2024年1月17日午後4時30分より、東京都千代田区の衆議院第一議員会館にて、「米軍廃棄物パネル展実行委員会」の主催により、「米軍廃棄物問題シンポジウム in 千代田」が開催された。
シンポジウムは、コザ(沖縄県沖縄市)のエンターティナー、Mr.スティービー氏が司会進行を務め、『抵抗~国家という暴力との闘い』(民草出版、2022年9月)著者で政治活動家の中村之菊(なかむらみどり)氏、立憲民主党の屋良朝博衆議院議員らが登壇した。
中村之菊氏は、世界自然遺産となっているやんばるの森(沖縄本島北部)の米軍北部訓練場返還地(沖縄県国頭村安田)の米軍廃棄物問題について、チョウ類研究者で軍事環境研究家の宮城秋乃(みやぎあきの)氏が製作したビデオを上映し、宮城さんから託された解説文を読み上げた。
ビデオ上映の前に、中村氏は参加者に向かって次のように語った。
「『米軍廃棄物をメディアに載せねえんだったら、全国行幸をしてやろう』みたいな、そういう思いで乗っかってくれて、興味を持ってくれて、こうやって今日、居あわせていただけたことに、本当に感謝申し上げます。
皆さんにも、興味を持っていただき、本当に感謝しておりますが、私は、『ありがとう』って、あんまり言いたくないんです、この件に関して。それは、皆さんがそれぞれの場所で、見聞きしたことはあるだろうと。なので、ここに来てるんだろうなっていうのもありますので。
感謝されるために、私もやってません。『自分事』として、自分の立場でできることをやろう、ということで始めたことなので、それに対して、『勉強しに行こう』って、最初は思ってくれてもいいんですけど、そうじゃなくて、『勉強をみんなでしようよ』って言える人になってほしいなと。
で、そういう人が全国にいることによって、やっぱり宮城さんが闘っている、ひとりを闘わせているこの状況を回避することができると思っていますので、ぜひ、そういった意識で、皆さんはそれぞれおうちに帰られた地域の中で、こうした形でやっていただければと思っております」。
宮城秋乃さんは、たったひとりで、米軍北部訓練場返還地内の米軍廃棄物など、訓練場周辺の環境調査を行っている。問題の経緯については、宮城さんが自身のブログに、わかりやすく時系列で説明している。
2023年12月28日、宮城さんは、米軍北部訓練場ゲート前に、同訓練場跡地で発見された空き瓶やガラス片などを散乱させて、訓練場関係者の業務を妨害するなどしたとして、威力業務妨害と道路交通法違反の罪で、那覇地方検察庁に在宅起訴された。
現在、この宮城さんへの不当起訴の取り下げを求める署名活動も行われている。
- 宮城秋乃さんへの不当起訴の取り下げを求めます(Change.org)
中村氏は、このシンポジウムに参加して初めて米軍の廃棄物を見た人々へのメッセージを求められ、次のように語った。
「私にとって、米軍廃棄物って、ガラスの破片ひとつとっても、もう地元の負担だとしか思ってないんですよ。私にとって、その破片って、私の人生にはまったく関係ないんだけど、これがひとつあることによって、地元の疲弊とか、地元の負担というものを考えるから、結局、最終的に負担、自分の心の負担とかってことなんだけど。
じゃあ、自分ひとりが、パネル展もそうなんですけど、自分ひとりで『頑張るぞー』って頑張って解決できる問題では、まずない。なので、『じゃあ協力してくださいね。お願いしますね』って冒頭には言ったけど、『ありがとうございます』って言いたくないんですよ。
これはあなたの問題ですよ。そう、あなたの人生にはまったく関係ないと思うけど、このひとつの空砲が、でも、それが、なぜそこにあるのか。歴史的に考えても、なぜ。
今、お話があった通り、『何も言えない』、『主権がない』。
この国に生きてて、でも、やっぱり、何か、みんながどうかわからないけど、『民意』って使うでしょ?『これは沖縄の民意なんだ』とか『福島の民意なんだ』って、いろんな言い方されるんだけど、私、『民意』って言葉って、ほんと嫌いで。
何でかって言うと、『民意』ていうのは、反対も賛成も『民意』なんですよ。どっちも『民意』なの。
だから、よく言われるのは、沖縄の辺野古が埋め立てられる。で、代執行があってね、こんなことがあって、沖縄をかわいそうなんだ、って言うけれども、それは『民意』なんですよ。本土の『民意』。本土の99パーセントの『民意』が、この1パーセントの(沖縄の)『民意』を押し潰しているっていうことですよね」。
中村氏は、米軍北部訓練場返還地の米軍廃棄物に関するパネル展で、全国を回っている。このシンポジウムもその一環であり、会場には十数点のパネルが展示されていた。
今後の開催予定地やパネル展の支援方法などについては、以下のURLをご確認いただきたい。
登壇者の解説・報告、及び質疑応答の内容など、シンポジウムの詳細については、全編動画を御覧いただきたい。