<ウクライナのネオナチはロシアのプロパガンダではない! その1>朝日がウクライナのネオナチによるジェノサイドをフェイクと断定! 米メディア指摘、アゾフ大隊司令官は白人至上主義を「ウクライナの使命」!! 朝日は「フェイク説」を貫くつもりか!? 2022.6.16

記事公開日:2022.6.16 テキスト
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(文・IWJ編集部 文責・岩上安身 2022年6月16日加筆・アップ)

 ウクライナ侵攻の理由にプーチン大統領があげる、ウクライナ東部ドンバス地方の分離派支配地域での、ウクライナ軍やネオナチによる「集団殺害(ジェノサイド)」から住民を守るという主張を、朝日新聞など日本の大手メディアは「侵略のためのフェイク」と断定的に批判した。

 しかし、ウクライナがロシアを提訴した国際司法裁判所(ICJ)は、ジェノサイドの有無を2022年5月初旬時点で最終判断しておらず、日本政府もICJの判断を待つとして、「フェイク」と結論づけていない。にもかかわらず、朝日新聞は何を根拠に「フェイク」と断言したのか?

 また、NHKは、かつて2014年からのドンバス地方でのウクライナ軍による自国民への攻撃を海外ニュースで報じていたにも関わらず、2022年2月23日以降は、その事実について口をつぐんでいる。ウクライナ戦争の真相に迫り、解決の糸口を探すためには、改めてわずか数年前の残虐な出来事を顧みる必要があるのではないか!?

 岩上安身が読者の方から教えていただいたドンバス地方へのウクライナ軍の攻撃の映像を、本文中でご紹介する。

 ウクライナのネオナチの存在と活動についても、日本を含む西側のマスメディアには、ロシアの「プロパガンダ」との決めつけやネオナチの「脱色化」が見られるが、米国の政治専門メディア『The Hill』は2017年に、彼らの存在は「西側のほぼすべての主要報道機関によって圧倒的に確認されている」として、代表的存在であるアゾフ大隊がどのように報じられたかを伝えている。たとえばアゾフ大隊のビレツキー司令官は、白人至上主義を「ウクライナの使命」と公言していた。

 さらに、国連やヒューマン・ライツ・ウォッチほかの各種機関がアゾフを告発・摘発した事実を数多くあげ、「これはロシアのプロパガンダではない」と結論付けるのである。

 詳しくは、記事本文を御覧いただきたい。同時に、日本のマスメディアの「アゾフはネオナチではない」とするうさんくさい記事や番組と、ぜひ比較していただきたい。

▲プーチン大統領。(Wikipedia、www.kremlin.ru、The Presidential Press and Information Office

プーチン氏は侵攻理由をウクライナの「ジェノサイド」と主張! 朝日新聞は「フェイク」とするが、国際司法裁判所はジェノサイドの有無をまだ判断してない!

 ロシアによるウクライナ侵攻「特別軍事作戦」実施の理由の一つとして、プーチン大統領が2022年2月24日のテレビ演説で語ったのが、ウクライナ東部分離派支配地域で(2014年のユーロマイダンから)8年間「集団殺害(ジェノサイド)」にさらされた住民を守るため「ウクライナの非武装化と非ナチ化を進める」というものだった。

▲ウクライナ東部ドンバス地方の分離派支配地域で、ドネツク人民共和国(DNR)(左)とルハンスク人民共和国(LNR)(右)の独立をロシアが2022年2月21日承認した。図は2014年10月5日時点の経済地図。両地域を舞台とする「ドンバス」戦争が2014年始まった。(Wikipedia、Olegzima

 しかし、「NATO主要国はウクライナの民族主義者とネオナチを支援している」と語ったプーチン大統領に対し、日本の大手メディアは「侵略のためのフェイク」だと断定的に批判している。

 ウクライナは、ロシアが「ウクライナ東部のドネツク州、ルガンスク州でジェノサイドが行われているという虚偽の主張にもとづいて武力侵攻した」として、2月26日、国際司法裁判所(ICJ)にロシアの軍事行動停止の仮保全措置を求めて提訴した。

▲国際司法裁判所の法廷(国際連合広報センターウェブサイトより

 ICJはロシア、ウクライナの両国が署名した1948年の「大量虐殺防止に関する条約」にもとづいて、3月7日に審理を開始したが、ロシアはウクライナの要求が条約の範囲外だと主張し、審理を欠席した。

 ICJは3月16日、ジェノサイドへの判断を示さないまま、暫定措置としてロシアに対して軍事作戦の即時停止を命じた。

 17日付けAFPBBは、ウクライナ側がこの暫定措置を「完全な勝利」と歓迎したと報じている。

 しかし、ジェノサイドがあったかどうかについて、ICJはまだ最終的な判断をしていない。

日本政府ですら「フェイク」と結論づけていないのに、朝日新聞は何を根拠に「フェイク」と断言!?

