【第624号-第626号】岩上安身のIWJ特報!米国覇権は凋落から崩壊へか?ウクライナ紛争は、衰退する米国の軍事覇権、経済覇権、政治文化覇権衰退の加速!岩上安身による安全保障と国際関係論の専門家 桃山学院大学法学部・松村昌廣教授インタビュー第2弾 2024.1.1

記事公開日:2024.1.1 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
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 2023年6月4日に始まった、ウクライナ軍による『反転攻勢』。欧米から供与された最新鋭の武器と、NATO加盟国各国の将校団によって鍛え抜かれたウクライナ将兵が、ロシア軍打倒の戦術も授けられ、万全を期してロシア軍を蹴散らすはずだった。

 実際、6月4日以降、日本を含む西側メディアは、連日、その「戦果」を報じ続けた。

 ところが、約半年間にわたる『反転攻勢』の「戦果」は、ウクライナ政府と西側メディアの合作プロパガンダによる白昼の幻でしかなかった。
 実際にはロシア軍は、1000kmにおよぶ東南部の防衛線の最終的な突破を、一度も許さなかった。11月に入って、突然、ウクライナ軍の敗色濃厚を、日本のメインストリームメディアが手の平返しを始め、報じ始めた。説明のない、唐突な報道姿勢の「転進(退却の否認としての言い換え)」である。

 日本のテレビに出ている自衛隊元幹部や「専門家」らが、ウクライナ軍の「健闘」を大げさに伝えている間に、ウクライナ軍は人的にも大きく損耗し、戦術的にも破れていたのである。

 IWJは、この半年間、メインストリームメディアがウクライナ優勢を唱えている間、一貫して、戦況の現実を伝え、ロシア軍の守備の固さ、ウクライナ軍の損失の大きさを伝え続けてきた。この6月から11月までの報道姿勢と内容を比べて見れば、IWJと、日本のすべての新聞・テレビというメインストリームメディアの差は歴然だったとわかるはずである。

 ウクライナ戦線がそのようなプロパガンダまみれになっていた時、10月7日早朝、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を、合法的選挙によって選ばれて統治するするイスラム組織ハマスが、ガザのフェンスの外へ出て、その周辺地区を奇襲攻撃した。

 すると、これに対してイスラエル軍は、激しい空爆によるパレスチナ人の無差別殺戮を開始し、国際社会の注目は一気にウクライナ情勢から中東情勢へと移った。

 米国のバイデン政権は、一方的なイスラエル支持と支援を表明。イスラエル軍がガザ地区への地上侵攻を開始して、世界中から非難を浴びても、イスラエルへの巨額支援を続ける意思を示し、国連でのイスラエル非難にも、拒否権を行使して、イスラエルを異常なまでに擁護した。

 一方、ウクライナ紛争は、ウクライナ軍の劣勢が、誰の目にも明らかになってきた。ウクライナ紛争は、いつ、どのようにして決着がつけられるのか。あるいは、決着をつけないまま長期戦に入って、さらにウクライナは疲弊してゆくのだろうか。

 2023年9月1日、岩上安身は桃山学院大学法学部教授の松村昌廣氏に2回目のZoomインタビューを行なった。8月20日の「ロシア弱体化と孤立化は米国の大誤算!『米国の覇権は確実に破綻する! 外部要因ではなく「自壊」によって崩壊する!』」と題するインタビューの続編である。

▲桃山学院大学法学部・松村昌廣教授

 「戦争がないということは、非常に困ったことなんです」と、松村氏は困惑を招くような言葉をも口にする。「戦争がない」とは、「核の出現」によって、人類は「大きな覇権をかけた戦争」ができなくなった、ということを意味する。軍事的な覇権システムを維持していくためには、経済的な覇権システムの構築が重要だが、核兵器の出現によって世界には大きな戦争がなくなり、戦争による大きな破壊もないので、大きな需要も生まれてこない。米国の覇権システムを支える経済力が弱くなり、覇権が衰退し、多様化しても、次の覇権国家が出現するわけではない、覇権国家不在の時代がやってくる。

 「米国の覇権は早晩、崩れるのだから、日本はいつまでも寄りかかっているのではなく、早く自立しなくてはいけない」と説く松村氏に、岩上安身は「おとなしく老いてくれる人と、そうではない人がいるじゃないですか」と前置きし、次のように問いかけた。

 「経営者でも老害になっていく人がいる。(アメリカは衰退する過程で)そういう暴れっぷりをするのではないか。世界を面倒なことに巻き込んでいくのではないか。その一例がウクライナ紛争じゃないんですか?」

 松村氏は、「実際に今、アメリカという国家の中では政治的な葛藤・対立があって、政治的な内戦状態になっている。我々はそれを注視しながらも、傍観しているしかない」と述べた。

 さらに話題は、台湾有事の可能性、そこに日本がどう関わることになるのか、日本が選択できるシナリオなどについて広がっていった。

記事目次

  • いまだに「ウクライナが反転攻勢」と伝える日本のマスメディアの劣化ぶり!「群盲、象を評する」ごとく、一部の事実は言うが全体をとらえず!
  • 日本全体が「自動操縦」されたように動いている! オルタナティブのない日本の民主制は、もう終わっている!?
  • 日本敗戦から100年後、2045年にはアメリカの覇権は崩れている!「それまでに日本は自立しなくてはいけない」
  • 中国発展の原資は流出した日本マネー! 90年代初め、アメリカは繁栄しすぎた日本を潰すためにバブルを終わらせ、投資先を中国に切り換えた!
  • 中国の不動産バブル崩壊!? しかし「破産」という言葉がない中国は絶対に潰れない。むしろ想像を絶する事態になるので余計に悪い!
  • 核兵器の出現によって大規模戦争ができなくなった世界。2030年には覇権国が不在の状態になり、多極化へと向かう!?
  • 「我々は第三次世界大戦の淵にいる」という認識が必要! 中国が第3の核大国になる移行期の今、リスクは高くなっている!
  • 台湾有事における日本のオプションは3択!? 中国の軍門に下るか、核武装するか、スイスのような非核の重武装国家になるか!?
  • 第二次世界大戦で徹底的に負け、アメリカに新たにマインドセットされた日本。その「魔法」を解くためには、非常に大きな衝撃が必要!
  • 「発展途上国で人為的に民主制を実現できる」としたアメリカの中東政策は挫折! 原因は「米国による日本の民主化」を成功体験だと誤解したから!
  • 2008年、リーマン・ショックの金融バブル崩壊とNATOの東方拡大宣言!「歴史に偶然はない。起こっていることは全部、必然」!!
  • 冷戦か熱戦か、ぬるま湯か? 第三次世界大戦で血と汗を流せば良くも悪くも早く終わる。それが嫌なら戦争はだらだら続く!?

いまだに「ウクライナが反転攻勢」と伝える日本のマスメディアの劣化ぶり!「群盲、象を評する」ごとく、一部の事実は言うが全体をとらえず!

岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。桃山学院大学法学部教授の松村昌廣先生とZoomでつながっております。先生、聞こえますか?」

松村昌廣教授(以下、松村教授)「はい、どうぞ」

岩上「どうぞ、よろしくお願いいたします」

松村教授「はい、こちらこそ」

▲米国覇権は凋落から崩壊へか?

岩上「『米国覇権は凋落から崩壊へか?』と。『ウクライナ紛争は、衰退する米国の軍事覇権、経済覇権、政治文化覇権衰退の加速!』につながっていくのではないかと。

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