11月24日、岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏へのインタビューが行われた。
田代秀敏氏は福岡県生まれ。一橋大学経済学部を卒業後、一橋大学大学院経済学修士を取得。一橋大学国際共同センター客員研究員、みずほインベスターズ証券、日本日興コーディアル証券大和総研主任研究員などを経て、現在、インフィニティのチーフ・エコノミストで、主に中国の経済分析を手がけている。
コロナ禍を経て、中国経済の成長に翳りが見える、少子高齢化が急速に進むなど、中国の「停滞」が喧伝されている。その実態はどうなのか。
岩上安身は、すっかりグローバル化している中国経済の実態をつかむのは容易なことでないのでは、と田代氏に問いかけた。
田代氏「そうなんです。世界中のすべてが中国に絡んでいるわけなんであって、今、日本もアメリカもそうだけど、大部分の国が、最大の貿易相手国は中国。
なのに、『デカップリング』とか、口にする人がいるのがびっくりする。最初からできないことだから、できなくても誰も責任取らなくていいかもしれないけれど」
岩上「でもギクシャクはしますよね。無駄なギクシャクがね。そして政治って、そういうところで不合理なことを起こしますから。人気をとるために」。
世界的な覇権闘争の最前線である3つの「ホットスポット」のうち、ウクライナと中東はすでに発火した。3つ目の、台湾・東アジアはどうなるのか。
そもそも米国は、3方面で「代理戦争」を戦う力があるのか。米国議会は、ウクライナ支援には消極的で、11月17日に成立した「つなぎ予算」からは、ウクライナ緊急支援とイスラエル軍事支援、人道支援、インド太平洋安全保障、国境警護すべて削減された。
今後、米国の追加予算審議で、イスラエル支援は間違いなく予算が組まれていくと思われるが、ウクライナ支援はどうなるか、予測がつかない。大幅に削減されるか、消滅するかもしれない。
ウクライナ紛争の潮目は、ここにきて明らかに変わりつつある。米国以外でも、欧州諸国各国では支援をやめるか、削減をし始めており、日本メディアと「専門家」だけは、ウクライナ軍が戦いを優勢に進めているかのように報じてきており、ウクライナは勝てない、支援はやめよとまでの急展開はできていないが、「反転攻勢」を持ち上げてきた西側メディアは徐々に風向きが変わってきている。
米国の財政赤字も、大きな問題である。この10年間で米国の財政赤字はほぼ2倍となり、2022年12月末で31.35兆ドル(4690兆円)に達した。格付け会社のフィッチは8月1日、米国の格下げを発表、「今後3年間に予想される財政悪化」、「高水準かつ増大する政府債務」、「他国と比較したガバナンスの低下」をその理由としてあげた。
パレスチナで民族浄化を続けるイスラエルを支援するバイデン大統領に対して、若い民主党の有権者らが反発、「ジェノサイド・ジョー」と呼んでいる。21日は、NSCのジョン・カービー報道官が、記者会見で「ホワイトハウスの前でデモ参加者が『ジェノサイド・ジョー』と呼び、門の前にそう書いている」と質問され、「それは言論の自由だ(Free speech)」と苦しい回答をするまでになっている。
インタビューは、中国と米国の現状、ウクライナの惨状の最新の情報に及んだ。