が核戦力の準備を指示するとともに、ベラルーシではロシアの核を自国内に配備できるよう、国民投票で改憲を決定した。「ウクライナ危機」は「核戦争の危機」にレベルを変えようとしている。
こうした動きを非難する米国や欧州各国の側は、政府もメディアも、ロシアが要求する東欧の中距離ミサイル撤去の件はスルーしていることから、実は核配備の意図があることがうかがわれる。弾頭だけ核弾頭に取り替えれば、いつでも戦術核ミサイルになりうるのである。
もし、ウクライナ紛争がNATO対ロシアの戦いに、どこかの時点で「転化」した場合は、NATOには米国が含まれており、その米国と日本は日米安保条約を結んでおり、しかも解釈改憲によって、自動的に参戦することになる可能性が高い。
ロシアへの経済制裁に参加し、ロシアから「非友好国」とされた日本は、ロシアの東の端で国境を接しており、核保有国ロシアとNATOとの戦争が現実になれば、日本も参戦させられるはめになる。その可能性は決して小さくはない。
プーチン大統領の核戦力準備は、彼が東欧からのミサイル撤去を求めて、差し違え覚悟の本気で立ち向かおうとしていることを示している。
詳しくは記事本文を御覧いただきたい!
プーチン大統領が核兵器準備! ベラルーシがロシアの核を自国内配備できるよう改憲!「ウクライナ危機」は「核戦争の危機」に!!
2022年「ウクライナ危機」は、どうやら兄弟民族であるロシアとウクライナの紛争程度に終わることなく、「核戦争の危機」の次元へと引き上げられそうだ。
プーチン大統領は2月27日、「NATOから攻撃的な発言がなされている」として、核戦力を含む軍の「核抑止部隊」に任務遂行のための高度な警戒態勢に移行するようショイグ国防相らに指示した。
『インターファクス』は、27日、ベラルーシのルカシェンコ大統領が、「西側」が国境近くに核兵器を配備した場合、核兵器は再びベラルーシ国内に配備されると述べたことを伝えた。
ソ連崩壊に伴い、核保有国としての地位はロシアにのみ継承され、その他のベラルーシやウクライナなど残り14の連邦構成共和国に配備されていた核兵器は撤去された。その核兵器をロシアから提供されて配備する、ということである。
いうなれば、米国の核を日本国内に、米国の核兵器を「核共有(ニュークリアシェアリング)」の形で配備しようと主張した安倍元総理の案と同じことである。どちらも核で米国が本土を守るサテライト(衛星国家)が戦術核配備することに変わりはない。
ルカシェンコ大統領は前日に、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と核兵器配備について話した内容を述べている。
ルカシェンコ大統領「もしアメリカか、フランス、核保有国が核兵器をポーランド、リトアニアなど、私たちの国境に移すのなら(ベラルーシは核兵器を持っていないので)、私はプーチン大統領に、かつて(ソ連邦解体時に)返却した武器(核兵器)を、前提条件なしでベラルーシに返すように頼む。それに疑問はない」
- ベラルーシが核兵器をポーランドまたはリトアニアに譲渡した場合、核兵器を配備する-ルカシェンコ(Belarus to deploy nuclear weapons if such weapons transferred to Poland or Lithuania – Lukashenko)(Interfax、2022年2月28日)
ルカシェンコ大統領の言葉通り、ベラルーシは27日、憲法改正の是非を問う国民投票を実施した。改憲案には、ベラルーシは「中立国家」であり、「非核地帯」であると明記した条文を削除し、ロシアの核兵器をベラルーシ国内に配備することを可能にする内容が盛り込まれている。
改憲によって、ルカシェンコ大統領は、2035年までの続投が可能となり、外交や軍事の基本方針を決める最高機関のトップに就任することもできるようになる。
この改憲案は、27日に実施された憲法改正の是非を問う国民投票で、ベラルーシの中央選管によると有権者全体の65.2%の賛成多数で承認された。
28日付け東京新聞は、「選管は3月3日、結果を正式承認する」と報じていた。ルカシェンコ大統領は3月4日に国民投票の決定に署名し、新憲法は3月15日から施行された。
- ベラルーシ公開情報取りまとめ(2月28日~3月6日・pdfファイル)
記事はさらにベラルーシのルカシェンコ大統領が「NATO加盟国の隣国ポーランドやリトアニアに核兵器が配備された場合は、ロシアに核兵器提供を要請すると述べた」と報じている。
米欧はロシアとベラルーシの核準備を非難する一方で、東欧のミサイル撤去の要求はスルー! 腹の中に核配備が!?
G7は2月27日、オンラインで緊急の外相会合を開き、ロシアのウクライナ侵攻に協力しているとして、ベラルーシに制裁を発動することで一致した。会合にはウクライナのクレバ外相も参加した。
プーチン大統領が核抑止部隊に特別警戒態勢を取るよう命じたことについては、米国防総省高官も27日、「不必要かつ緊張を高める行為で、誤算があれば事態はより危険になる」と批判した。
NATOのストルテンベルグ事務総長も米CNNテレビのインタビューで「事態がさらに深刻になる」「我々は、安全保障の新たな段階に直面していることを理解しなければならない」と警戒している。
首をかしげたくなるのは、西側諸国の首脳や、NATOらは、核の運搬手法となりうるミサイルを、東欧から撤去せよ、という要求には、素知らぬふりをして、スルーし続けていることである。
この光景を見ていると、この点には返事をしたくないのだな、つまりはNATO側はミサイル撤去に応じず、いずれ弾頭を取り替えて核配備するつもりが腹の中にあるのだな、ということが、はた目から見てとれるようになっている。
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