IR汚職疑惑で米国司法省から「収賄容疑者」とされた岩屋外務大臣に会見で質問!! 日本国内での嫌疑については「すでに終わった話である」と岩屋外相!! しかし、米司法省からの嫌疑に対する今後の対応については回答なし! 起訴された贈賄の被告は中国人起業家で、容疑を認めている! 岩屋外相に、日本外交のトップがつとまるのか!? ~11.29 岩屋毅 外務大臣 定例記者会見 2024.11.29

記事公開日:2024.11.30取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2024年11月29日、午後1時25分より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の定例記者会見が行われた。

 今回の会見で、IWJ記者は、昨日、11月29日の日刊IWJガイドに掲載した、米司法省が中国企業の元CEOを海外腐敗行為防止法違反で起訴した問題と、それに関わる岩屋大臣収賄疑惑の新局面について質問した。

 中村裕之衆議院議員が代表を務める自民党支部の2017年の収支報告書の記載にもとづき、「札幌市の観光会社幹部名義で10月2日に200万円の寄付があり、3日後、岩屋氏が代表を務める政党支部に100万円を寄付していた」と『朝日新聞』が2020年1月4日に報じている。

 同『朝日新聞』によると、これに対して岩屋氏は当時の会見で、「2017年8月に同僚議員の政治資金パーティーで講演したことに対し、(同僚議員から)『お礼の気持ちで寄付したい』と話があった。仮に原資が中国企業からの金銭なら、当然お返しする」と表明している。

 岩屋大臣は上記の返金をしたことで、国内的には問題なし、と弁明してきたが、今回は米国の司法省が明らかにした訴訟状で、中国人起業家からの賄賂を受け取った「収賄容疑者」として指摘され、国際問題となっている。岩屋氏は私人ではなく、公人であり、一介の議員ではなく、日本の外交のトップをつとめる外務大臣。このような疑惑をかけられ、外相としての重責を果たせるのだろうか!?

 岩屋大臣の認識は、どうなっているのだろうか。

【第1弾! 日本の主要メディアは、なぜまったく報じない!? 米司法省が中国企業「500ドットコム(現BIT Mining Ltd.)」の元CEO・潘正明氏を、海外腐敗行為防止法違反で起訴!! これにより日本の岩屋毅外務大臣が、米国法における収賄容疑者に!?】岩屋氏はこのまま外務大臣の職を継続できるのか!?(『米司法省』、2024年11月18日)(日刊2024.11.29号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20241129#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54166#idx-6

 IWJとしては、おそらく他社の記者も、この問題について同様の質問を準備しているだろうと想定していた。

 そのため、先に質問をされたときのために、もう一つ別の質問も準備して会見に臨んだ。

 しかし、蓋を開けてみれば、記者クラブの記者達からは、この問題についての質問は一切なかった。

 挙手していたIWJ記者が、司会にさされて、質問にのぞんだ時、誰もその前に質問していなかったので、IWJ記者は、この米司法省の起訴状の問題について質問することになった。

 IWJ記者の質問は、以下のとおり。

IWJ記者「米司法省が、日本へのIR事業をめぐり、中国企業500ドットコム、現在BITマイニングLimitedの元CEO潘正明を海外腐敗行為防止法違反で起訴しました。

 告訴状によると、潘氏らは2017年(平成29年)から19年の2年間で、複数の日本の国会議員に総額190万ドル、2億9000万円の賄賂を渡したとされており、その中に現職の岩屋大臣が含まれていたと供述しているとのことです。

 岩屋大臣は、当時この容疑を否定しており、現在、すでに公訴時効を迎えているため、国内的には、問題は終わった話とされています。

 しかし、米国の時効にはかかっておらず、米国において、贈賄側である潘氏らが、有罪答弁で贈賄の起訴事実を認めているため、収賄側である岩屋大臣も容疑者となるとの指摘もあります。

 岩屋大臣は、米国に収賄容疑者とされている状態で、海外への渡航なども多い外務大臣としての職務を全うできるとお考えでしょうか」。

 この質問に対し、岩屋大臣は次のとおり答弁した。

岩屋大臣「まず、はっきり申し上げておきたいと思いますが、これはすでに終わった話だと思います。

 私は、令和2年の1月4日に記者会見を行って、申し上げたとおりでございまして、私が、中国企業から金銭を受け取った事実は断じてありません。

 まして、工作を受けたこともありません。

 私自身、報道されている中国企業とは、まったくお付き合いはありません。

 政治資金規正法上も、外国企業から寄付を受けることなどはあり得ません。

 そのことを当時の記者会見で、質問が尽きるまで、私の方から、お答えをさせていただいているところでございますので、今、御指摘があったような嫌疑は、晴れていると、確信しております」。

 岩屋大臣から「これはすでに終わった話」、そして「嫌疑は、晴れている」との回答があった。

 日本国内の問題としては確かにそのとおりだろう。時効も過ぎており、岩屋大臣が、この問題で、今後、日本の捜査当局の摘発を受けることはないと思われる。

 しかし、この贈収賄疑惑は、米国の司法省が訴えたものだ。局面はすでに国内から国外に移っている。

 そして、局面が変わっていることに対する認識を尋ねたIWJ記者の質問に対し、岩屋大臣の回答からは、その部分がすっぽりと抜け落ちていた。

 国際的な信用問題となった時、外交のトップとして、容疑をかけてきた米国や、贈賄容疑者を出した中国に対して、どう対峙してゆくのだろうか?

