米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!第2弾~岩上安身によるインタビュー 第1071回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.3.30

記事公開日:2022.4.3取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

 昨日、3月30日水曜日、午後7時から「米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く! 岩上安身による国際政治学者 六辻彰二氏インタビュー第2弾」をお送りした。インタビューは、ZOOMをつないでのオンライン形式で行われた。

 前回は、ロシアによるウクライナ侵攻について、なぜロシアはウクライナに侵攻しなくてはならなかったのか、ということを中心に、メディアで報じられ続ける「侵攻した悪いロシア」が本当に正しいのかどうか、検証した。

 世界中の多くのメディアや有識者が、侵攻されたウクライナや、それを支援する米国、NATOの対応を称賛する中、六辻氏は、冷静に「この紛争のあと」を見直す眼をお持ちの学者の一人である。

 前回、3月25日のインタビューで六辻氏は、ロシアのウクライナ侵攻は、冷戦が終了して以降、ロシアの意見に耳を傾けてこなかった、西側諸国にも責任があると指摘している。

六辻氏「東西冷戦終結後、日本を含む西側が『我々が勝った』という高揚感みたいなのがある中で、事実上の敗者であるロシアを虐げることに関して、誰も、何も言わないという傾向が全体的に強かったのではないのかなと思います」

岩上「(ロシアを虐げることが)ずっと続いてきて、ロシアの限界に近いところまで、つまりNATOの東方拡大が首元まで迫るというところまでくる。そこで冬眠中の熊が暴れ出すということですね」

六辻氏「その冬眠中の熊は騒音がやかましいなと、苦情を言っていたのに、その苦情を誰も聞いてくれなかった。それが神経をより苛立たせたのだろうと思います」

 前回のインタビューは、以下のURLから御覧いただけます。

 また、六辻氏は、ゼレンスキー大統領が世界各国に呼び掛けた義勇兵について、ウクライナが「過激派の巣窟」になってしまうのではないかと危機感を示していた。

 六辻氏は、2014年のクリミア危機から、ウクライナで #アゾフなど、極右ネオナチ民兵組織に、欧米各国から極右の活動家などが続々加わり、捕虜虐殺等の戦争犯罪をしてきたにも関わらず、ウクライナの国軍に編入されたと指摘する。

 第2回の今回は、ウクライナにおけるネオナチ組織、ネオナチの #アゾフ連隊の結成かから、その特徴など、アゾフ連隊とは何者か、ということを中心に、岩上安身が六辻彰二氏にインタビューを行った。

 六辻氏は、ウクライナのアゾフ連隊の結成の経緯について次のように述べている。

六辻氏「2014年以降、ロシアと戦うという大義名分のもとにウクライナの民族主義者たちが武装化していきました。その中で、 #アゾフ連隊のような団体も出てきました。そこに、感化された外部の人間が集まってきて、協力するようになりました。

 その多くは、欧米の中で暮らしにくさを抱えてしまった人達が集まってくる。ある種の吹き溜まりみたいなことになっていきました」

  #アゾフ連隊は、2014年のクリミア危機の後にも、ドンバス地域で引き続き起こっていた紛争で、捕虜として捉えたロシア兵を虐殺するなど、戦争犯罪をしていたのではないかと指摘されている。六辻氏は #アゾフ連隊の残虐性について次のように指摘する。

 「この問題は、2014年頃からすでにアムネスティ・インターナショナルという国際人権団体が指摘していました。民兵ですから、上意下達の指揮命令系統があるわけでもなんでもない、国際法も理解していない中で、とにかく気に入らなきゃ殺してしまえということになりやすいのです。それはウクライナだけでなく、どこでもそうです。

 そういう中で、『捕虜を捕まえた。こいつら殺してしまえばいいじゃないか』という虐殺行為というのはいくらもあったと、というふうに国際人権団体が報告しているんですけども、その後の事後調査というのはウクライナ当局は行って来ませんでした。

 それがないから調査しないんだ、という言い分になりやすいんですけど、調査した上でなければ、あったかなかったか、言えないじゃないか、ということなんです。けど、それを全部なかったことにしてしまう。

