今年2015年4月下旬、新たな日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)が改定された。自身も1997年に防衛審議官としてガイドライン策定に関わったことがある、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏は、「読んでみて、愕然とした。これは酷い、というのか、まず、何でもできるようになっているんです」と酷評した。
2015年5月2日(土)、千葉県・市川市内で「『戦争準備に向かう』安倍政権の罠 新『安全保障法制』を考える」と題する講演で、開口一番この新ガイドラインを酷評した柳澤氏は、続けて新ガイドラインの「質的変化」に注目していると話し、武器使用の拡大がキーワードだと指摘した。
自衛隊法95条は、日本が武力攻撃を受けていない平時には「持っている装備を守るため」に限り、必要最小限の範囲で自衛隊が武器を使うことを認めている。しかし今回の新ガイドラインでは、平時の段階でも、自衛隊と米軍が互いに武器を使って守り合う「アセット防護」が明記されている。
安倍政権は今国会で審議中の安保法制に、この自衛隊法95条の改正を盛り込み、この「アセット防護」の実現を目指している。
柳澤氏には、今年2015年1月に起きたISILによる邦人人質事件の最中、1月21日に岩上安身が緊急インタビューしている。
本講演の冒頭で柳澤氏は、この1月のインタビューの後日談として、 「あの時は、ひどかった。政権を批判することを許さないという雰囲気があった」と振り返った。