世界の中でも、際立って「多極化」をネガティブにとらえている日本! 世界の構造が「多極化」に向かっているという認識が必要! 岩上安身によるインタビュー第1189回ゲスト 琉球大学名誉教授、沖縄の風・参議院議員 高良鉄美氏 第1回! 2025.5.8

記事公開日:2025.5.20取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

※公共性に鑑みフルオープンにします。
※25/5/22 テキスト追加

 2025年5月20日午後7時より、「世界の中でも、際立って『多極化』をネガティブにとらえている日本! 世界の構造が『多極化』に向かっているという認識が必要! 岩上安身によるインタビュー第1189回ゲスト 琉球大学名誉教授、沖縄の風・参議院議員 高良鉄美氏 第1回」を初配信した。

 高良議員は、2025年3月24日の参議院外交防衛委員会で、ミュンヘン安全保障会議(MSC)が、「日本は典型的な現状維持勢力」だと指摘したことを取り上げたIWJの記事を引用し、岩屋毅大臣に「多極化」に関する認識について、質疑を行った。

 さらに4月22日の外交防衛委員会では、「日本の新聞・テレビは信用できないので、世界情勢を見るには他のソースが必要であると思っています。本日もIWJの記事から質問します」と前置きして、ジェフリー・サックス教授が2025年2月19日に、欧州議会で講演した「平和の地政学」を、IWJが仮訳・粗訳した「号外」の記事を詳細に引用しながら、ウクライナ問題と日米同盟を重ね合わせ、岩屋外務大臣や中谷元防衛大臣に、「日本は米国にとって都合のいい代理戦争の駒にされるだけではないか」などと、約20分の質問を行なった。

IWJの記事が国会で取り上げられる! 沖縄の風・高良鉄美 参議院議員が、参院外交防衛委員会で「日本の新聞・テレビは信用できないので」とIWJ記事を引用し質問!!『日刊IWJガイド』から「米国民よりも米国信者となってしまい、米国に依存し、米国一極支配から多極化となると不安で仕方がない日本人」の記述を引き、世界構造が多極化に向け変わる認識少ないと危機感表明! IWJ号外のジェフリー・サックス教授講演を引用、ウクライナ同様「日本も『米国人が死なず、日本人が中国と戦ってくれるのだからいい。米国予算の使い方だ』と言われ、米国の友人であることは致命的であることを体現しかねない」と警鐘!!
(日刊IWJガイド、2025年4月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250425#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/54620#idx-1

 岩上安身によるインタビューの中で、高良議員はウクライナ紛争について、「(米国は)ロシアのことを潰そうと決めたら、その潰すための方策を、たくさん用意しているだろう」との見方を示し、そうした状況において、「日本は、憲法があるんだったら、『まず(戦争を)止めろ』という立場をとらなきゃいけない」と述べ、対露制裁や非難決議一色になった日本の国会を批判した。

 高良氏は、国民が生活に苦しんでいる状況の中で、防衛費が増額され、今後は税金が上がり、物価も上昇していくことを指摘し、「本当にそれでいいのか、ということを、主権者たる国民に示さなければいけないんじゃないか。そのためには、(IWJのような)ちゃんとした情報が入っていないと、主権者の権利として、正しい判断ができない」と述べた。

 高良議員は、2022年3月2日に、参議院で「ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議」が採択された際、自らは棄権したことを明らかにし、次のように語った。

 「これ(非難決議案)の中身を見たら、これは、おかしいぞと(思った)。

 『ウクライナ(国民)と共にある』って、誰が決めたの?

 (決議案の)前半は、ロシアの侵攻の問題があったけど、後半になると、『対岸の火事ではない』みたいな言い方になってきて、『台湾有事』という言葉はないけれど、暗に中国を念頭に、それを想定したような形だったんです(採択された決議文には『この事態は、欧州にとどまらず、日本が位置するアジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがしかねない極めて深刻な事態である』と書かれている)」。

 高良議員は、さらにこう続けた。

 「だから、これはおかしいと思った。何で、ウクライナの問題を、こっち(アジア)に持ってくるの? と。

 これは絶対、沖縄の軍事要塞化を進める口実にするための決議だ、と言ったら、それから4ヶ月後に、もう石垣島や先島諸島地域(石垣市、宮古島市、竹富町、与那国町、多良間村)の住民避難計画の検討が始まった。

 そして、これからまた4ヶ月経つと、(隔年で実施されている大規模日米共同統合演習の)『キーン・ソード23』が、2022年11月に、先島や奄美、喜界島も含む(南西諸島で)行われたんですよ。

 さらにこの2022年の第3段階の最後の仕上げとして、安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)の改定が、12月16日に出ている(閣議決定された)んですね。

 ということは、あの(対露非難)決議は何だったの? と言ったら、やはり、ここに(対中戦略の強化)つながっている。これが、ばっと、もう完結してしまった」。

 高良議員は、参院で対露非難決議を棄権したことについて、当初は支持者からも反発を受けたが、「日本は平和憲法があるのだから、どちらかの味方をするのではなく、戦争を止めるために。まず最初に仲裁でも何でもやるべきだ」「決議文には、ロシアとウクライナの関係も、(ウクライナ政府がロシア系住民を迫害してきた)背景も、何も書かれていない」「決議は、沖縄や南西諸島の軍事要塞化を進めるためのものだろう」という見解を示したら、次第に理解が得られるようになってきた、と述べた。

 高良議員は、「日米安保条約の本質は、日本の破滅のシナリオ」だと指摘し、「日本が日米安保条約からなかなか抜け出せないのは、日米経済協力を重視しているから」だとの見方を示した。

 これに対して、岩上安身が「米国市場より、中国市場の方が大きい。しかも近いので、輸送コストも少ない」と指摘すると、高良議員は、「政府は、中国の方が貿易量も多いことがわかっているはずなのに、なぜ米国にまだ(付き従っているのか)。国民にも、そこが共有されないといけないんじゃないかなと思う」と同意した。

 高良議員は、「本来の日本の立ち位置を、アジアの中でどうなのか、環太平洋の中でどうなのか、ということをきちんと考えるのはすごく重要」だと述べ、かつて琉球が中国と日本の間で橋渡しの役割を果たしてきたことを例にあげ、次のように論じた。

 「東と西は、全然違う。一方は資本主義中心の国々で、もう一方は、社会主義中心の国々。

 そこをきちんと結びつける、あるいは、そこをうまく渡り歩くというんでしょうか、本来日本は、そういうのが得意な資質を持っているんじゃないかな、と思うんですよ」。

 最後に高良議員は、「『米国人よりも米国信者』というIWJの記事の表現には、衝撃を受けた」と明らかにし、「沖縄の中から、米軍基地の米兵を見ていると、米国の経済力は落ちたなと感じる」とも語った。

<会員向け動画 特別公開中>

■3.24 参議院 外交防衛委員会 高良鉄美参議院議員

■4.22 参議院 外交防衛委員会 高良鉄美参議院議員

■全編動画

  • 場所 参議院議員会館712号室(東京都千代田区)

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