「すべて、佐川理財局長の指示です」~森友学園との土地取引文書改竄に加担させられ自殺した財務省近畿財務局職員・赤木俊夫氏の直筆の手記を全文公開! 赤木氏の妻が国と佐川宣寿元理財局長を提訴!! 2020.3.18

記事公開日:2020.3.19取材地: テキスト動画
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(IWJ編集部)

 森友学園問題で、財務省近畿財務局職員の赤木俊夫氏が、2018年3月7日に自ら死を選んだ。安倍昭恵総理夫人が名誉校長を務めていた小学校への、国有地を8億円も値引きしての払い下げに関する公文書について、改竄を担当させられたことを苦にしてのものだった。

 2020年3月18日、赤木氏の遺族である妻が原告となり、国(代表者:三好雅子=森雅子法務大臣)と佐川宣寿氏(さがわのぶひさ:事件当時は財務省理財局長、のちに国税庁長官を経て退官)を相手取って、1億1000万円超の損害賠償の民事訴訟を大阪地方裁判所に起こした。

 提訴した18日、赤木夫人の代理人である、松丸正弁護士と生越照幸(おごしてるゆき)弁護士が大阪市内で記者会見を開き、訴訟内容について発表した。

▲松丸正弁護士(左)と生越照幸弁護士

 会見では、訴状と、改竄の経緯を詳細に記載した赤木氏の手記、赤木氏の公務災害認定に関して財務省が人事院に提出した文書が公開された。

 「私は昨年(平成29年)2月から7月までの半年間、これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し」「これまで経験したことがない異例な事案とは、今も世間を騒がせている『森友学園への国有地売却問題』です。本件事案は、今も事案を長期化・複雑化させているのは、財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが最大の原因でありますし、この対応に心身ともに痛み苦しんでいます」

 赤木氏の手記には、赤木氏が意に染まない文書改竄を強いられて苦悩し、死を選ばざるを得なかった経緯が、手書きメモも含めて生々しくつづられている。

 「財務省の虚偽答弁」と題された項目には、「この事案の対応で先の国会で連日のように取り上げられた佐川(当時)理財局長の国会答弁の内容と整合性を図るよう、佐川局長や局長の意向を受けた本省幹部(理財局次長、総務課長、国有財産企画課長など)による基本的な対応姿勢が全てを物語っています」と記され、その下には「(疑問)財務省は、このまま虚偽の説明を続けることで国民(議員)の信任を得られるのか」と書かれている。

 さらに「決裁文書の修正(差し替え)」という項目には、「元は、すべて、佐川理財局長の指示です。局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書を近畿局で差し替えました」と明らかにしている。

記事目次

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  • 日時 2020年3月18日(水)13:30~
  • 場所 大阪府大阪市内

刑事罰、懲戒処分を受けるべき者、佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産管理室長、杉田補佐!

 そして、「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者」という項目には、「佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産管理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)」とあり、続けて次のように結ばれている。

 「この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55才の春を迎えることができない儚さと怖さ)

 家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何? 兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。

 さようなら」

 この、赤木氏の手記で「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者」と指摘された6人のうち、佐川氏は2017年7月、国税庁長官に、当時の理財局次長(中尾睦氏)は2019年7月、横浜税関長に、中村(稔)総務課長は2019年8月、駐英公使に、企画課長(冨安泰一郎氏)は内閣官房内閣参事官に、田村(嘉啓)国有財産管理室長は2017年7月、福岡財務支局理財部長に、それぞれ栄転している。

 この6人に対する財務省の処分はそれぞれ、佐川氏が「停職・3カ月相当(すでに退職、懲戒相当)」、中尾氏が「戒告」、中村氏が「停職・1カ月」、冨安氏が「減給20%・3カ月」、田村氏が「減給20%・2カ月」の懲戒処分。また、杉田氏は「口頭厳重注意」の戒告という、軽い処分だった。

 一方、大阪地検特捜部は2019年3月、佐川氏をはじめ、決済文書改竄に関わった財務省幹部らを不起訴処分とした。

 他方で、赤木氏の自殺が公務被災であったことを示す人事院から渡された文書70ページは、ほぼ全ページにわたって全て黒塗りのものが渡されるという、前代未聞の事態となっていた。

「佐川さん、どうか改竄の経緯を、本当のことを話してください」!

