タッカー・カールソン氏によるプーチン大統領インタビューの翻訳(第8回)をお届けします。
- The Vladimir Putin Interview(タッカー・カールソン・ネットワーク、2024年2月8日)
第8回では、ウクライナに侵攻した目的の一つ、「非ナチ化」について、プーチン大統領は、語っています。
ウクライナにナチスは存在しない、というのが、西側の公式見解です。
しかし、プーチン大統領は、ヒットラーの思想を、ウクライナが国家として称揚している証拠として、カナダ議会での元ナチス親衛隊だった人物に、カナダ議会議員全員ととともに、ゼレンスキー氏が、スタンディング・オベーションを行った事実をあげてこう指摘するのです。
「現在のウクライナの大統領は、カナダ議会で彼(元ナチス親衛隊のロスラフ・フンカ氏)に拍手を送り、スタンディング・オベーションをしました。我々はこのイデオロギー(ナチズム)を完全に根絶やしにしたと言えるのでしょうか?」。
IWJは、「ネオナチとウクライナが何の関係もないのであれば、ユダヤ人であるゼレンスキー大統領がカナダ議会のスタンディング・オベーションに嬉々として参加し、ポーランド、ソ連、ウクライナ全土でポーランド人、ユダヤ人、ロシア人の市民に対して大量虐殺を行った『武装親衛隊ガリシア師団』に所属していた本物のナチスである98歳のウクライナ移民の退役軍人ヤロスラフ・フンカを称賛して拳を上げたことをどう説明するのでしょうか?」という質問を2023年10月4日に、直接、在日ウクライナ大使館にメールで送って質しています。
ウクライナ大使館からは、現在も、返事が来ていません。
回答を書くことができないという事実自体が、ウクライナには、ネオナチが存在し、ヒットラーのイデオロギーを国家ぐるみで支持していることの何よりの証拠です。
インタビュー翻訳の第1回は、以下から御覧になれます。
※タッカー・カールソン氏によるプーチン大統領インタビュー全編の翻訳を開始!(第1回)冒頭は、プーチン大統領による仰天のロシア・ウクライナの歴史講義! IWJは慎重にインタビュー内容を吟味しながら、可能なかぎり注や補説で補い、あるいは間違いの検証をしながら全文の翻訳を進めます!
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240210#idx-2
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インタビュー翻訳の第2回は、以下から御覧になれます。
インタビュー翻訳の第3回は、以下から御覧になれます。
インタビュー翻訳の第4回は、以下から御覧になれます。
インタビュー翻訳の第5回は、以下から御覧になれます。
インタビュー第6回は、以下から御覧になれます。
インタビュー第7回は、以下から御覧になれます。
以下から、タッカー氏によるプーチン大統領インタビュー第8回となります。
タッカー氏「今の領土で満足ですか?」
プーチン大統領「質問には最後まで答えます。あなたは今、ネオナチズムと非ナチ化について質問しました。
ウクライナの大統領が、カナダを訪問しました。この話はよく知られていますが、西側諸国では黙殺されています。カナダ議会は、議長が言ったように、第二次世界大戦中にロシア人と戦った人物を紹介しました。
第二次世界大戦中、誰がロシア人と戦ったのか。ヒットラーとその共犯者たちです。この男は親衛隊に所属し、ロシア人、ポーランド人、ユダヤ人を自ら殺害したことが判明したのです(※訳注1)。
親衛隊は、ウクライナのナショナリストで構成され、彼らは、この汚い仕事をしました。
ウクライナの大統領は、カナダの全議会とともに立ち上がり、この男に拍手を送った。こんなことがあり得るでしょうか? ちなみにウクライナの大統領自身、民族的にはユダヤ人です」
タッカー氏「まさに私の質問は、あなたはそれについてどうしたいのか、ということです。ヒットラーが死んで80年になります。ナチス・ドイツはもう存在しません。それは事実なのです。
あなたが言いたいのは、ウクライナのナショナリズムを消滅させたい、少なくともコントロールしたいということでしょう。でも、どうやって? どうやって?」
プーチン大統領「私の話を聞いてください。あなたの質問は非常に微妙なものです。私はあなたに、私が考えていることを、伝えることができます。気を悪くしないでください」
タッカー氏「もちろんです」
プーチン大統領「この質問は、微妙なニュアンスを含んでいる気がします。微妙です」
タッカー氏「かなり厄介ですね」
プーチン大統領「あなたはヒットラーが死んで80年も経つと言う。しかし、彼の思想は生き続けています。ユダヤ人、ロシア人、ポーランド人を殺戮した者達は、生き続けています。
そして、現在のウクライナの大統領は、カナダ議会で彼(元ナチス親衛隊のロスラフ・フンカ氏)に拍手を送り、スタンディング・オベーションをしました。我々はこのイデオロギーを完全に根絶やしにしたと言えるのでしょうか?
