2023年2月13日、福島県飯館村の住民13世帯31名が、国と東京電力ホールディングス株式会社を被告として東京地方裁判所に提起した損害賠償請求訴訟の第7回口頭弁論期日が行われた。同日、その報告集会が東京都千代田区の日比谷図書文化館で開催された。
司会の仲千穂子氏によると、同日の口頭弁論はわずか「1分で終わった」。予定された原告の意見陳述が、体調の関係等で次回に延期となったのだ。
しかし原告らが要望していた裁判官らによる現地飯館村での進行協議(検証作業)の実施を求める「意見書」が提出された。
東京電力からは、世帯ごとの主張書面に対する反論として「準備書面」が3世帯分出された。東電は13世帯への反論を3回に分けて出す予定とのことである。
今回、原告の伊藤延由氏に対する反論が出されたが、仲氏によれば、伊藤氏はこの反論に「激怒」しているという。伊藤氏は以下のように、避難時期に関する被告側の主張が「暴論」であると批判した。
2011年4月11日に計画的避難区域を発令するという国からの指令があり、4月22日に飯館村がそれを受託し、避難指示を出した。伊藤氏によると、これについて被告側の弁護士は、「4月22日以降、村にいるのはおかしいんじゃないか」と主張しているとのこと。
伊藤氏は、「現実的には、避難先が確保できないということで、実質的には亡くなられたハセガワさんのところが一番遅かったが、7月の初めくらいに仮設(住宅)ができて、ようやく避難している。それまでは、あの高線量の中にいた」と述べた。
「確かに村は、妊婦や子どもさんは、温泉やスキーロッジに行かせたが、一般の人たちは、ほとんどそのまま居たし、子どもたちも、実は、『何で避難しなけりゃいけないの』っていうことで、避難しないで、村内に大勢いた」
このように語った伊藤氏は、「(東電側は)4月22日以降、避難しなかったあんたたちが悪いって言ってる。とんでもない」と、憤りをあらわにした。
その他、「ふるさと喪失」の実態や、住民の被曝線量に関する東電側主張の問題点等について、参加した支援者による質問や、弁護団長の大橋正典弁護士など弁護団や原告による説明が行われた。
原告団長の菅野哲氏は、「裁判官に飯館村をぜひ見てほしい」「現実がわかってないんじゃないのか。目で見て確かめてほしい」と訴えた。
なお、次回口頭弁論は5月24日、次々回が9月13日に決定した。
会見について詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。
IWJはこれまで「飯舘村原発被害者訴訟」について、以下の記事で報じている。