2024年3月26日午前11時30分頃より、東京都千代田区の外務省にて、上川陽子外務大臣の定例記者会見が開催された。
会見冒頭、上川大臣より、大臣が取り組んでいる『アウトリーチ型の外交(様々なステークホルダーとのつながりを強化し、これを外交活動と連動させていく外交)』の一環として、3月25日にメキシコ大使館を訪問し、19名の駐日女性大使たちと女性平和安全保障(WPS:Women,Peace and Security)を含むジェンダー政策に関して意見交換を行った旨の報告があった。
続いて、上川大臣と各社記者との質疑応答となった。
他社記者からは、ロシアにおけるテロ事件、北朝鮮の金与正副部長の談話、UNRWAの中間報告、ラマダン期間中の海外渡航・滞在に関する注意喚起、自民党次期総裁にふさわしい政治家、そして政治資金問題などについての質問が行われた。
IWJ記者は、WHOのパンデミック条約と国際保健規則(IHR)の改正について、以下の通り、質問した。
「WHOの『パンデミック条約』、及び、IHR改正について質問します。
上川大臣は、2月27日の衆議院予算委第三分科会で、WHOのパンデミック条約とIHR改正について、『逐一、国会の承認は求めない。我が国としては、これらを締結するという行為を取らずに、その拘束力を受け入れることになる』旨の答弁をなさいました。
国会での審議・承認が行われないのであれば、国家の主権者である我々国民は、どうやって意思表明をすればいいのでしょうか。
このような進め方は、主権者・国民をないがしろにしていないでしょうか。
ご見解をお聞かせください」。
この質問に対し、上川大臣は以下の通り答えた。
「今、私の答弁をご指摘いただきましたけれども、これにつきましては、国際保健規則(IHR)の改正について述べたものです。
1951年に、国会で承認されたWHO憲章は、疾病の国際的蔓延を防止するためには、できる限り多くの加盟国が採択された規則を同時に実施することが望ましいとの考えのもと、加盟国から構成される『保健総会』により採択された規則は、全加盟国に対して効力を有することとされています。
先ほどの国際保健規則(IHR)でありますが、そのような規則の一つで、このような手続が採用されていることを含めて、WHO憲章の締結について、国会のご承認をいただいてきているとの趣旨を申し上げたものです。
一方、『パンデミック条約』についてですが、協議は、今、継続しているところでありまして、内容、また、文書の具体的な形式を含めて確定していないことから、我が国として締結するかを含めて、現時点で予断を持ってお答えすることは、なかなか困難です。
仮に締結する場合には、その内容や文書の具体的な形式に照らして、適切に対応してまいる所存です。
『パンデミック条約』の作成及び国際保健規則(IHR)の改正については、様々な御意見があると承知をしています。
私自身、申し上げてきている通りですが、国民の皆さまのご理解と、そして、ご支持があっての外交であると考えております。
今後とも、可能な限り、丁寧に、正確な情報提供に努めてまいりたいと考えています」。
上川大臣の冒頭発言、及び、各社記者の質疑内容など、会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。