2022年2月24日に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻について、プーチン大統領は4月12日、侵攻後初めての記者会見で、「ウクライナとベラルーシとロシアはひとつの民族だ。ウクライナで起きていることは間違いなく悲劇だが、他に選択肢はなかった」と主張し、侵攻を正当化した。
プーチン大統領は以下のように述べている。
「主な目的は、ドンバスの人々、ドンバスの国民を支援することだ。ドンバスを我われは承認した。それをする必要があった。なぜなら、西側に促されたウクライナ当局は、ドンバス問題の平和的解決を目的としたミンスク合意の履行を拒否したからだ」
- ロシアとウクライナのネオナチ部隊との衝突は時間の問題だった=プーチン大統領(スプートニク、2022年4月12日)
IWJは、「ドンバスの人々」を口実に、ウクライナ侵攻することは許されるとは考えていない。しかし、ドンバスの状況を伝える情報はあまりにも少ない。
2014年のユーロマイダンに始まり、8年間継続してきたウクライナ紛争では、ウクライナ東部のドンバス地域で、多くのロシア語話者が迫害を受け、殺害されたとされる。犠牲者の数は1万6000人とも言われている。
数少ない証言のひとつが、2016年に公開された、アンヌ-ロール・ボネル(Anne -Laure Bonnel)監督(注1)によるドキュメンタリー映画『ドンバス』である。フランス語字幕のついたオリジナルは、以下で見ることができる。
※「ドンバス、忘れられた戦争」(アンヌ-ロール・ボネル監督、2016) https://vimeo.com/202792798?fbclid=IwA
IWJはボネル監督にコンタクトを取るべく、SNSなどからアプローチしたが、4月14日現在、コンタクトは取れていない。ウクライナ侵攻の状況は悪化する一方だが、日本の中ではドンバス問題について知り得る媒体がほとんどない。『ドンバス』のフランス語字幕から和文仮訳を起こし、以下にご紹介する。
(注1)アンヌ-ロール・ボネル(Anne -Laure Bonnel)監督:フランスの従軍記者兼ドキュメンタリー映画監督。主な作品に2016年のドキュメンタリー『Donbass』、2020年のドキュメンタリー『Silence dansleHaut-Karabagh』。
https://en.everybodywiki.com/Anne-Laure_Bonnel