沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、キャンプ・シュワブ沖に停泊していた運搬船から台船に土砂を移し替える作業が、12日午前に確認された。
政府は14日の土砂投入を予定しており、今後は台船がK9護岸に接岸して、ダンプトラックで陸揚げする見通し、と沖縄タイムスは報じた。石材や土砂の陸上輸送が進んでいないため、沖縄防衛局は陸揚げという手段をとったと考えられる。
しかし、そうした計画変更は沖縄県知事の承認なしにはできない。しかも承認なしに変更内容の作業を実行すれば、違法行為に相当する。
- 辺野古:土砂を台船に移し替え 今後、陸揚げへ(沖縄タイムス、2018年12月12日)
12日の総理官邸前では、11日に引き続き、参議院会派「沖縄の風」による抗議行動が行われ、外交防衛委員会に所属している伊波洋一参議院議員を中心に、スピーチ、リレートーク、そしてシュプレヒコールといった形で進んでいった。
そこでは、新基地建設を目的とした土砂投入や、定められた石材である黒石の岩ズリではなく赤土が積み込まれている問題など、違法行為がまかり通っていること、沖縄で起きている米軍機落下や騒音公害が他県にも広がっていること、もし辺野古の軟弱地盤改良工事を実行したら深刻な水質汚染が発生することなど、多様な観点から、この新基地建設が抱える問題点が指摘された。
伊波議員は、横田基地へのオスプレイ配備、岩国のステルス機F35B配備、秋田県および山口県のイージスアショア設置計画などを指摘し、「沖縄で止めなければ、米軍基地の危険が全国に広がってしまう。何としても止める」と、この抗議行動の意義を強調した。
抗議行動終了後、IWJ記者は伊波議員とともに、この抗議行動に参加されていた法政大学大学院フェアレイバー研究所特別研究員の髙須裕彦氏にお話をうかがった。
いくつかの話題について質問したが、ここでは、カミソリ刃付き鉄条網(レーザーワイヤー)が琉球セメント(宇部興産という岸-安倍一族に関係が深い企業の関連会社。現在は独占禁止法に抵触することを理由に関連会社から外されている)によって設置されたことについての、伊波議員、髙須氏のコメントをとりあげる。
伊波議員は「私たちがカミソリ刃(ワイヤー)の状況をツイッター上で発信したところ、67万のインプレッション、5000回を超えるリツイート」があったとし、その中でもイラクの報道に関わった方々による「カミソリ刃付きワイヤー、鉄条網というのは戦時用なんだ」との指摘を紹介した。
そして「何というか彼ら(安倍政権および琉球セメント)は我々県民を敵と見ているのではないかと思うんですね。このことは国民の皆さんには知っていただきたい。それは私たち沖縄県民だけではなくて、政府に抵抗する人々を敵と見る思想へ広がっていく、大変危険な方向に向かっていると思います」と強い危惧を表した。
アメリカの労働組合運動を研究し、実際に連帯の運動に取り組まれている髙須氏は「この鉄条網を見た時に、トランプ政権がメキシコとの国境で、この鉄条網をグルグルつくっているんですよね。それを思い浮かべました」との第一印象を語った。
続けて高須氏は「安倍政権は県民に対して壁(をつくり)、分断をしながら力ずくで新基地建設を推し進めていくのだなと。それを象徴する存在だとカミソリ刃付きの鉄条網について思いました」と日米両政府の姿勢を重ねている。
なお、髙須氏には、労働組合員60万人ほどが加盟するアジア太平洋系アメリカ人労働者連盟、APALA(Asia Pacific American Labor Alliance)との具体的な連帯活動についてもうかがった。
髙須氏は、「(11月の米国)中間選挙もありました。下院は民主党が過半数を占めるという状況の中で、労働組合が民主党に対する影響力を強く持って」いる状況を活かし、「アメリカの労働者、労働組合によってアメリカの民主党を動かし、下院の力も使いながら」、辺野古の新基地建設を日米両国労働者・市民の連帯で阻止するための試みについてもコメントいただいた。
なお、9月の沖縄県知事選挙を前に、岩上安身が伊波議員にインタビューしている。そして、玉城デニー知事誕生に際し、改めてお話をうかがっている。下記URLをぜひ参照されたい。
伊波議員「(安倍政権および琉球セメント)は我々県民を敵と見ているのではないか。このことは国民の皆さんには知っていただきたい。それは私たち沖縄県民だけではなくて、政府に抵抗する人々を敵と見る思想へ広がっていく、大変危険な方向に向かっている」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/437461 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/1073334684501737473