 では、日本政府の公式見解はどうなっているのだろうか。

 3月8日の参議院外交防衛委員会で、このICJの裁判について質問した公明党の高橋光男議員の質問に対し、林芳正外務大臣はウクライナ東部でジェノサイドがあったかどうかについて、「現地の状況等把握する必要があり、確定的なことは申し上げられない。国際刑事裁判所、検察官による捜査や、今後の事態の展開を注視していく」と答えている。

 つまり、少なくとも司法の判断が出るまでは、フェイクだとは断定しないということだ。

▲高橋光男議員の質問に答える林芳正外務大臣(参議院インターネット審議中継、2022年3月8日外交防衛委員会

 日本政府ですら、「フェイク」だとは結論づけていないのに、先ほど例示した朝日新聞の「フェイク重ね侵略」というのは、何を根拠に断言しているのだろうか?

NHKはかつてドンバスでのウクライナ軍の自国民への攻撃を報じていた! にも関わらず、2022年2月23日以降は、その事実についてなぜ口をつぐんでいるのか!?

 なぜ、ロシアにとって「ウクライナ侵攻」の大きな動機となっている東部ドンバス地方におけるロシア語話者への迫害、ドンバスでの紛争について、日本のマスメディアはそろいもそろって口をつぐんでいるのか?

 NHKがかつてウクライナ東部ドンバス地方での、ウクライナ軍によるジェノサイドを報じていたことを、岩上安身あてにメンションをつけてツィートしてくれた方がいらっしゃった。

 「ウクライナ自体がウクライナ東部へ8年間も爆撃してきた証拠を、NHKが持ってました」(jiroramo1192さんのツイート、2022年4月16日 ※jiroramo@jiroramo1192)

 jiroramo1192さんがツイートしているのは、さはさはさんという方がnoteでまとめて紹介している、さらに別のJCKという方がyoutubeにアップしていた2014年からの複数の海外ニュースの映像である。

 それらの映像では、主にロシアのニュースに日本語通訳をかぶせる形で、ウクライナ軍がドネツク州などドンバス地方に空爆や砲撃を行ったことが繰り返し紹介されている。

 例えば「ロシア/ ウクライナ軍、ドネツクを夜間攻撃」という2017年2月5日付(日付はYoutubeへのアップ日で、実際の放映日は1~5日くらい前とのこと)の映像では、冒頭(5:00頃~)で「ウクライナ東部、ドネツク州の情勢が急激に悪化しています。ウクライナ軍は2日から3日にかけて3500発の砲弾を打ち込み、ドネツクに対する攻撃を続けています。30に及ぶ居住区が被害を受けました。この1週間での死者は24人、負傷者の数は60人に上っています」とアナウンスされ、破壊された街の映像が流される。

▲さはさはさんがnoteで紹介している、JCKという方がyoutubeにアップした海外ニュース映像 https://www.youtube.com/watch?v=SMCITDdNO44&t=13s

 その他、「ウクライナ東部から80万人避難 / 国連人道問題調整事務所『ウクライナは国連支援に便宜を』」(2014・08・07)、「ウクライナ軍 / ドネツクを白リン弾砲撃。」(2014・08・18)、「ウクライナ軍砲撃『私たちの生活をメチャメチャにしました。無傷の家は一軒もない』」(2014・06・19)などのタイトルが並ぶ。

 このように、NHKはウクライナ軍が自国民を攻撃する様子を報道していたのに、なぜ今は口をつぐんでいるのか!? ウクライナ戦争の真相に迫り、解決の糸口を探すために、今こそ、2014年から8年間に渡るウクライナ軍による東部のロシア語話者への虐殺の事実を改めて顧みる必要があるのではないか!?

米政治専門メディア『The Hill』は、ウクライナのネオナチの存在を「ほぼすべての主要報道機関が確認」と2017年に報じていた!

 ウクライナのネオナチの存在についても、ロシアの「フェイク」「プロパガンダ」だという決めつけや、ネオナチの「脱色化」が見受けられる。朝日新聞は、「ジェノサイドはなかった」というウクライナのネオナチと同じ主張をしていることにおぞましさを感じないのだろうか?