 会見の冒頭、代理人の生越弁護士が遺族である赤木氏の妻のメッセージを読み上げた。

「夫が亡くなって2年経ちました。あのときどうやったら助けることができたのか。いくら考えても、私には助ける方法がまだ見つかりません。心のつかえが取れないままで、夫が死を決意した本当のところを知りたいと思っています。夫が死を選ぶ原因となった改竄は、誰が何のためにやったのか、改竄をする原因となった土地の売り払いは、どうやって行われたか。真実を知りたいです。

 今でも近畿財務局の中には、話す機会を奪われ、苦しんでいる人がいます。本当のことを話せる環境を、財務省と近畿財務局が作っていただき、この裁判で、すべてを明らかにしてほしいです。

 そのためには、まず佐川さんが話さなければならないと思います。今でも夫のように苦しんでいる人を助けるためにも、佐川さん、どうか改竄の経緯を、本当のことを話してください。よろしくお願いします」

▲赤木氏が亡くなる2日前に書いたメモ。「今回の問題は、すべて理財局が行いました 指示もとは佐川(元)理財局長と思います」とある。

 生越弁護士によると、今回の提訴の被告は国と佐川氏の二人。国に対しては1億712万8017円、佐川氏に対しては550万円の請求を立てている。

 訴状によると、財務省近畿財務局職員であった赤木氏は、佐川氏ら財務省幹部の指示にもとづき、森友学園に対する国有地売却の決裁文書を3回から4回にわたり改竄することを強制された。また、この文書改竄作業や国会対応にあたり、長時間労働・連続勤務を行った。

 こうしたことによる心理的負荷が過度に蓄積した結果、赤木氏は鬱病を発病し、自殺した。

 また、訴状によると、赤木氏の妻が国と佐川氏を訴えた目的は3つある。

 第一に、赤木氏の自殺の原因とその経緯を明らかにすること。赤木氏が自殺に追い込まれた原因と経緯がうやむやにされ、自殺がなかったことにされるのは、到底受け入れられない。

 第二に、行政上層部の忖度と保身で、現場の職員が苦しみ自殺する事が二度と無いようにすること。赤木氏の妻は、この訴訟を通じて行政内部の問題点が明らかになり、今後その問題点を踏まえて適切な対策がとられることを望んでいる。

 第三に、誰の指示でどのように改竄が行われ、その結果どのように嘘の答弁が行われたのか、公的な場で説明すること。赤木氏は自殺直前に作成した手記に、「この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55歳の春を迎えることができない儚さと怖さ)」と書いている。生前、赤木氏は森友学園案件に関する文書改竄について、自ら説明したいと望んでいた。

 生越弁護士は、訴状について会見で次のように述べた。

 「改竄に至る経緯を、財務省の報告書や赤木氏の手記を元に訴状に書いた。その後には、鬱病になられてから、病気で休まれるまでに経緯を書いている。彼が苦しんだ状況が書かれている。その後は亡くなるまでの経緯で、捜査機関から任意の取り調べの話が来て、赤木氏が苦しむ様子が書かれている。資料の手記は、ワープロと手書きの遺書を3通公開している。それは自殺の直前の平成30年3月に書かれているのではないかと考えている。

 提訴に至った経緯、なぜ訴訟をせざるを得なかったのかということは重要だ。端的に言えば、財務局も財務省も赤木氏の死にちゃんと向き合ってこなかった。原告はどうやって夫が死んだか、佐川氏にも手紙を書いたし、話を聞こうとしたが、回答は返ってこなかった。

 原告はお墓参りにきてほしいと、麻生大臣と佐川さんに来てほしいと希望していたが、麻生氏は『遺族が来てほしくないと言った』と国会で答弁した。それにより原告は非常に傷ついた。

 提訴にいたった最後のダメ押しは、公務災害の認定を原告は受けており、それに関する情報公開請求を行なったが、出てきた資料が本当に過剰なまでに真っ黒で、何もわからない。原告はなぜ夫が死んだのかを、任意で尋ねても教えてもらえない。情報公開しても教えてもらえない。そうなると残された道は訴訟しかないということになった。

 佐川氏に対する損害賠償請求について、国家公務員は個人責任を負わないという最高裁判決があるので、佐川氏個人を訴えても不法行為の責任を彼は負わない。そこで佐川氏への請求は2段階になっている。

 1つは改竄を指示したことの違法性。公務員であった時の行為の過失を問うている。これは国家賠償法が適用されるだろう。

 2つ目は原告からの説明や謝罪に関して、公務員を退職してから要望が来ているのに、無視をし続けたことの違法性を問うている。この部分は公務員だという言い訳が立たない。

 我々が重視している『求釈明』。赤木氏の直属の上司の池田統括が、原告の自宅に焼香に訪れた際に、『赤木氏は改竄について詳細なファイルを作っていた。それを見れば、誰の指示でどこを改竄したのか、一目瞭然になっていた』と述べていた。『パソコンに改竄を記録したメモがあった』とも。

 なので、この訴訟では、そのファイルとメモの存在はまだ明らかではないが、上司が原告に話しているので、存在の蓋然性は高い。これを出せということを被告に求めている」

 続いて松丸正弁護士が、人事院から開示された財務省大臣官房長あての「特定疾病の認定について(回答)」という、赤木氏の鬱病による自殺に関する行政文書について、次のように語った。

