ウクライナ紛争の停戦を公約に掲げたトランプ氏が20日に米大統領に就任! この際に日本も「これまでの対ロシア・ウクライナ外交を改め、中立的で、仲裁的な外交に切り替えるべき時ではないか?」IWJ記者の質問に、「国際秩序の安定化・再構築という考えにもとづき、引き続き、ウクライナ問題にも対処していく」と岩屋大臣~1.7 岩屋毅 外務大臣 定例記者会見 2025.1.7

記事公開日:2025.1.8取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
※25/1/12テキスト追加

 2025年1月7日午後5時20分頃より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の定例記者会見が行われた。

 会見冒頭、2025年の年初の記者会見ということで、岩屋大臣より、「新年の抱負」についての表明があった。

 岩屋大臣は「今年も、国際情勢の激動が予想されますが、だからこそ、『対話と協調の外交』によって、世界を分断から協調に導き、我が国と地域の平和を守り抜いていく、その決意で外交を進めてまいりたい」と外交の基本姿勢について述べた。

 その上で、「かつてなく強固になった日米関係を、今後とも維持・強化」し、「日米同盟を基軸に、同盟国・同志国との連携を進め、『自由で開かれたインド太平洋』のビジョンの下に、『法の支配』にもとづく国際秩序の堅持に向けて、あるいは再構築に向けて、しっかりと役割を果たしていきたい」と、今後も、米国との関係が、国際外交における基軸となることを明言した。

 続いて行われた質疑応答では、各社記者から、「日本製鉄によるUSスチール買収」、「カナダのトルドー首相の辞意表明、およびG7の結束」、「核兵器廃絶に向けた取組」、「在日米軍の綱紀粛正」、「シリア情勢」、「日韓関係(韓国情勢、大臣訪韓)」、「日中関係」、「サイバー戦争における先制攻撃」、「日韓関係(日韓国交正常化60周年)」、そして「ブリンケン米国務長官の訪日」に関する質問があった。

 IWJ記者は、日本の対ウクライナ・ロシアの外交方針について、次のように質問した。

IWJ記者「ウクライナ、ロシアとの外交方針についてうかがいます。

 昨年12月31日、英国『フィナンシャル・タイムズ』が、『2013年から2014年にかけて、ロシア軍は日本や韓国との潜在的な戦争に備え、原子力発電所その他160ヶ所の標的リストを準備してきた』と報じました。

 原発を狙われれば、日本のミサイル防衛システムで、原発を守ることは不可能です。日本は、『いつまでもウクライナとともにある』などと言いつつ、ウクライナに対して、既に1兆数千億円もの支援を行い、ロシアから不必要に敵対視され、絶対に戦争してはならない隣国ロシアをいたずらに挑発し続けています。

 また、安倍政権以降の対露外交により、日露関係は悪化の一途をたどっており、ウクライナ紛争の勝敗は、もはや明らかであるため、国民の血税によるこれ以上の支援はやめるべきだと考えます。

 日本は、これまでの対ウクライナ、対ロシア外交を改め、中立的で、仲裁的な外交に切り替えるべき時であると思いますが、岩屋大臣のご見解をお願いします」

 この質問に対し、岩屋大臣は以下のように答弁した。

岩屋大臣「まず、今、御指摘にあった報道については承知しておりますが、その個々の報道の中身について、コメントすることは控えたいと思います。

 いずれにしても、政府としては、ロシア軍の動向については、引き続き、高い関心を持って注視していきたいと思います。

 その上で、今のお尋ねですけれども、ロシアによるウクライナ侵略は、まさに国際法の重大な違反であって、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だと言わざるを得ないと考えております。

 私も、現地に行って思いましたけれども、やはり、このような力による一方的な現状変更というのは、どこであっても起こってはならないという思いを非常に強くして戻ってまいりました。

 その考え方、また問題意識のもとに、これまで一貫して、我が国は、ウクライナの支援を行ってきておりますし、対露制裁を実施してきているところでございます。したがって、『ロシアをいたずらに挑発している』という御指摘は当たらないと考えております。

 もちろん、できるだけ一刻も早く、こういう状況が終わることが大切だと思っておりまして、もちろん、それは、まず、ウクライナの人々の意思によるものでなければならないと思っておりますが、我が国としては、一日も早くウクライナにおける、公正かつ永続的な平和を実現するために、引き続き、国際社会と緊密に連携していく考えでございます。

 冒頭申し上げたように、今年は様々な混乱、紛争、戦争といったものを、沈静化させ、また停止をさせ、国際秩序を安定化させ、また再構築していく年にしていかなければならない、していきたいと考えておりますので、そういう考え方にもとづいて、引き続き、ウクライナの問題にも対処してまいりたいと考えております」

 岩屋大臣は、IWJ記者への答弁の最後に「今年は、様々な混乱、紛争、戦争といったものを、沈静化させ、また停止をさせ、国際秩序を安定化させ、また再構築していく年にしていかなければならない」と述べた。

 であるならば、例えば、ロシア・ウクライナ戦争において、「ロシア=悪、ウクライナ=善」といった単純な二元論ではなく、ロシアがウクライナ侵攻に至った、2014年のユーロマイダン・クーデターから2022年の侵攻までの8年間、ウクライナ政府によるロシア語話者への徹底的な弾圧、殺戮が行われ、民間人が1万数千人も亡くなってきた民族浄化について、考慮に入れるべきである。そうした上で、「中立的で、仲裁的な外交」方針を採用する以外に道はないように思われる。

 会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

■IWJ記者質問シーン

  • 日時 2025年1月7日(火)17:00〜
  • 場所 外務本省会見室(東京都千代田区)

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