2021年6月8日、東京千代田区の首相官邸前で、市民団体、国会議員らによる「重要土地調査規制法案」を参議院で廃案に、と呼びかける緊急抗議集会が開かれた。
集会でマイクをとった参院会派「沖縄の風」の伊波洋一参議院議員は、「重要土地調査規制法案」に関する内閣委員会での政府答弁を披歴しながら「重要土地調査規制法案というけれど、重要な土地とは何であるかが全く明らかにされない」と述べ、立法事実も明らかにできない政府答弁に対して「この法案は立法事実は無いが、アメリカの戦略はある」「台湾有事が前提となっている」と指摘した。
また、伊波議員は「今、日本列島にミサイル基地を1000作れと(米国から)要求されている。そういう状況での重要土地調査規制法案だ」と述べ、法案でいう「重要土地」とは、「アメリカ軍が使う土地が重要なのです」「日本全体を戦争に巻き込む法案なんです」と強調し、「こういう法律は通させてはいけない」と訴えた。
伊波議員のスピーチには、重要土地利用規制法案の本質を突く重要な指摘があります。IWJでは伊波議員のスピーチを全文書き起こしましたので、ぜひお読みください。
「皆さん、こんばんは。ご紹介いただきました『沖縄の風』参議院議員の伊波洋一です。外交防衛委員会におりまして。今回内閣員会で(審議)されているわけですけれども、明後日連合審査が行われることになりました。
その中でですね、沖縄の立場からこの法案がいかに酷い法案かってことを、訴えていきたいと思っています。重要土地調査規制法案と言いますけれど、重要土地が何であるかというのはですね、まったく明らかにされないわけですよ。基地の周辺にいっぱい土地があるわけですけれども、基地に対してなんかこの土地が重要だというようなものではないんですね。
私も4月に3回、この法案のことを、外交防衛委員会でやってまいりました。彼らが言ってんのはですね、一つは今日の内閣委員会もそうですけれども、電波妨害。後一つはですね、国境の、こっちから12海里という規定する線、これを壊す人がいるとかね。日本の国土をなくすために、ここを壊す、この二つくらいしかあげられないんですよ。
今日の議論でも電波妨害って一体どんな風にやるのだという話をしてもほとんど答えきれないんですよね。現に、総務省の場合は、電波を発信してから妨害する時初めて判断できるんですけども、何かこの法案はですね、「意図」を持った時から始まるという話になってくると、電波が出ても出なくても、アンテナを付ければもう出るんだっていう、こんな言い方をするわけですね。
本当にこれはあの法律の体を成してないんですよ。つまり、中身は政令で作るとか言っても、そもそもそういう法律を作ってはいけないんですよね。そういう指摘もされました。こんなのありえない法律、絶対に見逃してはいけないと思います。
私はここで本当に訴えたいのは、立法事実はないんですけれども、アメリカの戦略があるんです。米国戦略が。何かと言うと、「台湾有事」というものが私はこれ、前提になっていて、台湾有事のための戦時立法だと思います。どういうことかというとですね、沖縄の有人国境離島50ヶ所が指定されます。ここで狙われているのは飛行場なんですよ。
アメリカはですね、台湾有事になるとどうなるかと言うと、日本にいる米軍はみんな引きます。第2列島線以東に引きます。そして(第2列島線の)向こうからその戦争に加担してくるんですけど、その加担の仕方がですね。島々の飛行場とか、とか国内の飛行場に飛んできて、そしてそこから東シナ海にある中国の艦船をミサイルで撃つと。こういう戦略を、訓練をもうずっとやりはじめているんですね。沖縄では(伊江島)とかあちこちでやっています。他の都道府県でもやってるはずです。低空飛行訓練を通して、レーダーにかからないような形で飛んで来て、そして、ミサイル発射装置を下ろして、そして発射してから数分でもう飛び去っていく。こういう訓練をやってます。
日本にある三沢や嘉手納などの基地はですね、全部で10から15くらいのグループに分かれて。第2列島線のところを超えたところに拠点を作って、そこから戦争に加担をする。台湾防衛、中国との戦争の話なんですけれども。
それに対して、今求められてるのは、日本国内にミサイルの標的を1000作れと、ミサイル発射装置を1000カ所おけと。こういうの、トランプ大統領の時の話なんですけれども、それをまさにアメリカが要求していますね。そういう状況での重要土地法案。つまり、何が重要な土地なのかというと、アメリカ軍が使う土地が重要なんです。だから、そういう意味ではまさに、国境離島、沖縄だけではなく、他の国境離島も狙われているでしょう。
つまり、そういう戦争、日本全体を戦争に巻き込む法案なんだと。それを前提としているわけです。だから他にある650のですね、基地の周辺の1km範囲の土地をどうこうする話では全くなくて、まさにアメリカが使いやすいような戦争の場所、部隊の派遣場所。これは現に私も6月3日の外交防衛委員会でも、ちゃんと答弁で、そういうことが現実にアメリカの戦略であることは明らかにしましたから。この間いろんなことがでているんですね。もうすでに三沢でもどこでもいろんな訓練が行われております。
私達は、今、日本がですね、自分たちの安全保障、自分たちで決めていない。国家主権を放棄しているわけですよね。国民の安全ための、安全保障の主権者ではない。アメリカのための道具に過ぎない。国民はですね、本当にないがしろにされているんですよ。沖縄だけじゃないです。沖縄はもっともなんですけど、そういうことを明らかにしながら、やはり私たちは反対をしていきましょう。そして断固ですね、酷い法律を通させてはいけない。このことを確認していきたいと思っていました。ありがとうございました」