我々が見ていることが今日起きていることだとすれば、それが我々の理解する『脱ナチ化』ということです。
この概念を維持し、この慣習を支持し、それを維持しようとする人々を排除しなければならない。それが『脱ナチ化』です。
それが、我々の考えているところです」
タッカー氏「そうですね。私の質問はもっと具体的なものでした。もちろん、新しいものであれ、何であれ、ナチスを擁護するものではありません。現実的な質問でした。
あなたは(ウクライナという)国全体を支配しているわけではありません。キエフを支配しているわけでもありません。そうしたいようには見えない。
では、支配していない国の文化やイデオロギー、感情や歴史観をどうやって排除するのですか。どうやるんですか?」
プーチン大統領「ご存じの通り、イスタンブールでの交渉では、奇妙に思われるかもしれませんが、我々はすべて文書で合意しました。ネオナチズムはウクライナでは育成されない。法的な次元で禁止されることも含めてです。
カールソンさん、我々はそのことで合意しました。このことについては、実際にそうなった通りですが、交渉の過程で、合意できました。
そして、近代的な文明国家としてのウクライナにとって、屈辱的なことは何もない。ナチズムを推進することが許される国家があるでしょうか? ないでしょう? そうです」
タッカー氏「話し合いはあるのでしょうか? なぜウクライナの紛争を解決するための話し合いがないのですか? 和平交渉です」
プーチン大統領「複雑なプロセスの中で、立場の調整という非常に高い段階に達していましたが、それでもほぼ最終決定していました。
しかし、我々が、キエフから軍を撤退させた後、すでに述べたように、相手側はこれらの合意をすべて投げ捨て、ロシアと最後まで戦うようにという西側諸国、欧州諸国、米国の指示に従ったのです(訳注2)。
さらに、ウクライナ大統領は、ロシアとの交渉禁止を法制化しました。ロシアと交渉することを万人に禁じる法令に署名したのです(訳注3)。
しかし、彼が自分自身やすべての人に禁じているのであれば、我々はどうやって交渉できるでしょうか? 我々は、彼がこの和解について、いくつかのアイデアを提示していることを知っていますが、何かに合意するためには対話が必要です。そうでしょう?」
タッカー氏「でも、ウクライナの大統領と話すことはないでしょう。アメリカの大統領と話せばいい。ジョー・バイデンと最後に話したのはいつですか?」
プーチン大統領「彼といつ話したかは、覚えていないです。調べてみましょう」
タッカー氏「覚えていないんですか?」
プーチン大統領「覚えていません」
プーチン大統領「なぜ? 全部覚えていなきゃいけないのですか? 私には私のやるべきことがある。内政問題もあります」(訳注4)
タッカー氏「まあ、彼(バイデン大統領)は、あなたが戦っている戦争に資金を提供しているのですから、記憶に残るでしょうね」
プーチン大統領「そうです、彼は資金を提供しています。しかし、私はもちろん、特別軍事作戦の前に彼と話をしました。
そのとき、私は彼にこう言いました。ちなみに、私は、このときの詳細には決して触れません。
ウクライナで起きていることすべてを支援し、ロシアを遠ざけることで、あなたは歴史に残るような大きな過ちを犯していると。
私は彼に、何度もそう言いました。ついでながら、ここで話を止めておくのが正しいと思います」
タッカー氏「彼は、何と言いましたか?」
プーチン大統領「彼に聞いてみてください。その方が簡単でしょう。あなたは、アメリカ合衆国の市民です。
彼に聞いてください。我々の会話について、私がコメントするのは適切ではありません」
タッカー氏「でも、2022年の2月から彼とは、話していないんですよね」
プーチン大統領「そう、話していない。しかし、一定の接触は維持されています。
そういえば、ミサイル防衛システムで協力しようという私の提案を覚えているでしょうか?(訳注5)」
タッカー氏「はい」
プーチン大統領「全員に聞けばいい。全員健在です。よかった。元大統領やコンドリーザは健在です(訳注6)。
