2025年3月4日午後1時40分頃より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の定例会見が開催された。
会見冒頭、岩屋大臣より、3月3日に、オランダ、ハーグの国際司法裁判所(ICJ)において、裁判所長選挙が行われ、日本出身の岩澤雄司(いわさわ・ゆうじ)裁判官が裁判所長に選出されたことについて、報告があった。
- 岩澤雄司国際司法裁判所裁判官の裁判所長就任について(外務省、2025年3月3日)
続いて、各社記者と岩屋大臣との質疑応答となった。
他社の記者からは、「ロシア政府による日本政府・企業関係者9名に対する入国禁止措置」、「米国によるウクライナへの軍事支援の一時停止、および日米安保の不確実性」、「米・ウクライナ首脳会談」、「米国の関税措置」、「ロシアとウクライナの停戦構想」、「日韓関係(韓国の3・1独立運動記念式典での崔相穆(チェ・サンモク)副首相の演説内容)」、そして、「日朝交渉記録の欠落」について、質問があった。
IWJ記者は、ウクライナへの支援について、次のように質問した。
IWJ記者「先ほどの質問にもありましたけれども、対ウクライナ政策について質問します。
トランプ・ゼレンスキー会談の決裂を受け、欧州諸国は、『有志連合』で、さらにウクライナ支援を拡大するようですが、日本も欧州にならい、支援を拡大するのでしょうか。
国民の税金からなるウクライナ支援金の拡大には、国民が納得できる説明が必要です。また、これまでのウクライナ支援金の使途を調査し、キックバックや使途不明金の有無を確かめることもあわせて必要だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください」
これに対し、岩屋大臣は、以下の答弁した。
岩屋大臣「ロシアによるウクライナ侵略で、今、欧州で起こっていることというのは、決して他人ごとではないと受け止めております。
その意味で、欧州とインド太平洋、アジアの安全保障は不可分であるという考え方のもとに、これまで、このような『力による一方的な現状変更の試み』は、世界のどこであっても許されてはならないという危機感にもとづいて、我が国はこの問題に取り組んできましたし、また、ウクライナを支援し、ロシアに制裁を課してきたということでございます。
今後のウクライナ支援に関しては、先ほど申し上げたように、これからの関係各国との協議にもとづき、また、ウクライナ側のニーズも踏まえて検討していきたいと思っておりますが、おっしゃるように、国民の皆さまに対して、その意義を説明する努力は不可欠だと思っておりますので、この記者会見はもとよりですけれども、私(岩屋大臣)も、様々な場、国会での議論もそうですが、様々な機会をとらえて、丁寧に説明を行っていきたい、その努力をしっかり尽くしていきたいと考えております」
IWJは、前回(2月28日)の岩屋外務大臣定例会見において、政治家や官僚の日本国民を無視した予算執行への怒りの表明としての『財務省解体デモ』について触れ、「国の予算は、国民の生活の底支えのためにこそ使われるべきではないか」と岩屋大臣に質した。
このたびのIWJ記者の質問は、「ウクライナ支援金」としてすでに支払われている「121億ドル(約1兆7000億円)」もの国民の税金が、適正に使用されているのかについて、確認を求めるものだったが、大臣の答弁からは、その部分に対する説明が、一切抜け落ちていた。
IWJは、過去にも、「米国におけるウクライナ支援に対するキックバック」や「ウクライナでの支援金の横領」といった問題を指摘しつつ、日本のウクライナへの支援金の使途が適正なものであるのか、岩屋大臣に質問をしているが、いずれの質問に対する答弁も、十分な説明とはほど遠いものであった。
IWJは、今後も、ウクライナへの支援金の使途の実態などについて、岩屋大臣に「丁寧な説明」を求めていくつもりである。
会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。