【第546-548号】岩上安身のIWJ特報! 「この国(日本)には考える場所がない」 東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ危機」が同時に迫る!(第1回 ) 岩上安身による元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー 2022.4.1

記事公開日:2022.4.2 テキスト独自
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(IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
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 2022年2月4日から20日にかけて、中国では北京五輪(第24回冬季オリンピック北京2022)が開催された。その華やかな「平和の祭典」と同時進行で「世界大戦」の不穏な空気がひしひしと迫ってくる……。そんな分裂した感覚に世界が覆われた2月。これは歴史のターニングポイントになるのだろうか?

 2021年末から、ウクライナとロシアの間で緊張が高まっていると伝えられ、年が明けて1月19日、バイデン米大統領は「彼(プーチン大統領)はウクライナに侵攻するだろう」と発言。米軍8500人に派遣準備命令が出されるなど、急速に軍事的緊張が高まった。

 岩上安身は2022年1月27日、東京都内で元外務省国際情報局長の孫崎享氏にインタビューを行い、今回のウクライナ危機の背景、ロシアを挑発するようなアメリカの狙い、NATO加盟国の対応、中国とロシアの接近、バイデン大統領の息子や米政府高官とウクライナの密接な関係など、複雑に絡んだ糸をほぐすように確認していった。

▲元外務省国際情報局長・孫崎享氏(IWJ撮影)

 英国のMI6で学び、ロシア、イラク、イラン、ウズベキスタンなどに駐留した経験をお持ちの孫崎氏ならではの視点で、「ウクライナ・クライシス」の本質に迫っていく部分を抜粋してお届けする。

 今日に至る経緯として、ウクライナでは2014年、首都キエフにおいて「ユーロマイダン」という反政府デモが起こり、親露政権が倒れ、親欧米政権が成立する。その中で、ネオナチ的な民族主義集団による暴行が放置され、ロシア系住民が虐殺された「オデッサの虐殺」も起きているが、西側のほとんどの大手メディアはこうした一連の惨劇を伝えていない。

 そして、親欧米政権成立後はロシア語禁止など、ロシア語話者への抑圧が始まる。孫崎氏は、ウクライナにおけるウクライナ語話者とロシア語話者の比率を州ごとに比較し、住民の9割がロシア語話者であるクリミア(2014年住民投票で「独立」)と、同じくロシア語話者が7割を占めるドネツク州、ルガンスク州をどうするかが重要なポイントだと指摘した。

 米国は1月19日のバイデン大統領の発言をきっかけに、「ロシアによるウクライナ侵攻が近い」という情報を大量に出し続けた。一時は「Xデーは2月16日」と決め打ちまでしたが、何も起きず、それについての釈明もなかった。

 孫崎氏は、インタビュー内でバイデン大統領の支持率が40%台まで下がっていることを指摘し、『(プーチンは)何かをしなければならなくなるはずだ』と言うけれど、何かしなければならないのは自分(バイデン)の方なんですよ」と喝破した。バイデン政権の支持率が、インフレのために急落し、不支持率の方が上回っていることを指摘した。

 そして、北京五輪の閉会を待っていたかのように、クレムリン(ロシア大統領府)は2月21日午後10時40分、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したと発表。現地ではロシア系住民とウクライナの民族主義グループの間で衝突が起きており、ロシアは国境に軍を派兵。そして2月24日午前6時、ついにロシアがウクライナに軍事侵攻を開始した。

 バイデン大統領は2月23日、ロシアへの制裁を開始したが、その中には米国が絶対に稼働を阻止したかった天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム2」事業者への制裁も含まれている。これを止められたらロシアがどう出るかということも、このインタビューの中で語られているので、ぜひ、確認していただきたい。

記事目次

  • ウクライナ東部には「ロシア語話者」が7割以上! 公職にも就けず迫害された彼らは地域の「自治独立」を求めている!
  • 第二次世界大戦でナチに侵略されたウクライナ。取り戻したのはソ連の赤軍! 「ウクライナの国土はロシア人の血で獲得したもの」
  • 国際社会が大騒ぎで糾弾した「クリミア併合」は住民投票の結果。ロシアが軍事力で奪い取った訳ではない!
  • ウクライナの民族主義者によるロシア系住民への襲撃「オデッサの虐殺」をスルーした欧米メディア!
  • 自衛隊と米軍の一体化が急速に進む中、安倍総理はウクライナに大盤振る舞い、プーチン大統領には「ウラジーミル」と媚びる奇天烈外交を展開!
  • 2022年1月、世界は「第三次世界大戦に接近」!? ウクライナ危機を煽るバイデン政権は米国本土が戦場にならなければOK!?
  • ソ連崩壊以降、NATOにとってロシアは敵ではなかった。しかし、「ロシアを敵にしたい人たち」がいて、彼らは旧ソ連圏に入り込む!
  • 米国発の「ロシアが攻めてくる!」に踊る世界。冷静なドイツは罵られ、ウクライナ通貨は暴落という「風評被害」も!
  • 西のウクライナ危機、東の台湾有事。米国が「危機」を煽るほど接近していくロシアと中国!
  • 中露が「打算的な結婚」をしたら手に負えない! 米政府に「火遊び」はするなと遠回しに警告する国家情報長官
  • ウクライナ危機と台湾有事は同じ構図! 米国が仕掛ける「オフショア・バランシング」戦略ではないのか?
  • 米ロのプロパガンダ合戦? アメリカの得意技「偽旗作戦」をロシアはやろうとしている!?

ウクライナ東部には「ロシア語話者」が7割以上! 公職にも就けず迫害された彼らは地域の「自治独立」を求めている!

岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんばんは。ジャーナリストの岩上安身です。

 (孫崎)先生にご登場いただいたのは、東の台湾有事を心配していたら、西のウクライナ有事って言いますかね、危機が、急に高まったと。

 1月になって、急にホワイトハウスが言い始めたわけですよね。18日にサキ報道官が言い、19日にバイデンが、これは後で出てますけれども、彼は『プーチンはやるだろう』ということを言ったものだから、大変な騒ぎになってるんですよね。これは、リンケージする可能性は大いにあります。

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