そして、ゲーツ氏と(訳注7)、現情報機関(CIA)長官であるバーンズ氏は、当時の駐ロシア大使でしたが(訳注8)、私の考えでは、非常に成功していると思います。彼らは皆、これらの会話の目撃者でした。
彼らに聞いてみてください。さっきの話も同じです。バイデン大統領が私にどう答えたか興味があれば、彼に聞いてください。何はともあれ、私は彼と話をします」
(※訳注1)2023年9月に、ゼレンスキー大統領を迎えたカナダ議会で、ウクライナ系カナダ人のロスラフ・フンカ氏(98)が、戦争の英雄として喝采を浴びた。その後、人権団体やユダヤ人団体が、フンカ氏はナチス親衛隊に所属していたと非難し、カナダのトルドー首相は謝罪に追い込まれた。
※カナダ首相、『恥ずかしい』と謝罪 ナチス所属の部隊で戦ったウクライナ系男性への称賛で(CNN、2023年9月28日)
https://www.cnn.co.jp/world/35209633.html(訳注2)『脱ナチ化』への言及は少ないものの、2022年3月のイスタンブールでの交渉が、ウクライナのNATO加盟放棄や、ロシア軍の侵攻前の地点への撤退、クリミアの主権の15年間の棚上げなどを条件とした和平案がまとまりかけていたことを、当時、共同通信が報じている。
この記事は、4月にキエフを訪れた当時の英国首相、ボリス・ジョンソン氏がロシアとウクライナの和平に反対したことも伝えている。
※平和への最大のチャンス、ウクライナ和平合意を壊したのは誰か 交渉当事者から新証言相次ぐ 『ロシアを追い詰めろ』が生んだ悲劇(47NEWS、2024年1月5日)
https://www.47news.jp/10351812.html(訳注3)ロイターは、2022年10月4日に「ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、同国東・南部4州を一方的に併合したロシアのプーチン大統領と今後協議することを『不可能』とする法令に署名した。プーチン氏個人との協議は否定するものの、ロシアと協議する余地は残した」と報道した。
※プーチン大統領とは交渉せず、ゼレンスキー大統領が法令に署名(ロイター、2022年10月4日)
https://jp.reuters.com/article/idUSL6N31508Q/(訳注4)このセリフは、英語版だとタッカーが言ったことになっているが、内容的にはプーチン大統領が言ったように思われる。青山氏訳もプーチン大統領の発言として再現している。
(訳注5)2008年4月7日付『ブルームバーグ』は、当時の「ジョージ・W・ブッシュ大統領(子)は6日、米国が計画しているミサイル防衛(MD)システムの東欧配備について、ロシアのプーチン大統領との意見の差が縮まったとの認識を示した」と報道している。
※米ロ首脳会談:ミサイル防衛で意見の差縮める-『戦略的枠組み』採択(ブルームバーグ、2008年4月7日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2008-04-07/JYYFL11A1I4H01(訳注6)コンドリーザ・ライス。1954年生まれ。2005~09年にブッシュ政権の国務長官を務めた。https://www.britannica.com/biography/Condoleezza-Rice
(訳注7)ロバート・M・ゲーツ。1943年生まれ。2006~11年に、ブッシュ、オバマ政権で国防長官を務めた。
https://www.britannica.com/biography/Robert-M-Gates(訳注8)ウィリアム・ジョセフ・バーンズ。1956年生まれ。2005~08年に駐ロシア大使、08~11年は国務次官を務めた。21年にCIA長官に就任。
https://history.state.gov/departmenthistory/people/burns-william-joseph
https://www.cia.gov/about/director-of-cia/