 それも結局、『ロシアに対抗するためだ。分離派に対抗するためだ』というので通ってきてしまった」

 さらに六辻氏は、このように残虐性の高い #アゾフ連隊が、ウクライナの国軍に編入されたことに危機感を示す。

六辻氏「2014年に発足して、ロシアとウクライナの間のミンスク合意で一応の停戦はでき上がったと、形だけですけども。それをきっかけに、国軍に編入されたというのは、あまりにも野放しにしておくのはマズイと、囲い込んでしまえ、というウクライナ政府の判断だったと思います。

 ただ、囲い込んだものの、ちゃんと軍人として訓練を受けた人達でもなんでもないわけで、コントロールが効かないわけですね。さらに、具合の悪いことに、軍の一部になりながらも資金も、人員も、結局自前で全部やってしまっている、ここが最大の問題なんですね。

 よく、『アゾフとか極右勢力は、今、国防軍の中に組み込まれているのだから、極右でもなんでもないんだ、危険じゃないんだ』って世界中どこででもきくんですけど、それはかたち上は組みこまれているけど、別に国防軍から恩恵を受けなくても彼らはやっていける立場にあるんですね。

 それこそ、海外からいろんな形で献金とか集まって来ますし、SNSでいろんなプロパガンダを流すことによって人員も集まって来ますし、訓練も自前でやっています。

 となると、逆に政府がお墨付きを与えてしまったような格好になって、 #アゾフがお墨付きのもと、好き勝手やれる状況がむしろ加速してしまったのが、この8年間だったと思います」

 詳細は、本編を御覧いただきたい。

 岩上安身は、先日のテレビ朝日の、 #アゾフ司令官のインタビューを取り上げ、彼らが「自分たちはネオナチではない、愛国者だ」という言い分を、そのまま流し、さらに軍事ジャーナリスト黒井文太郎が「彼らは思想的に無力化された」というコメントをつけ加えて、 #アゾフの主張を補強したことを指摘し、 #アゾフらの実態を明らかにして、批判した。

 六辻氏の発言は、大手メディアでは報じられることがなかった、あるいは「陰謀論」や「過去の話」といった、 #アゾフの存在自体に否定的な論調をひっくり返す内容だった。

 今回お届けすることの出来なかった内容は、4月6日水曜日、岩上安身による六辻彰二氏にインタビュー第3弾をお送する。

 第3弾は、 #アゾフ連隊ら、ウクライナのネオナチの正体について、さらにくわしく六辻氏にお聞きする予定である。

 また、今回のインタビューの最後で、米国が2014年から2022年までの8年間、CIAの準軍事組織をウクライナに送りこみ、ウクライナ軍の訓練やロシア軍の戦術分析情報を共有していたと、元CIAの職員が匿名で明かしていることを、岩上安身が触れた。

 この話は3月30日に出した号外第10号「スクープ! CIAはウクライナ軍に2014年から2022年まで積極的に関与していた! 英文での独占スクープ記事『ウクライナのCIA訓練プログラムがロシア侵攻に対するキエフの準備を助けた』をIWJが全文仮訳!ウクライナはロシア軍とCIA準軍事組織の代理戦争の戦場だった?」にもとづくものである。

 こうした米国による密かな軍事支援が、今のウクライナの激しい抗戦を可能にしているものと思われる。このように米国は、戦争終結を口先では唱えながら、戦争当事者である一方のウクライナに今も支援をし続けていたことが明らかとなっている。日本のメディアが報じない、米国の矛盾について、IWJでは、詳細にお届けしているので、ぜひ、御覧いただきたい。

 また、これまでのウクライナ危機の経緯について、岩上安身は2022年に入ってから、元外務省国際情報局長の孫崎享氏に4回の連続インタビューを行っている。ロシアによるウクライナ侵攻に至るまでの経緯を知りたい方はぜひ、御覧いただきたい。

 また、2013年に起こったユーロマイダン・クーデターからロシアによるクリミア併合、ウクライナによるロシア語話者への迫害についてもIWJは詳細に報じている。以下のURLから御覧いただける。

■米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!(ハイライト)

■2014年時点から、ウクライナには「白人至上主義」的な外国人義勇兵(傭兵)が存在していた!(ハイライト)

■「テレ朝が、アゾフ司令官のインタビューを垂れ流し!コメンテーターは「極右だけどネオナチではない」と謎発言!六辻氏「一言でいうと、疑問」!(ハイライト)

  • 日時 2022年3月30日(水)19:00~
  • 場所 Zoom + IWJ事務所(東京都港区)

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