2024年3月12日、午後6時頃より、東京都千代田区の外務省にて、上川陽子 外務大臣の定例記者会見が開催された。
冒頭、上川大臣より、2件の報告事項があった。
上川大臣「本日の閣議におきまして、『2023年版開発協力白書』の公表(※)につきまして発言をいたしました。
外務省は毎年、開発協力の実績や、また課題別・地域別の政策をまとめた開発協力白書、これを公表しております。
今回の白書では、開発協力大綱の改定やG7広島サミットにおける開発分野での議論や成果等を取り上げつつ、日本の開発協力の実績や、課題別・地域別の政策等につきまして、ご紹介をしております。(中略)
- 2023年版開発協力白書の公表(外務省 報道発表 2024.3.12)
2点目でありますが、キプロス海上人道回廊への参加についてであります。
目下、ガザ地区における危機的な人道状況の改善が最優先課題でありまして、日本といたしましても、新たに実施を決定いたしました世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)等の国際機関を通じました3,200万ドルの緊急無償資金協力を含めまして、これまで様々な形で人道支援を行ってきたところでございます。
こうした中におきまして、人道支援物資のガザ地区への安定的な搬入、これが大きな課題となっておりますが、その改善策の一つとして、キプロス、米国及びUAE等が中心となりまして、海上輸送により、人道支援物資を搬入する取組が進められております。
我が国として、この取組を、ガザ地区への人道支援の搬入量拡大に貢献するものとして歓迎をし、支持します。 また、我が国としても、本件取組に貢献すべく、いかなる具体的な協力が可能か、積極的に検討していく考えを国際関係国に伝達しているところであります。
引き続き、関係国等と緊密に連携をしながら、ガザの人道状況の改善に取り組んでまいります」。
大臣からの報告に続いて、各社記者と上川大臣の質疑応答となった。
IWJ記者は、イスラエル・パレスチナ情勢について、以下のとおり質問をした。
IWJ記者「ラマダンが始まりましたが、ガザ地区への爆撃は激化しています。昨日、餓死者が25人に達したとの報道がありました。これは、『人工飢餓』『飢餓ジェノサイド』だという批判もあります。
日本政府として、ジェノサイドに与しないという姿勢を明確にし、UNRWAへの資金拠出再開、駐イスラエル大使の召還、日本・イスラエル投資協定の凍結などの制裁を行う考えはおありでしょうか。よろしくお願いします」。
これに対し、上川大臣は次のように回答をした。
上川大臣「我が国といたしましては、このすべての行動、これは、国際法にもとづきまして行わなければならないと、国際人道法を含む国際法の遵守、これを求めてきている状況でございます。
事実関係、これを十分に把握することは困難である中、イスラエル軍の行動について、法的評価も含めまして、評価をすることは差し控えているところでございますが、民間人の犠牲者数が、ますます増加していること、そして、現地の人道状況は、極めて厳しい状況にあると認識しております。
こうした中、当事者によります、一層の説明が求められるような状況になっていることは確かであると考えております。
日本といたしましては、引き続き、人道支援活動が可能な環境をしっかりと確保すること、そして、人質の解放につながるような『人道的停戦』が速やかに実現をし、そして、持続可能な停戦が実現することを期待し、当事者に対しましては、直ちに人道的観点から行動すること、これについては、求めてまいりたいと考えております」。
上川大臣の冒頭発言、及び、各社記者の質疑内容など、会見の詳細については、全編動画にてご確認ください。