日本で盛んに報じられる「中国経済崩壊論」は真実か!? 他方、マスメディアがほとんど報じない「米ドル覇権崩壊」は疑いようのない事実! 岩上安身によるインタビュー 第1134回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2023.9.21

記事公開日:2023.10.8取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

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 岩上安身は9月21日、エコノミストの田代秀敏氏に、中国経済の現状についてインタビューを行った。

 日本では「中国経済崩壊論」が横行している。

 2023年1月17日、中国の国家統計局は、「2022年末時点の人口は14億1175万人で、前年から85万人減少した」と発表した。中国の人口減少は、1961年以来、61年ぶりである。

 これについて田代氏は、「中国の人口は増え続けていたけど、ここに至ってようやく、自然減が起きた」と述べ、「非常に長く続いた人口増加のあとに、ようやく中国も人口の減少期に入ったということで、それ自体は別に驚きじゃない」と指摘した。

 社会が近代化の過程に入ると、多産多死(成人前に医療が未熟で子どもが亡くなってしまう)から少産少死の近代化社会へと突入する。この過程は、近代国家として、成熟の最も早かったフランスで、まず最初に見られた。欧州諸国や日本など、近代化の過程に入った社会はほぼ同じコースをたどる。その中で、最も少子高齢化のスピードが早いのが日本と韓国である。中国はゆっくりあとを追ってくるが、少子高齢化・人口減少で「中国が崩壊」することを心配しているなら、その前にもっと早く高齢化し、人口減少する日本の「崩壊」を心配すべきだろう。

 一方、2023年8月17日には、2021年から経営破綻が懸念され、国際的な巨額債務を再編中の中国最大級の巨大不動産企業「恒大集団」が、米連邦破産法15条の適用を米ニューヨーク州の裁判所に申請し、日本の大手メディアは一斉に「中国経済の一大事」として『恒大破産』を大きく取り上げ始めた。

 これについて、IWJは8月20日の日刊IWJガイドで田代氏に取材し、田代氏は「恒大集団の販売額は中国で第30位に過ぎません」と指摘し、「もし恒大が破綻しても、それだけで中国経済の成長率が低下するわけではない」と答えた。

 さらに田代氏は、IWJの取材に対し、恒大が連邦破産法(田代氏によれば、これは誤訳で、正しくは「連邦倒産法」と訳すべきとのこと)第15章の適用を申請したのは、恒大の米国内の資産を債権者に差し押さえられることを免れるためであって、香港証券取引所にも「倒産手続きではない」と報告していると述べた。

 田代氏は、日本のメディアが「『恒大破産』と報じるのは、誤報を通り越して、フェイク・ニュースです」と批判した。

  • はじめに~エコノミストの田代秀敏氏が、中国最大級の巨大不動産企業「恒大集団」が、米連邦破産法15条の適用を申請した件について、解説!「恒大は現在のところ破綻していません」、「『恒大破産』と報じるのは、誤報を通り越して、フェイク・ニュース」!「世界経済の最大の成長エンジンである中国経済が円滑に回復するように国際的な環境を整えることは世界全体の利益」、「米国による中国叩きこそ世界経済の最大リスク」!!(日刊IWJガイド、2023年8月20日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230820#idx-1
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52654#idx-1

 日本の大手メディアが、中国の不動産、住宅相場下落を報じ続ける中、「中国経済、ひいては世界経済がどうなるか、という見通しを聞かせていただければ」という岩上安身の求めに応じ、田代氏は次のように語った。

 「(中国の不動産市場の悪化が)世界の金融市場に、何で影響があるか、私はわからない。

 中国の不動産業は、ほとんどが中国国内で資金を調達してるわけです。アメリカの不動産バブルは、世界中から金をかき集めたから(世界中に影響が出た)ですよ。だから大騒ぎになったわけですね。

 日本では、老人ホームや幼稚園までが、リーマンブラザーズの社債を持っていた。全世界の隅々から集めた金が、アメリカの住宅バブルに投入されたわけですね。

 それが吹き飛んだんだから、それで世界がひっくり返ったわけじゃないですか。でも、中国の場合、別にそうやって世界中で集めたのではなくて、中国国内で集めた金なんですよね」。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■ハイライト

  • 日時 2023年9月21日(木)18:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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