2025年11月14日午後2時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、「琉球弧の戦場化を許さない」実行委員会の主催による「琉球弧の戦場化を許さない! 11月行動」が開催された。シンポジウムでは、沖縄の島々から参加した登壇者が、それぞれの島で今、何が起こっているのか、現状を報告した。
登壇者は、与那国島の与那国町議会議員・小嶺博泉(こみねひろもと)氏、石垣島の石垣市議会議員・内原英聡(うちはらひでとし)氏、宮古島の「てぃだぬふぁ島の子の平和な未来をつくる会」共同代表・楚南有香子(そなんゆかこ)氏、そして、沖縄本島の「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」代表・照屋寛之(てるやひろゆき)氏の4名。
プログラムは、各関係省庁の担当者と主催側登壇者との質疑応答からなる「島の人(しまんちゅ)の声を聞け!政府交渉」と、「島の人(しまんちゅ)の生活を破壊する『避難計画』を問う! シンポジウム」の2部構成で行われた。
「避難計画」とは、「台湾有事」などを視野に、武力攻撃や大規模テロなどが発生した際に、国民の生命・身体・財産を保護し、国民生活への影響を最小限に抑えることを目的とした「国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)」にもとづき、沖縄県・先島諸島の住民約11万人と観光客約1万人、計約12万人を対象に策定されたものである。2026年度には、実際の対応を含めた避難訓練の実施が予定されている。
- 国民保護法とは(内閣官房 国民保護ポータルサイト)
「政府交渉」には、政府側から、内閣官房、防衛省、外務省、経産省、消防庁の各担当者が参加し、「今後の軍備拡張の予定」、「特定利用空港・港湾」、「住民避難計画」、「国民保護法第37条ないし40条」、「住民説明会」、「県協議会、市町村協議会」、「シェルター確保」、「火薬庫と火薬類取締法」、そして「与那国町における軍備強化の動き」の9つのテーマについて、主催側の登壇者と質疑応答が行なわれた。
それぞれの質問に対し、政府側から誠意ある答弁はなく、質疑応答の結びとして、楚南氏は次のように、政府側に厳しく問いかけた。
楚南氏「理解ができる、できないとか、協力いただく、いただかない、という問題じゃなくて、皆さんが進めている計画は、私達住民の『平和的生存権』を脅かしています。
いつか、もしかしたらこの島が戦場になるかもしれない、という可能性を考えるという点において、私達は『すべてを失う』という可能性を考えています。
そういう状況の中にあって、どうやって『幸福を追求』できますか?
その島で、この先もずっと暮らしていける、暮らし続けられるということが、担保されていない、と感じています。
そこを『理解してください』という話を、今、あなたはされているのですけれども、それは、理解を、私達がしなければいけない話ですか?
日本国憲法に照らせば、私達の人権が、暮らしが、まず優先されるべきだと思います。
これは、軍事が優先されるという、この地点において、そもそも、この計画自体が日本国憲法に即していないというふうに理解していただけないでしょうか?」
シンポジウムでは、登壇者4名が、「避難計画」について論じ、また、それぞれが行っている活動について報告し、運動論について説明した。
ここでも、宮古島の楚南氏が「避難計画」、特に「島外避難」について、以下の通り、鋭い認識を他の登壇者や会場の参加者と共有した。
楚南氏「宮古島で、『てぃだぬふぁ(島の子の平和な未来をつくる会)』のメンバーで、今、話しているのは、島外避難計画で、言うことを素直に聞いて避難をするということは、結局何を招くかということを考えたら、島外避難をした、住民がいなくなったそこに、軍事的なものが全部持ち込まれて、もう自由に、島中、軍事作戦に使っていいですよ、という状況が生まれるわけですよね。
島外避難という名前をつけて、私達の命を守ると言っているんだけど、実際に行われるのは、邪魔な私達住民を排除して、戦争の準備に加担させられる。その島を戦場にしてもいいですよってことにつながっていきますよね。
そういうことを、ちゃんと私達は理解しなきゃいけないなって。
その先に、じゃあ、どういう選択肢なのかなといったら、やっぱり、すみませんけど、『島外避難はしませんよ』と。『やりません。やらん』ということを言い続けて、私達はここでの暮らしを守るんだ、ということをやっていかなきゃいけないなというところに、結論が、今、来ています。
それで、言ったら、『国の方針に協力しないのか』とか『わがまま』だとか、いろんなことを言う声が上がってくると思うんですけど、でも、ここで暮らしている人がいて、その命をちゃんと守らなきゃいけないよね、という、一人ひとりの命を守らなければいけないよねって。
日本の国民が、ちゃんとそこを理解ができて、共通だよね、そこは。人がここに暮らしているのだから、ここは戦場にしちゃダメだ、ということを思えたら、状況は変えられるんじゃないかなと思っているんです」
政府交渉・シンポジウムの詳細については、全編動画を御覧いただきたい。





































