「自衛隊の棺が帰ってきた時、日本社会はどう受け止めるのか」――近づく戦争のリスク、自衛隊が紛争の「当事者」になる日 2015.5.18

記事公開日:2015.5.29取材地: テキスト動画
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(IWJ・青木浩文)

特集 集団的自衛権|特集 憲法改正

※5月29日テキストを追加しました!

 元防衛官僚で内閣官房副長官補を務めた柳澤協二氏らが代表を務める「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」(略称:自衛隊を活かす会)が2015年5月18日、衆議院第二議員会館でシンポジウムを開催し、「戦争をしてはいけないという日本の姿勢を貫き通し、その優位性で国際社会の中で支持を広めていくことを考える必要がある」との主旨の提言を発表した。

 柳澤氏の他に、同会からは呼びかけ人である東京外国語代教授で元NGO・国際連合職員の伊勢崎賢治氏と、桜美林大学教授の加藤朗氏の2人が登壇。また、元陸上自衛隊幕僚長の冨澤暉氏もアドバイザーとして参加した。

記事目次

■ハイライト

  • 第1部 「提言」の説明
    柳澤協二氏(元内閣官房副長官補、「自衛隊を活かす会」代表)
  • 第2部 「提言」の討論 
    冨澤暉氏(元陸上自衛隊幕僚長)、伊勢崎賢治氏(東京外国語大学教授、「自衛隊を活かす会」呼びかけ人)、加藤朗氏(桜美林大学教授、「自衛隊を活かす会」呼びかけ人)

「大国間の経済依存性が非常に強い現在、戦争は非合理な手段」

 柳澤氏は、今回発表した提言について説明した。

 「冷戦時代とは違い、今日の大国間の関係は経済的な結びつきが非常に強くなっているため、相手の国土を破壊する戦争は、自分の国の経済もだめにしてしまう。つまり、戦争そのものが非合理な手段になっている。だとすると、この相互依存をうまく利用する形で、抑止力だけに頼らず、非戦の制度化という道を模索することに大きな努力を傾けるべき。今こそ専守防衛がもう一度、国際情勢の大きなトレンドの中で役割を持ってくるのではないか。

 戦争をしてはいけないという日本の姿勢を貫き通し、その優位性で国際社会の中で支持を広めていくことを考えていく必要がある」

 柳澤氏は、内閣官房副長官補を務めていた当時、行われた自衛隊のイラク派遣にも触れた。

 「自衛隊がイラクのサマワで一発でも銃を撃っていたら、100、200発返ってくる世界だった。非戦闘地域に限定し、銃を使わなくてよい人道復興業務に限定したために、結果的として自衛隊から犠牲者が出なかったという側面もある。

 もちろん軍隊は任務達成が優勢の組織。犠牲が出たとしても、それを国民が支持するのであれば、その選択肢もある。しかし、それは自衛隊にとって大きな壁。日本社会は自衛隊の棺が帰ってきたら、どのような受け止め方をするのだろうか」

「PKOも自衛のために発砲すれば国際人道法上『紛争の当事者』になる」

 伊勢崎氏は、自身が2013年にコンゴの紛争地で取材した内容も絡め、日本が自衛隊をPKO派遣し続けることで高まるリスクについて言及した。

(…会員ページにつづく)

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「「自衛隊の棺が帰ってきた時、日本社会はどう受け止めるのか」――近づく戦争のリスク、自衛隊が紛争の「当事者」になる日」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「自衛隊の棺が帰ってきた時、日本社会はどう受け止めるのか」――近づく戦争のリスク、自衛隊が紛争の「当事者」になる日 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/245973 … @iwakamiyasumi
    「その日」が近づいている。仕方がないと諦めるのを止めて、大きな声で文句を言おう。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/604403496276746241

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