2020年11月16日、東京都千代田区の東京電力臨時会見場で、定例の記者会見が行われた。
東京電力は柏崎刈羽原発の6号機・7号機の再稼働にあたり、7号機の保安規定が認可され、7号機は事実上、地元同意を残すのみとなった。
原子力規制委員会は2017年、柏崎刈羽6号機・7号機の安全審査について、事故を起こした福島第一原発の廃炉への決意など、基本姿勢7項目を保安規定に盛り込むよう求めていた。
一方、この日の午前、原子力規制委員会で行われた特定原子力施設監視・評価検討会では、原子力規制庁の原子力規制部・東京電力事故対策室・林田英明氏から「(東電)福島第一原子力発電所の実施計画変更申請が未提出だ」と指摘された。
東通り原発、福島第二原発からは保安規定の基本姿勢7項目にかかわる補正申請が提出され、すでに審査されていることを受け、林田氏は「これでは1エフ(福島第一原発)ファーストではなく柏崎ファーストと受け止められかねない」と指摘し、東京電力ホールディングスの組織としての意思が問われた。
会見で規制委の指摘について見解を問われた、東京電力の斎藤幹雄・広報担当は、記者の発言に対し「だいぶ(規制委の)発言とは異なる」と異論を述べたが、福島第一原子力発電所の変更申請が、他の原発の申請より遅れている事実と、東京電力ホールディングスの組織としての意思が問われた事実は、否定することができなかった。
規制庁担当者のこの発言は、柏崎刈羽原発の審査が終了したとたんに手のひらを返したような東電の態度に、規制当局がいらだちをあらわしたものといえる。