沖縄北部の世界自然遺産登録が予定される「やんばるの森」でチョウ類を研究する宮城秋乃さんが、同地の米軍訓練場返還地で集めた米軍の廃棄物を、抗議のために米軍基地ゲートに置いた。それを問題視した沖縄県警は、2021年6月4日、威力業務妨害の疑いで宮城さんに対し、家宅捜索を行った。
しかし、沖縄弁護士会の加藤裕弁護士は沖縄タイムズの取材に応じて「宮城さんの行動は『威力』とは言い難く、保護されるべき政治的表現の自由の一つ」「県警の捜査は過剰で、政府に反対するような運動を抑制しようとする行為だと言わざるを得ない」と語っている。
立憲民主党の屋良朝博衆議院議員は、そもそも「安倍政権が沖縄基地問題への取り組みアピールのため返還を急ぎ、ゴミ回収がまるででたらめだった」とツイッターやフェイスブックで糾弾した。
IWJ記者の取材に対して屋良議員は、今回の家宅捜索に関して「(日本は)民主主義国家じゃなくなってる!」と述べた。
また、6月8日から参議院で審議入りした「重要土地規制法案」(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)に触れて、「法案が成立すれば『こういうふうになる』ことがよくわかる 」と、政府与党に反対意見を表明する国民に対する「弾圧」の手段として、この法律が国に乱用される危険性に警鐘を鳴らした。
また、宮城さん本人にIWJ記者が直撃質問すると、宮城さんは「沖縄防衛局は(実弾等を含む)米軍廃棄物の『支障除去』(ゴミ回収)が完了したと嘘をついてきた」という、これまでの経緯を詳しく語った。放射性物質や実弾を発見し、証拠を突き付けても、米軍も防衛省も認めなかったという。
そして2021年4月、米軍の沖縄県民を馬鹿にしたようなSNS投稿に対し、「沖縄県民は馬鹿にされて黙ってないぞ!」と抗議するために、米軍の廃棄物を基地ゲート前に並べたとのことだ。
今回の「ガサ入れ」に関して宮城さんは、県警本部に上の方から「あいつをどうにかしろ」と指示があったのではないかと推測している。そもそも、世界自然遺産候補地となっている「やんばるの森」には、に弾薬類が約1200発も残っており、「(危険物を発見したとして)通報したにもかかわらず、警察は職務放棄して不発弾を回収せず、市民には厳しく出るのは矛盾!」だと宮城さんは繰り返し訴えていた。
さらに宮城さんは、「やんばるの森」の世界自然遺産登録自体が、自衛隊演習場がある「富士山」と同じで、「米軍がいたから、沖縄の開発から守られた」というプロパガンダに利用される恐れを語り、世界自然遺産の登録は、「軍事事業」だと訴えた。