「自民党は、自衛隊員の殉職を待っているとしか思えない」 〜岩上安身のインタビューで紛争解決請負人・伊勢崎賢治氏が戦争法案の欺瞞を暴く~岩上安身によるインタビュー 第547回 ゲスト 伊勢崎賢治氏 2015.6.14

記事公開日:2015.6.16取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根)

特集 安保法制
※6月24日テキストを追加しました!

 「集団的自衛権は、個別的自衛権の延長ではない。自衛隊員が集団的自衛権で海外で住民を殺した場合、今のままでは個人の責任になって、日本の刑法で殺人罪に問われてしまう」──。

 NGO・国際連合職員として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンなど、世界各地の紛争地での紛争処理、武装解除などにあたり、紛争解決請負人とも呼ばれる伊勢崎賢治氏は、実務者としての見地から安倍政権の安保法制を論駁し、警告を発した。

 2015年6月14日、東京都内で、岩上安身による東京外国語大学大学院教授・伊勢崎賢治氏インタビューが行われた。伊勢崎氏は、「集団的自衛権行使はまったく国益にならない」と何度も繰り返し、「今の戦争は民衆と戦闘員の区別がつかない非対称戦で、他国民の殺害は、今後、必ず起きる」と懸念する。

 しかし、日本の法体系では、自衛隊員は国家の責任を個人で負っていると伊勢崎氏は言い、「(戦闘で誤って市民を死なせた場合でも)過失にならず、犯罪者として裁かれてしまう。これが自衛隊の海外派兵の、最大の矛盾だ」と訴えた。

 岩上安身は、「安倍さんは戦争に巻き込まれることを狙い、自衛隊員に戦死者を出して、立憲主義を覆す大日本帝国憲法にしたいのだろう」と応じた。

 伊勢崎氏は、もはや、日本は平和主義だから9条を守るという段階ではないとし、「中国は手練れで、絶対に軍事的先制攻撃はしません。やるとしたら非軍事的にやる。それには絶対に軍事的に対応してはいけない。安保法制には120%反対です」と明言した。

記事目次

■イントロ

  • 伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授)
  • 日時 2015年6月14日(日)17:00〜19:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

ISとの戦闘に行かされる!?──新三要件は売国奴の考えだ

岩上安身(以下・岩上)「本日は、東京外国語大学大学院教授で、紛争解決請負人、トランペッターでもある伊勢崎賢治氏をお招きしました。まずは、戦争法案を巡る国会情勢から。平和安全法制特別委員会では、連日、暴言が飛び交っています。

 稲田朋美政調会長、この人は弁護士なのですが、『もはや、違憲か合憲かはどうでもいい』と発言した。また、安倍政権が閣議決定した武力行使の『新三要件』では、幸福追求権の面から集団的自衛権は合憲、という意味不明さです」

伊勢崎賢治氏(以下、伊勢崎・敬称略)「アフガン戦争は個別的自衛権で13年続いて、ビンラディンを追いながらタリバンも叩きのめした。それで苦しんだのはアメリカで、昨年(2014年)、軍事的勝利をあきらめた。

 実は、アフガン軍閥の武装解除をしたのは僕なんです。当時、ブッシュ政権に協力するため、小泉政権の命で武装解除をしたが、力の空白地帯を作ってしまった。それがイラク内戦に変わり、オバマ政権に引き継がれてしまい残念です。今の若い人たちには、この戦争の悪い面を伝えたい。

 新三要件は、個別的自衛権の問題。集団的自衛権と一緒にすることに違和感がある。政府は、新三要件を認めてもイラクやアフガニスタンのようにはならないと言うが、場合によってはIS(イスラム国)との戦いに行くことにもなりかねない」

岩上「新三要件は売国奴の考え。個別的自衛権の延長に集団的自衛権がある、と思うのは勘違いですね。集団的自衛権で守ってくれるという保証はない。また、集団的自衛権を行使することで、個別的自衛権が手薄になる弊害もある」

伊勢崎「集団的自衛権行使の最大手はNATO軍で、9.11の際、アフガンに陸軍を送った。しかし、2年後のイラクでは離脱しました。つまり、日本と密接な関係の他国が武力攻撃されても、自動的に軍を派遣することはしないのです。主体性のある国の集まりが同盟国で、やるか、やらないかは各国の判断による。それがNATO。しかし、新三要件は従属そのもので、『集団的従属権』だ。そもそも、国防は個別的自衛権が基本にあるものです」

