1月31日月曜日、夜7時から、「東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(続編)」岩上安身による元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビューを生配信した。
とうとう米国・バイデン政権は「ロシアの侵攻は2月」とまで言い始めた。
盛んに「ウクライナ危機」が取り沙汰されているが、そもそもなぜロシアはウクライナ国境に軍隊を集めているか。日本の大手新聞やテレビを見ていると、「独裁者プーチンの率いる悪魔のロシア軍が、弱小国であるウクライナを脅かしており、正義の味方である米国がはるばる大西洋を越えてウクライナを助けに行こうとしている」といったイメージがつくられている。そんな漫画のように単純な正義と悪の対決なのか。
1月27日に配信にた第1回インタビューに続き、外務省国際情報室長として、英国のMI6で学び、ロシア、イラク、イラン、ウズベキスタンなどに駐留したご経験のある孫崎氏にじっくりと「ウクライナ危機の正体」について、岩上安身がうかがった。
孫崎氏は、ロシアのラブロフ外相の、「(戦争が)ロシア次第というならば、戦争は起こらない。私たちは戦争を望んでいないが、私たちの利益がおろかにも侵害され、私たちの利益が軽視されることも認めない」という言葉に注目した。
孫崎氏「『私たちの利益がおろかにも侵害され、私たちの利益が軽視されることも認めない』とラブロフは言っているんです。要するにウクライナのNATO加盟がなければロシアは何もしない。だから、ウクライナのNATO加盟を凍結すれば、それで(ウクライナ危機は)『終わり』なんですね。本来は簡単なことなんです。
NATOは日米安保と違って、加盟国が侵略されたら守るのがルールです。ロシアとしてはその条項が入ることは絶対に許せないから、抗議している。西側諸国が棚上げすればそれで終わりです。それなのに、なぜ危機が大きく取り沙汰されるのか」
岩上は、米国家安全保障会議(NSC)のエミリー・ホーン報道官が、ウクライナ高官がバイデン大統領とゼレンスキー大統領の会談は「不調に終わった」と述べた言葉を否定し、「バイデン大統領はロシアが2月にウクライナを侵攻し得る確かな可能性があると述べている。彼は公にそう明言しており、我々は数カ月間、これについて警鐘を鳴らしてきた。これ以上の、もしくはこれ以外の報道は完全に虚偽だ」と述べた件について、「あまりにも傲慢」だと批判した。
岩上「米国の一報道官が当事国であるウクライナの高官の言葉を否定して、バイデンの言ったことだけが正しいって、あまりにも傲慢じゃないでしょうか。自分たち『米国だけは例外的な選ばれし国なのだ』という思い込みを、米国の『例外主義』といいますが、この狂信的なドクマは、現実の米国の凋落にともなって、ますます増長しているようです。
孫崎さんは前回、バイデン大統領が『私の推測では、彼(プーチン氏)は(ウクライナに)侵攻するだろう。彼は何かしなければならないはずだ』といった言葉に対して、『何かをしなければならないのは、むしろバイデンの方だ』と指摘されましたね」
孫崎「ええ。バイデン大統領の支持率は40%まで下がっていて、その理由はウクライナ危機ではなくて、物価、インフレなんですね。これまで米国では、外に危機があると国民が団結して頑張るんですが、今回は、米国民はほとんど踊ってないというのがユニークです。
まずは自分の生活、物価、経済。通常の伝統的な手法では国民が動かない」
NATOストルテンベルグ事務総長は1月30日、英メディアに対し、「ウクライナはNATOの加盟国ではないため、ロシアが軍事侵攻したとしても、NATOの部隊をウクライナに派遣する計画はないと話した」と『FNN』が報じた。
ウクライナはむろんのこと、ロシアもNATOも戦争をしたいとは思っていない。戦争を煽っているのはバイデン政権だけである。
- NATO“ウクライナに部隊派遣計画なし” ロシア軍事侵攻の場合も(FNN、2022年1月31日)