ロシアとウクライナの戦争は、2026年2月24日を過ぎて、5年目に突入した。現在までの両軍の死傷者は、180万人にのぼるとも言われている。ここまで長引く戦争になると、誰が想像できただろうか。
あれほどウクライナを焚き付け、ロシアを煽った米国やEUのリーダー達の顔ぶれも、大きく変わった。変わらないのは、停戦の気配が見えないまま、再び春を迎えるということだ。
戦いへの導火線となったのは、2014年のユーロ・マイダン・クーデターである。その翌年の2015年から、2022年2月24日にロシアが武力介入した翌日まで、ウクライナに滞在し、欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視員として、現地のリアルを見聞し、体感してきたのが、ブノワ・パレ氏である。
その貴重な記録と、的確な分析を語っていただいたインタビューの後半を、お届けする。

▲キエフ政権軍(ウクライナ軍)による無差別砲撃で、破壊されたドネツク州スラビャンスクのアパート。(2014年撮影、『天使の並木道』アジア新聞社 企画/田中健之氏 編著より)
https://bit.ly/3ZZOsRQ
岩上安身は、「ウクライナを理解するためには、複数の民族、複数の言葉が混じり合って続いてきたウクライナの歴史を知る必要がある」と前置きし、「人工的に作られた領域の中で、非常に統治の歴史も浅い、不安定な国家。複数民族国家だという自覚がない。少なくとも2つの言語、2つの民族が大きな塊で入っている。そういう国なんです」と話した。
パレ氏は、「ウクライナの国境は、ソ連のレーニンによって描かれた」と述べ、以下のように説明した。
「ウクライナという国家は、それ以前には存在しませんでした。当時は独立した国家としての形ではなく、ソ連の中のひとつの共和国でした。
ボリシェヴィキの論理は、共産主義に対抗する民族主義の競争が起きないように、共和国を作ること。ですから、彼らは国籍の異なる共和国に分けました。
そうすることで、人々がソ連内部で、共産主義に反抗する民族主義に傾くことを防ごうとしたんです。異なる国籍や民族を混ぜることで、共産主義を押し付けやすい状況を作ろうとしたのです」。
そして、ウクライナの人口分布、そこで使われる言語、選挙結果の3つを重ねてみると、見えてくるものがあること、ウクライナをロシアから切り離したい米国の思惑などについて、確認していった。
終盤でパレ氏は、マリウポリの戦いを、分離主義者の戦闘員の目線から描いたドキュメンタリー映画を紹介した。
戦闘員が、「なぜ、ウクライナ人は、こんなに私達を壊そうとするのか? なぜ、あの人達は、私達をこんなに憎み、滅ぼそうとするのか? あと何年、私達は自分達の生存のために戦い続けるのだろう?」と自問する姿には、敵に対する憎しみはなく、あるのはただ疑問だけだという。
「結局は、人間性の問題に行き着くのだ」と指摘したパレ氏は、「戦争をするというのは、どういうことなのか。なぜ、意味もないのに、戦争を続けさせようとする人達が、こんなに多いのか。まず、私達は『では、そもそも何なのか』と立ち止まって考える必要があるのです」と訴えた。
ウクライナは人工的に成立した不安定な複数民族国家。さまざまな言語を話す人たちを無視してウクライナ語を強制、特にロシア語を抹殺へ!

▲ウクライナを理解するための最低限の基礎知識
https://bit.ly/3P2e1ze
岩上安身(以下、岩上と略す)「ウクライナを理解するための、最低限の基礎知識ということを、やっておきたいと思います。
ウクライナというのは、ひとつの言語、ひとつの民族で構成された国民国家ではなく、複数民族国家であり、ソ連崩壊後にできた、歴史の浅い、不安定な国家であると」

▲Mission Area:任務地 (2015.7-2022.3)
https://bit.ly/40rswiD



































