米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!~岩上安身によるインタビュー 第1070回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.3.25

記事公開日:2022.3.30取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

 3月25日金曜日、午後7時頃から「米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く! 岩上安身による国際政治学者 六辻彰二氏インタビュー」を生配信した。インタビューはZOOM会議形式で行われた。

 ロシアがウクライナに侵攻してから約一ヶ月が経った。ロシアの侵攻はウクライナの北東部だけでなく、西側にも攻撃が及び始めている。また、UNHCRによると、この戦争によりウクライナ国外に避難した難民は349万人にも及んでいる。

 当初、すぐに崩壊すると予想されていたウクライナ軍は、米国、欧州などから提供された対戦車ミサイル「ジャベリン」や自爆ドローンといった重火器の供与で強化され、持ちこたえ続けている。

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、日本を含む米欧などの西側諸国は、ウクライナへの支援だけでなくロシアへの制裁を課してきた。世界は「侵攻を始めたロシアが全て悪い」という風潮である。

 しかし、本当にそうなのだろうか。

 ロシアによる武力侵攻を認めることはできない。しかし、プーチン大統領が侵攻せざるを得なくなった理由として、これまでウクライナがとってきたロシア語話者への差別的政策や迫害、米国主導によるNATOの東方拡大が止まらない、というロシアへの挑発行為があったが、そうした問題はマスコミではまったく報道されていない。報道の「中立化」という言葉は、少なくとも、日本の大手マスコミにおいては「死文化」したと言わざるをえない。

 そこで今回は、報道されない「ウクライナ」の実態について岩上安身が国際政治学者の六辻彰二氏にインタビューを行った。

 六辻氏は3月5日、ヤフーニュースの個人記事で、ウクライナが世界各国に呼び掛けた義勇兵について、「過激派の巣窟」になるというのではないかと指摘していた。

 2014年のクリミア危機から、ウクライナで「アゾフ大隊」などの極右ネオナチ民兵組織に、欧米各国から極右の活動家などが続々加わった。六辻氏は、彼ら民兵の捕虜虐殺等の戦争犯罪や、ウクライナ国防軍に編入し「アゾフ連隊」となった後もナチスを賞賛するなどの問題を指摘していた。

 また、IWJは過去に六辻氏にインタビューを行っている。

 インタビューの冒頭、六辻氏は、「バイデン大統領がロシアをG20から排除することについて言及した」というニュースを引き合いに、厳しい態度を加速させる米国について、次のような見解を述べた。
 
六辻氏「危険な状況に拍車をかけているとしか思えません。『ロシアが危ない、だから抑え込むか、排除するしかないんだ』という発想だと、排除してしまったらアプローチも何もできない、コミットメントも何もなくなってしまうわけです。

 ただ排除してしまえばいいというのは、まさに冷戦型、関係さえ絶ってしまえばそれでいいんだということになりかねないので、かえって危険を増長させることになるのではないかと見ています」

 また、昨今多くの報道で、ウクライナの一般市民が、武器を取り、ロシアに対し抵抗していることを、肯定的に取り上げているが、六辻氏は年配の方や子どもまでも武器を取り戦わざるを得ない状況に危機感を募らせている。

六辻氏「難民と化してしまった300万の人達、彼ら、彼女らには責任もないし、保護もしなくてはいけないと思います。しかし、高齢者や子どもまで、戦闘に巻き込もうとする、国民総皆兵みたいなかたちで突き進もうとする。それは、そこまで突っ込むべきなのか、と考えた時に『そうでないのではないか』という声があってしかるべきだと思います。

 しかし、そうではなくて、抵抗しているウクライナ人スゴイ、エライ、という話で終わってしまうということも含め、ウクライナ側の政府中枢部分の中で、白人極右勢力が大きな影響力を持ち、総皆兵化に向けてイニシアチブを発揮しているのだとすれば、そういう動きにのっかる、しかもそこに誰も口を挟まないという、そこの方が危険なのではないかと思ってしまいます」