 しかし、米政治専門メディアの『The Hill』は、2017年11月9日付けの記事で次のように報じていた。

 「トランプ政権がウクライナへの武器供与を検討する中、キエフ政府が雇用する極右勢力の問題が再びクローズアップされている。欧米の観測筋の中には、ウクライナにネオナチ勢力は存在しないと主張し、その主張をモスクワのプロパガンダと決めつける向きもある。残念ながら、それは大きな間違いである。

 ウクライナには、実際にネオナチの組織が存在する。このことは、西側のほぼすべての主要な報道機関によって圧倒的に確認されている。アナリストがそれをモスクワが流布したプロパガンダと断じているのは、非常に憂慮すべきことである。特に、現在世界中でネオナチや白人至上主義者が急増していることを考えれば、なおさらである」

アゾフ大隊は自ら「ネオナチ」と認め、西側主要メディアは「ウクライナのボランティア部隊にはナチがいる」と報じた!

 『The Hill』の記事は、以下のように続く。

 「ウクライナで最も悪名高いネオナチ集団は、2014年に設立された3000人規模のアゾフ大隊(現在は国家親衛隊アゾフ連隊)である。

 アゾフを創設する前、その司令官であるアンドリー・ビレツキーは、ネオナチ集団『パトリオット・オブ・ウクライナ』を率いており、そのメンバーはアゾフの中核を形成するに至っている。

 ビレツキーは、ウクライナの使命は、『世界の白人種の生存のための最後の十字軍を率いて、「人間以下(ネオナチの常套句)」に対抗すること』だと述べていた」

▲アゾフ大隊の最初の司令官、アンドリー・ビレツキー。2016年設立のナショナル・コープス党首。2014年から2019年まで、ビレツキーは人民戦線党の支援のもとキエフ選出[4]のウクライナ議会議員を務めた。写真は2017年。(Wiikipedia、Анна Дубровська

 「アゾフのロゴは、名誉毀損防止同盟(米国最大のユダヤ人団体)によってネオナチのシンボルとされた『ヴォルフスアンゲル(ウルフフック)』と『ゾンネンラート(黒い太陽)』という2つの紋章で構成されている。

▲アゾフ連隊のエンブレム。ナチズムに関連する2つのシンボル、「ヴォルフスアンゲル(ウルフフック)」(前面の黒い紋章)と「ゾンネンラート(黒い太陽)」(背景の白抜きの紋章)が使用されている。(Wikipedia、MrPenguin20、Все права принадлежат дизайнерскому отделу пресс-службы полка «Азов»

 『ヴォルフスアンゲル』は米国のヘイトグループ『アーリアン・ネイションズ』が使用しており、『ゾンネンラート』はこの夏にシャーロッツビルで行われた死の行進(2017年8月に米バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者が集会を行い、抗議者と衝突、死傷者が出た)で使用されたネオナチのシンボルの一つだ」

▲2017年8月12日に米国バージニア州シャーロッツビルで、白人至上主義者や右翼の集会であるユナイト・ザ・ライト・ラリーが行われ、ラリーに抗議する群衆に、ネオナチと白人至上主義の信奉者で20歳のジェームズ・アレックス・フィールズ・ジュニアが車を突入させ、最終的に1人が死亡、35人が負傷するテロ事件が起きた。写真は南軍の戦闘旗、ガズデン旗(アメリカ独立戦争中の軍人クリストファー・ガズデンがデザインした、ガラガラヘビが描かれた旗。右翼リバタリアニズム等の象徴として用いられる)そしてナチス旗を持つラリー参加者。2017年8月12日、バージニア州シャーロッツビルのイマンシエイション・パーク付近にて撮影。(Wikipedia、Anthony Crider; cropped by Beyond My Ken (トーク) 20:37, 9 April 2018 (UTC)

 「アゾフのネオナチの特徴は、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、BBC、テレグラフ、ロイターなどが取り上げている。西側メディアの現場ジャーナリストたちは、SS(ナチス親衛隊)のルーン文字、鉤十字、松明行進、ナチス式敬礼を目撃したと書いている。彼らはアゾフの兵士にインタビューし、彼らがネオナチであることをあっさり認めた。これらの報道は、『米国はウクライナで何人のネオナチを支援しているのか』、『ウクライナのボランティア部隊にはナチがいる』といった明確な見出しで掲載されている。

 これがロシアのプロパガンダなのか?」

▲ルーン文字は、ゲルマン人がゲルマン諸語の表記に用いた古い文字体系。ナチスの親衛隊(SS)が、ナチズムのイデオロギーとゲルマン神秘主義の結合を象徴するものとして、親衛隊の旗や制服などに多用した。図は「ジーク・ルーン」で、「親衛隊」の略号SSとともに、ナチスのスローガン「勝利、勝利!」も示した。元来は「シゲル(Sigel)」と読み、太陽を表していたが、フォン・リストにより勝利の印として再解釈された。(Wikipedia、DIREKTOR

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