2022年12月6日午前11時より、東京都新宿区の防衛省にて、浜田靖一防衛大臣の定例記者会見が行われた。
冒頭、大臣からの報告事項はなく、大臣と各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は、反撃能力の保有と米軍との一体化について、次のとおり質問をした。
「『安全保障3文書』に、米国が推進する『統合防空ミサイル防衛(IAMD)』の構築を明記する方向で検討が進んでいると報じられています。
自民党と公明党は反撃能力、つまり敵基地攻撃能力の保有に合意しました。自衛隊が反撃能力を持ち、米軍と一体となってIAMDの構築を進めることは、米軍の指揮系統下に自衛隊が組み込まれ、米軍の指示次第では自衛隊が敵のミサイル基地を予防的に攻撃するケースも出てくることも考えられ、その場合は、日本が敵の報復対象に入るということでしょうか。
これは日本の主権の放棄ではないのでしょうか。大臣のお考えをご教示ください。よろしくお願いします」
この質問に対して、浜田大臣は以下のとおり答弁した。
「反撃能力の保有を念頭に、年末に策定される新たな国家安全保障戦略等に『統合防空ミサイル防衛』の構築を明記する検討に入ることの報道があることは承知しておりますが、いわゆる反撃能力については、現在、検討中であり、現時点で具体的な内容等をお答えできる段階にはございません。
いずれにせよ、政府としては、国民の暮らしを守るために十分な備えができているのか、いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実に検討し、与党間の協議にあらゆる議論も踏まえながら、年末までに結論を出してまいります。以上です」
IWJ記者は、浜田大臣に「『統合防空ミサイル防衛』の下、米軍の指揮系統下に自衛隊が組み込まれることは、日本の主権を放棄することではないのか」「米国の指示次第では、日本が敵基地攻撃を行い、報復対象となるのではないか」と質問した。
しかし、浜田大臣は、こうした疑念には一切答えることなく、反撃能力の保有について「年末までに結論を出す」と明言している。つまり、国民がどう考えようと、関係ないと言っているに等しい。
今後の政府の動きを注視することが必要である。
他社の記者からの質問も、「反撃能力の保有」に関する問題に集中した。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。