「『義勇兵』はすでにいた」! 国際政治学者の六辻彰二氏がウクライナ民兵組織アゾフ連隊に欧米各国からネオナチや極右参加を指摘! 捕虜虐殺しながら国防軍に編入、現在、民間人訓練で「総力戦推し進める主体」! 2022.3.18

記事公開日:2022.3.18 テキスト
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(文・IWJ編集部 文責・岩上安身)

 2013年1月28日に岩上安身がインタビューを行った国際政治学者の六辻彰二氏が、2022年3月5日記事で、ウクライナが呼びかけた国際義勇兵が「過激派の巣窟」になるという欧米各国の懸念を指摘した。

 2014年のクリミア危機から、ウクライナでは「アゾフ連隊」などの極右ネオナチ民兵組織に、欧米各国から極右の活動家などが続々加わった。六辻氏は、彼ら民兵の捕虜虐殺等の戦争犯罪や、ウクライナ国防軍編入後もナチスを賞賛するなどの問題を指摘する。

 彼ら民兵組織は、海外の白人至上主義者が献金で支え、ウクライナ政府は黙認状態である。しかもロシアの侵攻後、彼らは民間人に訓練を行い、「総力戦を推し進める主体」になっているという。こうしたことは、日本の大手記者クラブメディアはまったく報じようとしない。

 ウクライナの「義勇兵」の問題を検証せずに、「この戦いはネオナチとの戦いである」などのロシアの主張を「偽情報」と決めつけるわけにはいかないだろう。

 六辻彰二氏は、3月25日(金)午後7時から「岩上安身によるインタビュー」にご出演(Zoom)いただく予定である。

 詳しくは記事本文を御覧いただきたい!

▲アゾフ連隊の義勇兵(2014年6月)。(Wikipedia、Youtube-CC-BY

民兵に海外活動家が続々参加! 捕虜虐殺や、国防軍編入後にナチス賞讃! 白人至上主義者が献金し、ウクライナ政府は黙認!

 岩上安身が2013年に、アルジェリアの人質事件についてインタビューを行った国際政治学者の六辻彰二氏が、2022年3月5日付けヤフーニュースに、ウクライナが呼びかけた国際義勇兵に対して、各国政府が「過激派の巣窟」になると警戒している、という個人記事を掲載した。

▲ウクライナ政府が組織したウクライナ領土防衛部隊外国人軍団のエンブレム(Wikipedia、VileGecko

▲六辻彰二氏(IWJ撮影)

 六辻氏は「『義勇兵』はすでにいた」として、次のように指摘している。

 「2014年のクリミア危機をきっかけに、ウクライナでは祖国防衛を掲げる民兵がロシア軍と戦闘を重ねた」「その代表格であるアゾフ連隊には、欧米各国から活動家が次々と加わり、その数は2015年段階で総勢1400人にも及んだ」「クリミア危機の後も、東部ドンバス地方ではロシアに支援される分離主義者とウクライナ側の戦闘が断続的に続き、アゾフなどはその最前線に立ってきた」「そのなかでアゾフなどの民兵には、捕虜の虐殺といった戦争犯罪が指摘されてきた」。

 さらに六辻氏の指摘は続く。

 「クリミア危機後、アゾフなど民兵はウクライナ国防軍に編入された」「ところが、国防軍の一部となりながら、アゾフはナチスを賞賛する一方、人員のリクルートや訓練を独自に行なってきた」「資金面でも、アゾフには仮想通貨などを用いた海外の白人至上主義者などからの献金が集まってきた」「歴代のウクライナ政府は、ドンバスの分離主義者やロシアに対抗する必要から、アゾフの問題行動をほぼ黙認してきた」。

▲アゾフ連隊のエンブレム。ナチズムに関連する2つのシンボル、ヴォルフスアンゲル(前面の黒い紋章)と黒い太陽(背景の白抜きの紋章)が使用されている。(Wikipedia、MrPenguin20、Все права принадлежат дизайнерскому отделу пресс-службы полка «Азов»

米国務省がアゾフ連隊を「ナショナリストのヘイトグループ」と呼び、NATOも外国人戦闘員のリスクを調査! にもかかわらずロシアの主張を「偽情報」と決めつける危険!

 このほかにも、アゾフがヘイトメッセージや陰謀論を振り撒き、白人極右を惹きつけてきたことや、テロ組織との関わり、米国務省からも「ナショナリストのヘイトグループ」と名指されていることなどを指摘している。

 また、現在ウクライナ国内で民間人に訓練を行っているのもアゾフで、六辻氏は「総力戦を推し進める主体となっている」と分析している。

 一方、六辻氏は、「今回の当事者の一角を占めるNATOも2017年の時点で、シリアとウクライナに共通する現象として外国人戦闘員を取り上げ、その安全保障上のリスクに関する調査・研究を行なってきた」ことも明らかにしている。

 こうした指摘があるにもかかわらず、西側のメインストリームメディアは「ウクライナ東部の住民虐殺は事実ではない」というウクライナの主張だけをもとに、「東部のロシア系住民を保護する」「ウクライナは住民を『人間の盾』にしている」「この戦いはネオナチとの戦いである」「ウクライナを非ナチ化する」といったロシアの主張を検証することもなく、一方的に「偽情報」「フェイクニュース」と決めつけている。

 こうした事実を無視する状況は、非常に危険である。

▲キエフで右派セクターイベントの警備をする、ウクライナの愛国者のメンバー(2014年4月13日)(Wikipedia、Аимаина хикари

※これは日刊IWJガイド2022.3.7号~No.3462号に掲載された記事を加筆・修正したものです。

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