2025年2月18日午後4時頃より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の定例会見が開催された。
会見冒頭、岩屋大臣より、「北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんの父親、有本明弘さんの逝去」、「岩屋外務大臣のG20外相会合(南アフリカ)への出席」、そして、「核兵器禁止条約」についての3つの報告があった。
- 岩屋外務大臣のG20外相会合(南アフリカ)出席(外務省、2025年2月18日)
続いて、岩屋大臣と各社記者との質疑応答となった。
他社の記者からは、「核兵器禁止条約(日本政府が、3月3日から開催される第3回締約国会合へのオブザーバー参加を見送ることとしたこと)」、「メキシコ湾をアメリカ湾に呼称変更する米大統領令への署名」、「日・シリア関係(大使館の再開等)」についての質問があった。
IWJ記者は、「日米安全保障条約の信頼性」について、次のように質問した。
IWJ記者「日米関係について質問します。
米国のヴァンス副大統領が2月14日、ミュンヘン安全保障会議の基調演説で、民主主義を後退させているとして、欧州の指導者達を非難し、『米国と欧州は、自由と民主主義という普遍的な価値観を共有した同盟関係にある』という幻想に楔を打つ形となりました。
NATO加盟国の一つに対する攻撃は、NATO全体への攻撃とするというNATO第5条の原則を平気で反故にする米国との間に結ばれた日米安全保障条約は、いざというときに本当に信頼できるものと言えるでしょうか。
岩屋大臣のお考えをお聞かせください」
この質問に対して、岩屋大臣は以下のように答弁した。
岩屋大臣「私も、ミュンヘン安保会議には出席しておりましたが、そのヴァンス副大統領の演説のときにはその場にはいませんでした。後に報道で承知していることでございます。
それについて、コメントすることは控えたいと思いますが、米国とは、累次の機会に、日米安保の下での対日防衛義務を確認してきており、先般の日米首脳会議においても、100%のコミットメントをするという米大統領の発言も、我々拝聴しているところでありまして、そのことはしっかり確認をされていることだと思います。
ここでは『トランプ大統領は、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを強調した』と説明されている。
従いまして、米国が条約上の義務を果たすということに、日本政府としては、全幅の信頼を置いているということでございます」
- トランプ大統領、安全保障面は「満額回答」…日本防衛に「抑止力・防衛力を100%供与」(讀賣新聞オンライン、2025年2月8日)
- 日米首脳会談(外務省、2025年2月7日)
ウクライナ紛争以前、欧州のNATO加盟諸国に対し、NATO5条をふみにじって米国が米軍を派遣しないと断言することなど、なかったはずである。
実際に、米軍が戦争に巻き込まれそうになってから、米国は手の平を返しているのが現実である。欧州すら守らない米国に対し、どうして日本を守ると「全幅の信頼」を置くことができるのだろうか。
会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。