 「過労自殺の遺族が知りたいのは、なぜ大切な人が亡くなったのかという理由だ。故人はまじめで、部下への他者配慮、部下をかばうためにいろんな抵抗をしていた。だから部下が改竄しないように自分で責任を負う形で改竄に加担した。しかも優良な官僚だった。

 赤木氏の鬱病による自殺は、公務上の災害に認定されたものの、その資料が真っ黒だった。平成29年7月10日に災害が発生し、鬱病を発病したが、それ以外の発病の理由や自殺の理由は、資料は真っ黒だった。

 赤木さんが死をもって抵抗し、守り訴えようとしたのは何か、認定理由に書いてない。それを訴訟の中で明らかにしたい。

 官僚組織の中に、是正をもとめて死に至った赤木さんのような官僚がいたことに感動した。官僚組織の中で声を上げる人を支える、公文書管理のコンプライアンス体制をつくるための力になりたい」

「ここまで真っ黒は、ひどい」弁護士も呆れる黒塗りの人事院文書!

 以下は、記者会見での記者と代理人弁護士との質疑応答である。

記者「手記とメモについて、どういうところで見つかったか、説明を」

生越弁護士「平成30年2月(作成中)とある手記は、お亡くなりになった後、PCに保存されているのが見つかった。亡くなる直前まで更新され、最後まで書き続けておられたのだろう。

 手記の2つ目、30年3月7日、最後になぜか3月5日13時20分と書いてあるものは、もともとノートにあったが、ノートから切ってはずされたと聞いた。死後見つかった」

記者「自宅のパソコンか? 遺族が見つけたのか? いつ、つくられたのか?」

 

生越弁護士「自宅のパソコンで、そう認識している。いつ書いたかは不明だ。何度か遺書を作っていたと聞いた。時系列で、だんだん原告のことしか考えられなくなったようで、長いものは初めに書かれたのではないか」

記者「警察が押収して戻ってきたのか?」

生越弁護士「遺書は、警察は押収しないと思う。殺人など事件性はなく、警察が持って行ったとは聞いてない」

記者「警察も大阪地検特捜部も入手してないのか?」

生越弁護士「民事訴訟の代理人なので、捜査機関が見たかは関知してない」

記者「奥様が警察に提出したことはないか?」

生越弁護士「推測だが、手記自体が、文春にも書かれていたが、原告が誰にも見せずに持っていたので、捜査機関も見てない可能性はあるが、確認できない」

記者「財務省、財務局も見てないのか?」

松丸弁護士「見てないだろう。近畿財務局職員から『遺書があれば見せてほしい』と言われ、原告は非常に怒りを覚えたと聞いたので」

記者「手記ではさまざまな人が出てくるが、なぜ今回は(訴訟を)佐川氏だけに絞ったのか?」

生越弁護士「スタートは佐川さんで、下の人は個別関与の仕方を特定できてないからだ」

記者「週刊文春の記事で、手記を相澤記者(元NHK大阪記者で現大阪日日新聞論説委員・記者の相澤冬樹氏)に見せた後、妻が死を考えたとあるが、事実か? そこからどう変遷して提訴に至ったのか?」

生越弁護士「記事の真偽は不明だが、提訴せざるを得ない状況に追い込まれ、勇気を振り絞って提訴した。訴訟準備は短期間で、苦しい状況だった」

記者「情報開示の、非開示の理由はなぜ? 奥さんがご主人の死因を知りたくても、この処理は普通なのか?」

生越弁護士「一般労働者の労災は、発言者は隠すが、大枠のストーリーは出る。ここまで真っ黒は、ひどい」

松丸弁護士「『機密性2』と記載されており、これは行政に支障が生じるという意味。しかし、地方公務員、国家公務員なども含め、ここまで徹底しているケースは初めて見る。

 遺族にも黒塗りというのは私も初めて。理由さえ教えてくれない。遺族にとっては、2度殺されたに等しい」

▲人事院から開示された公務被災に関する70pの資料は全て黒塗りだった。

生越弁護士「これでは長時間労働か何かも全くわからない。遺族の意志に反している。過剰に黒塗りしている」

松丸弁護士「黒塗りの説明はされないまま。何の根拠かもわからない。このままでは、もし公務外(災害)にされても争えない。今回は公務災害に認定されているが」

記者「赤木さんが抵抗していた、安倍政権下で安倍首相の2月17日の発言以降、首相の発言に沿った記録改竄をやらざるを得なかった、ということについて。現在も安倍政権が続いている中で、今回の黒塗りの、普段の公務災害の認定からして不自然な情報公開が起こったと先生は思っているか?」

松丸弁護士「(うなずく)」

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