 さらに、冷戦終結に際して、ロシアでは、ロシアに住むウクライナ人への抑圧を行ってこなかったのに対し、日本を含む西側諸国は全くロシアの意見に耳をかさなかったと指摘している。

六辻氏「東西冷戦終結後、日本を含む西側が『我々が勝った』という高揚感みたいなのがある中で、事実上の敗者であるロシアを虐げることにかんして、誰も、何も言わないという傾向が全体的に強かったのではなのかなと思います」

岩上「(ロシアを虐げることが)ずっと続いてきて、ロシアの限界に近いところまで、つまりNATOの東方拡大が胸元の首元まで迫るというところまでくる。そこで冬眠中の熊が暴れ出すということですね」

六辻氏「その冬眠中の熊は騒音がやかましいなと、苦情を言ってたのに、その苦情を誰も聞いてくれかなった。それが神経をより苛立たせたのだろうと思います」

岩上「(ロシアの)言い分は聞かないですからね。ちゃんとしたことも聞かない。ロシアではこういう風に報道されてるが、とか(いうのもない)。あるいはそれはプロパガンダである(と決めつけてしまう)とか。そういう決めつけをやっていくと、太平洋戦争をやっている時に、日本が英語を全部禁じたとか、英語の情報は信じてはだめだとか、やっているのと同じですよね」

 詳細は本編を御覧ください。

 本編で、お届けし切れなかった部分は第2弾として、3月30日水曜日午後7時頃から、岩上安身が、六辻氏にインタビューを行う予定である。

 30日のインタビューでは、六辻氏がかねてから懸念をしていた、ウクライナ軍の一部で、ネオナチの「 #アゾフ連隊 」の真相に迫る。また、2013年に起き、親ロシア派の大統領だったヤヌコーヴィチ政権が倒れるきっかけとなるユーロマイダン・クーデターは、米国のヌーランド元国務次官補(現在は国務次官)とジェフ・パイアット駐ウクライナ米国大使(当時)によって画策されたものであることが分かってきている。大手メディアでは報道されることのない、米国の画策も取り上げる予定である。

 ぜひ、第2弾となる続編も御覧ください。

 また、これまでのウクライナ危機の経緯について、岩上安身は今年に入ってから、元外務省国際情報局長の孫崎享氏に4回の連続インタビューを行っています。ロシアによるウクライナ侵攻の経緯を知りたい方や、この問題についてあまり詳しくないという方は、是非、以下のインタンビューもあわせて御覧ください。

 また、2013年に起こったユーロマイダン・クーデターからロシアによるクリミア併合、ウクライナによるロシア語話者への迫害についてもIWJは詳細に報じています。以下のURLから御覧いただけます。

 特定のスポンサーなく、できる限り客観的な情報を皆さまにお届けしようと岩上安身とIWJは日々奮闘しております。ぜひ、IWJの取材動画、そして記事、日刊IWJガイドを御覧いただき、ご理解とご支援をいただければ幸甚です。どうぞよろしくお願いいたします。

■ハイライト

■【分割1】G20からの「ロシア排除」をバイデン大統領が提唱!!

■【分割2】ロシアによるウクライナ侵攻から1か月 IWJは「冷静に戦争に反対します」

■【分割3】ウクライナ危機へと至った経緯!!

■【分割4】「ジェノサイドは一切なかった」と角元大使が断言した東部ドンバスで実際には何が起きていたのか!?

■【分割5】トランプ政権時代ロシアはすでに事実上ウクライナ東部を手に入れていたトランプ復活の狼煙としてのウクライナ侵攻―米ロ‘蜜月’は再生するか

■【分割6】ウクライナ危機の本質は「米露問題」!台湾危機と同じ構図のオフショアバランシング 

  • 日時 2022年3月25日(金)19:00~
  • 場所 Zoom + IWJ事務所(東京都港区)

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