世界の中でも、際立って「多極化」をネガティブにとらえている日本! 世界の構造が「多極化」に向かっているという認識が必要! 岩上安身によるインタビュー第1192回ゲスト 琉球大学名誉教授、沖縄の風・参議院議員 高良鉄美氏 第3回! 2025.5.21

記事公開日:2025.5.22取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

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 2025年5月22日、「世界の中でも、際立って『多極化』をネガティブにとらえている日本! 世界の構造が『多極化』に向かっているという認識が必要! 岩上安身によるインタビュー第1192回ゲスト 琉球大学名誉教授、沖縄の風・参議院議員 高良鉄美氏 第3回」を初配信した。

 第1回と第2回は、以下のURLから御覧いただきたい。

 高良議員は、2025年3月24日の参議院外交防衛委員会に続き、4月22日の外交防衛委員会でも、IWJの記事を引用して質疑を行った。

 4月22日の質疑では、「日本の新聞・テレビは信用できないので、世界情勢を見るには他のソースが必要であると思っています。本日もIWJの記事から質問します」と前置きして、ジェフリー・サックス教授が2025年2月19日に、欧州議会で講演した「平和の地政学」を、IWJが全文仮訳・粗訳した「号外」の記事を詳細に引用しながら、ウクライナ問題と日米同盟を重ね合わせ、岩屋外務大臣や中谷元防衛大臣に、「日本は米国にとって都合のいい代理戦争の駒にされるだけではないか」などと、追及した。

  • IWJの記事が国会で取り上げられる! 沖縄の風・高良鉄美 参議院議員が、参院外交防衛委員会で「日本の新聞・テレビは信用できないので」とIWJ記事を引用し質問!!『日刊IWJガイド』から「米国民よりも米国信者となってしまい、米国に依存し、米国一極支配から多極化となると不安で仕方がない日本人」の記述を引き、世界構造が多極化に向け変わる認識少ないと危機感表明! IWJ号外のジェフリー・サックス教授講演を引用、ウクライナ同様「日本も『米国人が死なず、日本人が中国と戦ってくれるのだからいい。米国予算の使い方だ』と言われ、米国の友人であることは致命的であることを体現しかねない」と警鐘!!
    (日刊IWJガイド、2025年4月25日)
    会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250425#idx-1
    非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54620#idx-1

 高良議員は、岩上安身によるインタビューに答えて、「国会の一つの役割として、国会で質問をする、あるいは問題として取りあげるということで、情報に、より広がりが出る。それが非常に重要で、情報発信という意味では、委員会で、いろいろな会派・政党に資料を渡すというのが、とても、ある意味広がりを持つんじゃないかなと思っています」と述べた。

 さらに高良議員は、「IWJのビューポイント、視点が(他の既存のマスメディアとは)違うことに、現代社会では情報の価値や意味がある」と指摘した。

 4月22日の外交防衛委員会で、ジェフリー・サックス教授の欧州議会での講演内容を取り上げたことについて、高良議員は「米国人(ジェフリー・サックス教授)が、米国の戦略を批判していることに価値がある。ハーバード大学留学時代の雅子妃の主任教官だったので、多角的に日本のことにも関心を持っている。そして、特にソ連崩壊後の、民営化の問題のアドバイザーだったということは、かなり当時のソ連のことも、そしてその後のロシアのことも知っている。そこがとても大きいバックグラウンドをお持ちだ」と、理由を述べた。

 さらに高良議員は、サックス教授が講演の中で「私はウクライナ人に『アメリカ人の言うことを聞いてはならない』と助言した」と明らかにしたことについて、次のように語った。

 「これは、いろいろなものがあると思うんですけれども、(米国の)戦略的なものでいうと、いつも何か一歩先というか、裏というか、そういったものがあるということ。(中略)

 例えば、日露戦争に日本が勝った時点で、アメリカは将来の日本との交戦計画である『オレンジ作戦』(米国が1890年代から1940年代にかけて策定・改訂を重ねた、対日本戦争を想定した軍事戦略計画)というものを作っていた。

 沖縄での密約(有事の際の核兵器再持ち込みに関する、佐藤栄作首相とニクソン大統領の間での密約)も当然そうでしょうし、世界中にそういうものを張り巡らしている。米軍基地も、全世界に800を超える数があるわけです。

 ディープステートというか、そういういろいろなものが、アメリカの中で動いている。そこを、少なくとも一定程度は知っておかないと、対応ができないだろう。

 外交の問題を考えるにしても、防衛の問題を考えるにしても、これから先をどうしていくのかという時には、やっぱりこういう格言というんでしょうか、『アメリカ人の言うことを聞いてはならない』というのは、肌で感じているところもあるんです」。

 さらに高良議員は「これ(『アメリカ人の言うことを聞いてはならない』という進言)は、日本にこそ必要な言葉」だと指摘し、以下のように訴えた。

 「今、日本は日米安保にして、どういう立場ですか?

