2024年9月27日に投開票が行われた自民党総裁選挙は、過去最多となる9人が立候補し、1回目の投票ではどの候補者も過半数を獲得できず、1位の高市早苗経済安全保障担当大臣と、2位の石破茂元幹事長との決選投票にもつれ込んだ。
決選投票では、石破茂氏が、新総裁に選出された。
※はじめに~新たな自民党総裁は、無所属推薦人を集めた石破茂氏! 決戦投票は石破氏と旧安倍派が推したタカ派の高市早苗氏を逆転で破る! 下馬評の高かった小泉進次郎氏は3位、旧岸田派が推した林芳正氏は4位、麻生派が推した河野太郎氏は8位に沈む! 麻生太郎副総裁・派閥の影響力の低下で、石破氏が新総裁に浮上!しかし石破内閣を待ち受けるのは『中国との3年以内の戦争』!?(日刊IWJガイド、2024年9月28日)
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現職の岸田文雄総理が不出馬を表明した理由は、派閥の裏金問題が表面化して、国民の信用を失ったからである。「表紙」が同じでは、選挙に勝てないとの思惑が、自民党のどこをきっても、顔をのぞかせる。
「自民党が変わる姿を国民にしっかり示すことが必要。最初の一歩は私が身を引くこと」と述べた岸田総理だが、裏金に関する自身の責任については棚上げし、「個人的な政治資金の修正はなかった」と繰り返す。また、裏金疑惑に対する、根本的な対策や、厳格化法で禁じるようなことは行おうとはしない。
高市早苗経済安全保障担当大臣、小林鷹之氏、林芳正官房長官、小泉進次郎氏、上川陽子外務大臣、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル大臣、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長といった総裁選の候補者9名も、裏金問題の解明には消極的で、「追加調査などは考えていない」と、党内を根本的に浄化しようという候補者は、1人も見当たらない。
自民党の調査によれば、2018~2022年の間に、派閥の政治資金パーティー券の売り上げを、85人の議員らが政治資金収支報告書に記載せず、総額5億7949万円を裏金化していた。だが、自民党の歴史の中で、裏金作りが、いつ、どのように始まったのか、詳細は未解明のままである。
そもそも、岸田総理は刑事告発されているのだから、自民党の看板を掛け替えるために「身を引く」ことだけで済む話ではない。告発したのは、自民党の政治資金パーティー裏金問題を暴いてきた、神戸学院大学法学部の上脇博之(かみわき ひろし)教授である。
岩上安身は、2024年4月5日に引き続き、4月18日に上脇教授に第2弾のインタビューを実施した。
政治資金オンブズマンの代表でもある上脇教授は、2022年6月12日に開催された「岸田文雄内閣総理大臣就任を祝う会」が、実際は岸田後援会が仕切る政治資金パーティーであリ、1000万円以上の収入を得ていながら、有志による集まりのように偽装していたことを問題視して、岸田総理と後援会代表者らを刑事告発している。
「祝う会」の案内状などには政治資金パーティーであることが明記されておらず、告知義務違反にあたる上に、収支の記載もしていない。このようなことは事務方が独断でできることではないため、上脇教授は、岸田総理自身が後援会代表者や会計責任者らと共謀した、と分析している。
インタビュー後半で上脇教授は、議会制民主主義とは、民意を政治に反映することであり、「裏金、企業献金、政党助成金などのお金の多寡によって、民意を歪める政治制度は根本から改めないといけない」と強く語った。
「憲法改正のための資金をためこんでいる自民党?!」~5.31 改憲は憲法記念春のつどい 2024「裏金問題と改憲問題」―講演:上脇博之 神戸学院大学教授 2024.5.31
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「自民党は議員個人に責任を取らせて、党はいつも安泰。選挙制度を改革しないと変わらない」上脇博之教授~4.27 自民裏金問題とメディア ―講演:上脇博之氏(神戸学院大学教授)ほか 2024.4.27
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