2024年3月1日、午前11時30分頃より、東京都千代田区の外務省にて、上川陽子 外務大臣の定例記者会見が開催された。
冒頭、上川大臣より、以下のとおり報告があった。
上川大臣「日本のODA(政府開発援助)は、今年で70周年の節目を迎える。日本におけるODAについて、国際社会が複合的な危機にさらされている中で、その危機を克服するための開発協力の役割は一層重要性を増している。
特に、開発途上国にとっての民間資金の重要性が拡大しており、特に環境・社会・ガバナンス課題の解決を目的とした『サステナブルファイナンス(持続可能な社会を実現するための金融)』の重要性がこれまで以上に高まっている。
このような開発のための新しい資金動員の方策を検討し、官民を問わずさまざまな主体との連携を強化すべく、本日、私のもとに『開発のための新しい資金動員に関する有識者会議』を立ち上げることとした」。
この会議では、開発のための新しい資金動員において、ODAが触媒として果たし得る役割を含めて議論が行われ、最終的に、ODAのあり方についての提言のとりまとめが行われる予定だ。
続いて、上川大臣と各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は、ロシアの反体制活動家・ナワリヌイ氏の獄死、そして、マクロン仏大統領の「ウクライナへの長距離ミサイルの供与」や「ウクライナに対する地上軍派兵の可能性」等の発言について、上川大臣の考えを問う質問を準備して会見に臨んだが、時間切れとなり、残念ながら質問はかなわなかった。
他社記者から、米国、および西側諸国による資金提供が凍結されているUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の状況について、次のような質問があった。
記者「中東情勢の件で伺います。中東に出張されました辻(清人)外務副大臣が、(訪問先のパレスチナ自治区)ラマラで、一部メディアの方に対して、UNRWAの件ですけれども、『疑惑が解明された瞬間に援助ができるような準備をしているし、打ち合わせもしている』と御発言されています。
UNRWAへの資金拠出再開への調整状況や、その必要性。また、これは、あくまで国連の調査結果を待つという姿勢でお変わりないのか、お考えを伺います」。
上川大臣は次のとおり答弁をした。
上川大臣「我が国は、UNRWAのこの職員への疑惑を極めて憂慮しております。
UNRWAは、パレスチナ難民を対象とした保健・医療、そして、教育・福祉分野のサービス提供など、不可欠な役割を担っておりまして、UNRWAが信頼を取り戻し、こうして本来の役割をしっかりと果たすことができるよう、ガバナンスの強化を含めまして、適切な対応がとられるということについては、強く求めてきているところであります。
UNRWAへの拠出再開の見通しにつきましては、予断を持ってお答えすることはできませんが、我が国といたしましては、国連やUNRWA、また、関係国と緊密にコミュニケーションをとりつつ、まずは、国連による調査、また第三者による検証、これに積極的に協力して参りたいと考えております」。
上川大臣は、約1カ月前、1月30日の定例記者会見で、UNRWAへの資金拠出再開について、記者から質問を受けている(※)が、このたびの質問に対する答弁は、そのときの答弁の内容とほぼ同一である。
上川大臣の冒頭発言、及び、各社記者の質疑内容など、会見の詳細については、全編動画にてご確認ください。