 岩屋外相の言う通りに、仮に「あらぬ嫌疑」だとしても、米国の司法省からの収賄容疑に対して、「身の潔白」を証明するために、今後、具体的にどのように対処していくのだろうか?

 これは岩屋氏個人の問題を超えて、日本の外交を担う外務大臣の信用問題であり、日本の外交全体の問題だ。

 この点について、質問を重ねたいところだったが、以前より外務省の大臣会見では「グラウンド・ルール」というルール設定がされており、質問は30秒以内を目安に簡潔にすること、指名されてマイクの前で質問する。

 再質問する際は、1回着席して、再び挙手して、司会から時間内にさされば、重ねての再質問は可能である。今回の会見の場合は、IWJ記者は席に戻り、挙手しなかったため、再質問はしなかった。

 通常、重要なテーマとみなすと、このような「グラウンド・ルール」の縛りの中でも、他の記者が、リレーのように前の記者の質問を引き継ぐようにして、質問を重ねていくものだ。

 しかしながら、今回の会見では、IWJ記者の質問の前にも、他の記者からの質問はなく、IWJ記者の質問後にも、他社からの質問はなかった。

 なぜ、このような沈黙を、記者クラブの記者達が横並びで貫いているのか、理由が判然としない。

 この問題については、仮に、今後も、記者クラブメディアが沈黙し続けても、IWJとしては、国益を損ないかねない重要な問題だと考え、注視していく。

 なお、一点、追加で説明がある。

 日本の一部ネットメディアは、「潘氏が5人の国会議員に賄賂を渡したと証言しており、その中には岩屋毅外務大臣が含まれる」と、断定的に報じているが、米司法省がサイト上で発表した文書においては、収賄側の「日本政府関係者」の詳細を明らかにしていない。

 米司法省は11月18日、「潘正明氏による日本政府関係者への賄賂支払いの不正計画を、海外腐敗行為防止法(FCPA)違反で告発した」と発表した。

 しかし、収賄側の「日本政府関係者」が何人で、誰なのかといった詳細な情報は発表されておらず、米司法省が公表した起訴状原文や起訴猶予合意書原文とされる文書にも、「日本政府関係者」の氏名の記載は見当たらない。

 なぜ、このような収賄側に対しては、曖昧な記述にとどめた文章が起訴状としてまかり通り、公開されるのか、不可解でもある。

 この事実は、29日の日刊IWJガイドで、説明している。

  • 【日本の主要メディアは、なぜまったく報じない!? 米司法省が中国企業「500ドットコム(現BIT Mining Ltd.)」の元CEO・潘正明氏を、海外腐敗行為防止法違反で起訴!! これにより日本の岩屋毅外務大臣が、米国法における収賄容疑者に!?】岩屋氏はこのまま外務大臣の職を継続できるのか!?(『米司法省』、2024年11月18日)(日刊IWJガイド、2024年11月29日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20241129#idx-6
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54166#idx-6

 IWJは、外務省の「グラウンド・ルール」にもとづき、質問を30秒以内に短くするため、過去に日本国内で報じられた事件の経緯から、訴状に記された「日本政府関係者」に、岩屋毅外務大臣も含まれている可能性があるとの前提で、記者会見で質問した。

 岩屋大臣も、過去に取り沙汰された疑惑と、身の潔白を晴らすべく行われた記者会見を前提に、回答されているので、IWJ記者の質問の前提は理解されているものと考えている。

 ただ、この回答では、国内向けの弁明の反復であり、国際的な信用回復のための説明になっているのか、というと、言葉足らずであり、説明不足ではないかという点を指摘しておきたいと思う。

 なお、米国司法省の訴状には、「この件に関しては、司法省国際局および日本当局が協力した」との記述が見られるが、協力した日本当局がどのような主体であるかは示されていない。日本国内でもなんらかの捜査や調査が動いているのか、外務省は関与しているのか、今後の展開にもかかわってくる問題である。

 本当に「あらぬ疑い」なのであれば、岩屋外相個人の名誉の問題だけではなく、日本政府と日本という国家全体の名誉と国際的な信用にも関わる話であり、抗議が必要なのではないか、とすら思われる。

(IWJ)

※Youtube動画は、24/12/4現在、26万再生回数です。Youtubeチャンネル登録をお願いします。

■全編動画

■IWJ記者による質問(※24/12/4現在26万再生回数。Youtubeチャンネル登録をお願いします。)

  • 日時 2024年11月29日(金)13:25〜
  • 場所 外務本省会見室(東京都千代田区)

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