 日本は、安保を通じて『同盟国だ』と言っているけれど、果たして同盟国が、どんな意味を持っているのか?『致命的だ』ということ。(『代理戦争』に)『使われますよ』ということですから」。

 その上で高良議員は、「日本は、絶対に米軍が、日米安保で日本を守ってくれると思っているけれども、とてもじゃないけれども、それはやらないですよ」と述べ、こう続けた。

 「だから、そこの見方をしっかりしないといけない。

 日本が攻撃されたら、米軍が出てきて、いろいろ支援してくれると思っているけれども、それはもうないんだよという認識をしっかり持っておかないと、行動が違ってくると思うんですね。

 ないということを前提にすると、日本と中国との関係も含めて、多極化の話もそうですけれども、そういう視点もきちんと持った方がいいよというのが、こちら(サックス教授)の主張だと思うんですね。

 これは本当にある意味、『このままいったら、日本は破滅しますよ』というぐらいの警告ですね」。

 さらに高良議員は、日本が駐留米軍に対して、日米地位協定の中で第1次裁判権を放棄していることについて、こう述べた。

 「日本人は『主権』という言葉に対する意識が、ものすごく軽い」と述べ、「本当に理解して、『主権回復』と言っているのか? 普通に考えたら、『回復されていない』という怒りを持つべきだった。

 『主権回復の日』の式典(2013年4月28日に、1952年4月28日にサンフランシスコ平和条約が発効したことを記念して、憲政記念館で開催された。当時の第2次安倍内閣によって閣議決定された)を祝う神経が、本当にわからなかった」。

 高良議員は、4月22日の参議院外交防衛委員会で、訪日したヘグセス米国防長官が、3月30日の中谷元防衛大臣との会談後の記者会見で、「日本は、西太平洋で起こりうる、いかなる不測の事態においても最前線に立つ」と発言したことについて、「日本は米国にとって、都合のいい代理戦争の駒にされるだけではないか」と、中谷防衛大臣の見解を問いただした。

 この質問について、インタビューで高良議員は、第2次大戦の沖縄戦で、沖縄に上陸したニミッツ将軍が、「琉球住民は私の支配下に入る」と宣言したことを指摘し、ヘグセス米国防長官の発言は、「ニミッツや、戦後日本本土を占領したマッカーサーと変わらない」として、次のように述べた。

 「この『最前線』という言葉は、アメリカ人にとっては、ものすごく強い意味があるけど、日本では、そこの(危機)意識があまりないんでしょうね。

 さっきから主権の問題も出てますけど、これは相当、主権にもかかわるし、本当に命にかかわる問題に来ていますよ、ということ」。

 しかし、中谷防衛大臣は、高良議員の質疑に対し、「『日米同盟がインド太平洋地域における平和と安全の中核であること』、そして『日米が共に日米の安全保障と繁栄を拡大していく』という強いメッセージが示されたというものだと思います」などと答弁した。

 インタビューで高良議員は、「全然わかっていないですよね。『最前線』ということについて、何でそのように解釈できるのか」と述べ、「『ともに』じゃないんですよね」と、呆れた表情を示した。

 高良議員は、「日本とアメリカとの(主従関係にある)防衛力のあり方を、(日本人に)『ともにある』ような形に見せる、一番いい日本語は、『トモダチ』だそうです」と述べ、東日本大震災の米軍による救援活動の『トモダチ作戦』以前から、「トモダチ」という言葉が使われていたと明らかにした。

 また、4月22日の参議院外交防衛委員会で、高良議員は、サックス教授の講演から、米国がウクライナに親米政権を立てた経緯を引用。米国は繰り返し「政権交代作戦(レジーム・チェンジ・オペレーション)」を行ってきたと指摘し、その背景には、米国政府に買収されたマスメディアの存在があるという、サックス教授の指摘を強調した。

 その上で高良議員は、外務省に「一般論として」「他国でクーデターを画策して政権を転覆することについて、国際法の規律はどうなっているか?」と質問した。

 これに対して、外務省は、「国家が自由に処理し得るとされている事項に立ち入って強制的にその国を自国の意思に従わせようとする命令的な介入になる場合には、一般的に国際法上禁止されている干渉になると考えております」と回答している。

 つまり、外務省の答弁した、国際法の一般論と、サックス教授が指摘した、米国がウクライナの政権をクーデターによって転覆した事実を照らし合わせると、米国のレジーム・チェンジは、国際法違反になる、ということになる。

 高良議員は、「アメリカの傲慢な態度は、同盟国に対しても取られました。冷戦終結後、アメリカは当時大きな経済力を持っていた日本を脅威と位置づけ、数々の政策を押しつけてきました。民主主義の破壊と新自由主義の押しつけが、日本衰退の最大の原因だと思います」と指摘した上で、政務3役や外務省に対して、サックス教授の講演を熟読し、歴史的に振り返り、世界に対する認識を深めるように求めて、質疑を終えた。

 岩上安身によるインタビューの最後に、高良議員は、「情報をきちんと見極めないと難しい。知らないということの恐ろしさは重要だと思いますが、知ったつもりでいるというのは、もっと怖い」と述べ、「特に国外のこと、国際的なことについては、やはりきちんと見ていかないと、日本の未来、自分達の未来、若い人達の未来に続いているので、考えていかないといけない」と、情報を精査することの重要性を訴えた。

<会員向け動画 特別公開中>

■3.24 参議院 外交防衛委員会 高良鉄美参議院議員

■4.22 参議院 外交防衛委員会 高良鉄美参議院議員

■全編動画

  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

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