2020年12月7日、東京千代田区の東京電力臨時会見場で、定例の記者会見が行われた。
福島県双葉郡楢葉町にある「Jヴィレッジ」は、東京電力が建設したのち福島県に寄贈され、1997年に開業したサッカーのナショナルトレーニングセンターだが、2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故により、営業できなくなった。
原発事故後、Jヴィレッジは東電が原発事故の処理などに利用していたため、敷地が放射能に汚染されていた。東電は「放射線量低減」など原状回復工事を実施して福島県に返還し、Jヴィレッジは2018年に再び開業した。
その後、安倍晋三総理(当時)が、東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーのスタート会場に指定したことにより、Jヴィレッジは「復興五輪」の象徴のように扱われた。
ところが2019年、環境NGOグリンピースの調査により、Jヴィレッジの周辺で高い空間線量が計測された。環境省の指摘もあり、東電はその対応に追われることになったが、その際の除染作業に法令違反の疑いが浮上していた。
Jヴィレッジのある楢葉町など「除染特別地域」などで作業する場合は、厚生労働省の「除染電離則」が適用され、作業員への放射線教育や被ばく線量の測定・管理が義務付けられている。
東京電力は、8月17日以来、約4か月ぶりに原子力立地本部の担当者が会見を行ない、5月以来追及されていた労働安全衛生法違反の疑いについて、ようやくその概要を明らかにした。