虎の威を借りるカッコ悪い集団的自衛権

岩上「右派の者はすぐ、『一国では防衛できない』と言う。政府も『アメリカに守ってもらわなければいけない』と、はじめから決めつけている。しかし、ベトナムもアフガンも大国を跳ね返した。それくらいの気概がないと、国家は成り立ちません」

伊勢崎「中国とアメリカが戦争することはないと、政府内でも、まともな人間ならわかっている。アメリカと一緒になって自分をデカく見せたいだけです。集団的自衛権は国連憲章でも脆弱な決まりで、各国の基本は個別的自衛権です」

岩上「NATOは同盟、日米同盟は主従関係ですね。最近、SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)など、若い人たちが声を上げ始めた。ある女子学生は『集団的自衛権は虎の威を借りてカッコ悪い!』と叫ぶが、その通りです」

岩上「共産党の志位委員長との党首討論では、安倍首相のポツダム宣言の不承知発言があった。世間では、安倍首相はポツダム宣言を読んでいなかったのかと、無知に批判が殺到したが、実は読んでいた。その上での発言です。また、VOICE誌での、JR東海の葛西会長と安倍首相の対談では、誤解甚だしい発言もありました」

伊勢崎「もし、あれが英語で発信されていたら大変でしたよ」

岩上「礒崎陽輔首相補佐官も同調して、ポツダム宣言に不服を表明した。官邸が同じスキームで固められている。礒崎氏は『立憲主義は知らない』とも発言、改憲を進めようとしています」

介入主義に様変わりした国連PKOと集団安全保障

岩上「安倍首相は『満州には日本が攻め入ったのではない。ドイツの権益を受け継いだ』と言うが、青島と混同している。マスコミは今上天皇の『満州国から始まる戦争の歴史と反省』との護憲発言をカット。歴史修正とねつ造が甚だしい。

 また、安倍政権は集団的自衛権の根拠を、昭和47年の政府見解だと主張していたが、小西洋之議員が調べると、当時の吉國内閣法制局長官は、『同盟国に対する武力攻撃だけでは、集団的自衛権は行使できない』と断言していたのです」

伊勢崎「NATOも同じ判断です。これが同盟国のあり方で、個別的自衛権の概念がしっかりしているから可能。政権に入るとおかしくなる。それで民主党政権下、PKOも海賊問題も、国際情勢に関して介入主義に変わったんです。

 介入主義と集団的自衛権も境がなくなった。さらに、国連による集団安全保障で介入できるが、これも変わってしまった。国連には人道的に戦争をやる国際人道法があるが、国連は紛争の当事者にはなれません。

 それで停戦合意促進と人道的支援のためにPKOがあり、自衛隊も派遣されてきた。しかし1999年、国連PKOでは紛争当事者になれず、ルワンダで住民100万人が殺害された。そこで、国連も紛争当事者になれると立場を変えたのです。

 今、PKOは戦争の当事者になり、国家に代わって住民保護のため、敵を成敗する役割を背負っています。停戦合意が破られても道義上、撤退できません。日本の国際法の学者も、これは承知しているはずです」

海外派兵で市民を殺してしまったら、殺人罪で裁かれる自衛隊員

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  1. kaimarin より:

     以前から聞きたいと思っていた伊勢崎氏との対談を、どうもありがとうございます。ジャズライブにも行きたいんだけれど、距離的に無理なのです。お話から察するに、やはり紛争地で長年活躍してこられた国際人、というパーソナリティーが出来上がっていますね。日本では発言しにくいんではないか、と察しますが、これからも注目していかなくてはならない逸材だと思います。数ヶ月前に伊勢崎氏の本を図書館で予約したのですが、すごい人数待ちで、やっと明日借り出せるようです。読みます。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「自民党は、自衛隊員の殉職を待っているとしか思えない」〜岩上安身のインタビューで紛争解決請負人・伊勢崎賢治氏が戦争法案の欺瞞を暴く http://iwj.co.jp/wj/open/archives/249182 … @iwakamiyasumi
    「パールハーバーを忘れるな!」の日本版ということ。なんと悪質なやり方だ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/613676361186566145

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